トップ
>
物識
>
ものしり
ふりがな文庫
“
物識
(
ものしり
)” の例文
「ありゃ何だい、質屋の亭主だっていうが、
野幇間
(
のだいこ
)
だか、俳諧師だか解ったものじゃない。あんな
物識
(
ものしり
)
顔をする野郎は俺は嫌いさ」
銭形平次捕物控:024 平次女難
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
だが、さる
物識
(
ものしり
)
の説によると、あんな事になつたのは、学者の
鑑定
(
めきき
)
が足りないのでも何でもなく、掘出された独木舟が悪いのださうだ。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
美妙の書斎のように
嚇
(
おど
)
かし道具を
列
(
なら
)
べる余地もなかったし、美妙のように何でも来いと
頤
(
あご
)
を
撫
(
な
)
でる
物識
(
ものしり
)
ぶりを発揮しなかった。
美妙斎美妙
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
書記官はラサのシナ人中では最も
物識
(
ものしり
)
、最も老練家として尊敬を受けて居る人ですが、そういう事をいわれたから一遍に信用してしまった。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
或るお
物識
(
ものしり
)
のお講釈に、先ず早く云えば月に雲の掛るようなもので、これなどは圓朝にも解りますから、成程と云うて感じまして聞きましたが
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
長吉のわからずやは
誰
(
た
)
れも知る乱暴の上なしなれど、信如の尻おし無くはあれほどに思ひ切りて表町をば
暴
(
あら
)
し得じ、人前をば
物識
(
ものしり
)
らしく
温順
(
すなほ
)
につくりて
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
神様の
嫁御
(
よめご
)
では、物足らぬからではあるまいか、エ、長二、お前が
何程
(
いくら
)
物識
(
ものしり
)
でも、
私
(
わし
)
の方が年を取つて居りますぞ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
六三の
呪禁
(
まじない
)
と言って、身体の痛みを
癒
(
なお
)
す
祈祷
(
きとう
)
なぞもする。近所での
物識
(
ものしり
)
と言われている老農夫である。私はこの人から「言海」のことを聞かれて一寸驚かされた。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
○秋山中に
寺院
(
じゐん
)
はさら也、
庵室
(
あんじつ
)
もなし。八幡の小社一ツあり。寺なきゆゑみな
無筆
(
むひつ
)
也。たま/\心あるもの里より
手本
(
てほん
)
を
得
(
え
)
ていろはもじをおぼえたる人をば
物識
(
ものしり
)
とて
尊敬
(
そんきやう
)
す。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
隱居
(
いんきよ
)
が
物識
(
ものしり
)
ぶつて『
新玉
(
あらたま
)
の
年
(
とし
)
立
(
た
)
ちかへる
旦
(
あした
)
かな』
先
(
ま
)
づこんな
風
(
ふう
)
に
云
(
い
)
ふものだと
作例
(
さくれい
)
を
示
(
しめ
)
す。
ハガキ運動
(旧字旧仮名)
/
堺利彦
(著)
丁度淨土門の信者が他力本願に頼る以上は憖じ小才覺や、えせ
物識
(
ものしり
)
を棄てて仕舞はねばならぬやうなものである。併し世には又
何樣
(
どう
)
しても自己を沒卻することの出來ぬ人もある。
努力論
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
しかし前にも申した通り、あなたと私とはまるで専門が違いますので、私の筆にする事が、時によると変に
物識
(
ものしり
)
めいた
余計
(
よけい
)
な
云
(
い
)
い
草
(
ぐさ
)
のように、あなたの眼に映るかも知れません。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
二十四番地、都は掛値をする所だから、なんでも半分に値切って、十二番地、だなんて、村で
物識
(
ものしり
)
の老人がいつか話してくれたのを思い出したが、まさかそれは話だと、留吉は考えました。
都の眼
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
骨董好きの
富豪
(
かねもち
)
に教へる。いつ迄も秘蔵の骨董を失ふまいとするには、自分達の家族を成るべく
物識
(
ものしり
)
にしておくが一番手堅い。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
文治郎は何か学問が横へ這入り過ぎた処があるのではないかと或る
物識
(
ものしり
)
が仰しゃったことがございます、余り人の為の
情
(
なさけ
)
と云うものが深くなると
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
長吉
(
ちやうきち
)
のわからずやは
誰
(
た
)
れも
知
(
し
)
る
亂暴
(
らんぼう
)
の
上
(
うへ
)
なしなれど、
信如
(
しんによ
)
の
尻
(
しり
)
おし
無
(
な
)
くは
彼
(
あ
)
れほどに
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
りて
表町
(
おもてまち
)
をば
暴
(
あら
)
し
得
(
ゑ
)
じ、
人前
(
ひとまへ
)
をば
物識
(
ものしり
)
らしく
温順
(
すなほ
)
につくりて
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
吾
(
わが
)
愛する頼山陽氏と世上の
物識
(
ものしり
)
とに教へる。魚は右にあらうが、左にあらうが、早く箸を
下
(
おろ
)
した方が一番いいのである。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
ところが或る
物識
(
ものしり
)
の方は、「イヤ/\西洋にも幽霊がある、決して無いとは云われぬ、必ず有るに違いない」と仰しゃるから、私共は「ヘエ
然
(
そ
)
うでございますか、幽霊は
矢張
(
やっぱり
)
有りますかな」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
まつりの夜の
處爲
(
しうち
)
はいかなる卑怯ぞや、長吉のわからずやは誰れも知る亂暴の上なしなれど、信如の尻おし無くば彼れほどに思ひ切りて表町をば
暴
(
あら
)
し得じ、人前をば
物識
(
ものしり
)
らしく
温順
(
すなほ
)
につくりて
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
変だなと気が
注
(
つ
)
いて、色々な
物識
(
ものしり
)
に訊いてみると、
謡曲
(
うたひ
)
のなかには健康にためにならないのがあるといふ事が判つた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
だから
平常
(
ふだん
)
から言はない事ぢやない、
画家
(
ゑかき
)
は無学では困る。そして鸚哥はまた
画家
(
ゑかき
)
以上に
物識
(
ものしり
)
で、滅多な樹にとまらぬやうにして呉れなくちや困る。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
その
後
(
あと
)
で鴈治郎は一ぱし
物識
(
ものしり
)
らしい顔をして、英吉利では
狗
(
いぬ
)
も洋服を着てゐるさうだから、
汝
(
おまへ
)
も是非洋服を着ねばならぬと、
女房
(
かない
)
に言つて聞かせた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
水木氏は大和にある仏の名前と
妓
(
をんな
)
の顔とをみんな知り抜いてゐる程の
物識
(
ものしり
)
である。手紙を読んだ一刹那、水木氏は
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
むかしむかし、
埃及
(
エヂプト
)
にアマアシスといふ王様があつた。王様にしておくのは勿体ない程の
物識
(
ものしり
)
で、数多い学者のなかには、この人のお蔭になつたのも少くはなかつた。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
、
先日
(
こなひだ
)
えらい
物識
(
ものしり
)
の方がお
来
(
い
)
なはつて、その方に承はると、何でも
宅
(
うち
)
の先祖ちふのは、竹田出雲たらいふ途方もない学者だしたさうな。
恰
(
ちやう
)
ど道真公と同じ時代でな……。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
京都大学の文科教授新村
出
(
いづる
)
博士は、言語学者で、
物識
(
ものしり
)
で、おまけに万事によく気がつく方なので、これまでだつて、亡くなつた上田敏氏の未定稿『ダンテの神曲』を刊行した事以外には
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
だが、さる
物識
(
ものしり
)
の説によると、基督が言つたやうに人は
麺麭
(
パン
)
のみで生きるものでないと同じく、鼠も米のみで生きる事は出来ない。人間に宗教が要るやうに、鼠には
水気
(
みづけ
)
のある菜つ葉が必要だ。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
禅師の説によると、
梟
(
ふくろ
)
は土を
捏
(
こ
)
ねて、それを暖めて
雛
(
ひよ
)
つ
児
(
こ
)
にするものださうで、禅師は古人の歌やら伝説やらを引張り出してそれを証明した。
側
(
そば
)
で聴いてゐた人は禅師の
物識
(
ものしり
)
に驚いたといふ事だ。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
物
常用漢字
小3
部首:⽜
8画
識
常用漢字
小5
部首:⾔
19画
“物識”で始まる語句
物識顏
物識顔