滞在たいざい)” の例文
旧字:滯在
わたしたちは何週間もリヨンに滞在たいざいしていた。そのあいだひまさえあればいく度もわたしはローヌ川と、ソーヌ川の波止場はとばに行ってみた。
すなわち、第五夜は一八三三年のパリ滞在たいざい中の体験から、第六夜は一八三七年のスウェーデン旅行の印象をもととして書かれたものである。
絵のない絵本:02 解説 (新字新仮名) / 矢崎源九郎(著)
すなわち、第五夜は一八三三年のパリ滞在たいざい中の体験から、第六夜は一八三七年のスウェーデン旅行の印象をもととして書かれたものである。
この菜の花の平野に囲まれた清艶せいえんな小都市に、復一は滞在たいざいして、いろいろ専門学上の参考になる実地の経験を得たが、特に彼の心に響いたものは
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
ここしばらく、京都に滞在たいざいしている徳川家康とくがわいえやす陣営じんえいへにわかに目通りをねがってでたのは、梅雪入道ばいせつにゅうどうであった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
……わたしはこの温泉宿やどにもう一月ひとつきばかり滞在たいざいしています。が、肝腎かんじんの「風景」はまだ一枚も仕上しあげません。
温泉だより (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
首尾しゅび彼岸ひがんに達して滞在たいざい数月、帰航のき、翌年うるう五月を以て日本に安着あんちゃくしたり。
天気てんきになるまでは、みんなこのみなとうち滞在たいざいしていることだろうから……。
カラカラ鳴る海 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたくしたき修行場しゅぎょうば滞在たいざいした期間きかんはさしてながくもなかったうえに、あそこはわば精神統一せいしんとういつ特別とくべつ行場ぎょうばでございましたので、これはとってとく申上もうしあげるほどの面白おもしろ出来事できごともございませぬ。
御無沙汰ごぶさたをいたしました。今月の初めからぼくは当地に滞在たいざいしております。
美しい村 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
みんなは、悪漢どもが島に滞在たいざいしていることを知らないのだ。凶悪無残きょうあくむざん海蛇うみへびら! かれらはどんな惨虐さんぎゃくな行為を一同の上に加えるだろう、早くげなければならない、どうあっても死なれない。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
れいに、なにかよいものをおあげしたいが、たびのことで、なにもなくお気のどくです。けれどこれからあと六日の滞在たいざいちゅう、毎夜来て、こよいの物語を聞かしてくだされば、ありがたいことです。
壇ノ浦の鬼火 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
それは春琴が十七歳の五月で佐助は大阪に居残り女中二人が附き添って十月まで有馬に滞在たいざい目出度めでたく男の子を生んだそのあかぼうの顔が佐助にうり二つであったとやらでようやくなぞが解けたようなものの
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
しかし武内宿禰たけのうちのすくねだけは、お小さな天皇をおつれ申して、けがはらいのみそぎということをしに、近江おうみ若狹わかさをまわって、越前えちぜん鹿角つぬがというところに仮のお宮を作り、しばらくの間そこに滞在たいざいしておりました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
パリに滞在たいざいしているのは仕事に引きめられているためで、やがて年を取ればまた村へ帰って来て、たんまりかせいで来たお金で、おかみさんと気楽にくらすつもりであった。
近江おうみ安土あづちか、長浜の城か、あるいは京都にご滞在たいざいか、まずこの三つを目指めざしていけ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
航海中より彼地かのちいたりて滞在たいざい僅々きんきん数箇月なるも、所見しょけん所聞しょぶん一としてあらたならざるはなし。
こまったのは、このとき良人おっとじいやもなかなかかえろうとしないことで、現世げんせでいうなら二人ふたりが二三にちわたくし修行場しゅぎょうば滞在たいざいするようなことになりました。もっとも、それはただ気持きもちだけのはなしでございます。
私がその宿屋に滞在たいざいする度にいつも私にあてがわれる離れの一室。
美しい村 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
なかで、穴山梅雪入道あなやまばいせつにゅうどうは、役目をおえたのち、主人の徳川家康とくがわいえやすにいとまをもらって、甲州北郡きたごおりへかえるところを、廻り道して、見物がてら、泉州のさかいに、半月あまりも滞在たいざいしていた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)