河馬かば)” の例文
このうち双趾類というは、足のゆびが双足の中線の両方に相対してならびあるので、豹駝ジラフ、鹿、牛、羊、駱駝、豚、河馬かば等これに属す。
翌暁、あか泥河でいがのそばで河馬かばの声を聴いた。その、楽器にあるテューバのような音に、マヌエラは里が恋しくなってしまった。
人外魔境:01 有尾人 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
例えば動物園へ子供を連れて行って子供に実際の河馬かばを見せるのと優秀な教育映画の河馬を見せるのと、どう違うかという問題を考えてみる。
教育映画について (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
大納言は河馬かばのようにふとっているから、白衣の男が二人がかりで襟クビをつかんでひきずっても、思うように動かない。
現代忍術伝 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
河馬かば」という渾名あだなの、或る部長がいて、どんなきっかけがあったともなく辰弥をひいきにし始め、特別手当の出るようにはからってくれたり
季節のない街 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
目のついているところは、河馬かばの目のように、ふくれあがっている。そうして目玉が大きく、ぐりぐりとよく動く。どっちの方角もよく見える。
火星兵団 (新字新仮名) / 海野十三(著)
子供さんがジフテリヤで、大変侘し気な風采ふうさいだったのをおぼえている。靴をそろえる時、まるで河馬かばの口みたいに靴の底が離れていたものだった。
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
たとえば「河馬かば」とか、「仁王におう」とか、「どぶねずみ」とか、「胸毛むなげの六蔵」とか、いったようなのがそうであった。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
しかすると河馬かばのような水棲動物であったかも判らないと思うが、それにしても河馬が日本にいるという話を聞かないので、どうにも解釈がつきかねる。
赤い牛 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
衆望の期するところ、臂力ひりょく衆に勝れ、河馬かばのごとくに鈍重なる所員フノ・ゴメズ君がその選に当る。
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
この錠前だと言うのを一見に及ぶと、片隅に立掛けた奴だが、大蝦蟆おおがまの干物とも、河馬かば木乃伊みいらともたとえようのねえ、しなびて突張つっぱって、兀斑はげまだらの、大古物のでっかい革鞄かばんで。
唄立山心中一曲 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
河馬かばのような大きな入口は、かれの方にむかって、窓あかりに浮きながら開かれていた。
幻影の都市 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
おぢさん「でもあのしるがすきなとりがあるとさ。そのとりると河馬かばはじつとして、あの毛穴けあななか黴菌ばいきんとりがとつてくれるのをまつてゐるんだつてさ。それがそのとり食物しよくもつなのさ」
「笠森笠森と仰しゃるが、あの河馬かばのような男は、一体あなたの為にはなんです」
す。りよう武帝ぶてい達磨大師だるまだいしに問ふ。如何いかんこれ仏法ぶつぽう云ふ。水中の河馬かば
動物園 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
をりをりあいちやんはすこしくはなれていけなかなにかゞ水音みづおとてゝるのをきつけなんだらうかとおもひつゝそばへ/\とおよいできました。はじあいちやんは、それが海象かいざう河馬かばちがひないとおもひました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
「動物園へ河馬かばが来てるんだからさ。ね。連れてつてお呉れよ。」
(新字旧仮名) / 久米正雄(著)
巨大の河馬かばうそぶきて、波濤はたうたぎつる河の瀬を
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
河馬かばのように見える。1255
その忙しさの間に、園長をつかまえてきて、これも料理しスペシァルの御馳走としてぞう河馬かばなどにやらなきゃならんそうで、いやはや大変なさわぎですよ
爬虫館事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ワイズミュラーはプールのまん中までもぐっていって、顔をだしざま、水をふきあげて、ガガア! という河馬かばのマネ(ではないかと思うが)を再三やって見物衆をよろこばせた。
安吾巷談:10 世界新記録病 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
それがわずか二十五歳で、河馬かばのように醜悪な六十歳の老人と結婚したのです。
岩兎は外貌が熟兎に似て物の骨骼こっかくその他の構造全く兎類と別で象や河馬かば等の有蹄獣の一属だ。この物にも数種あってアフリカとシリアに産す(第三図は南アフリカ産ヒラクス・カベンシス)
巨大の河馬かばうそぶきて、波濤たぎつる河の瀬を
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
太郎「おぢさん河馬かばきたないねえ」
河馬かばを見にね。」
(新字旧仮名) / 久米正雄(著)
河馬かば
動物園 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
素人しろうと考えですがね、例えば河馬かばの居る水槽すいそうの底深く死体が隠れていないかおしらべになりましたか」
爬虫館事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
大きな椅子にドッカリと河馬かばのやうにふんぞり返つて、黙つて坐つてゐるかも知れん。
盗まれた手紙の話 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
建物から一夜のうちに時計台を盗んでいったり、科学博物館から剥製はくせい河馬かばの首を盗んでいったり、また大いに変ったところでは、恋敵こいがたきの男から彼の心臓を盗んでいったりいたしました
水の中にもぐっていたものが浮きあがったのであろうが、その色は赤黒く、大きさは疊三枚ぐらいもあり、それがこんもりとふくれあがって河馬かばの背中のようであったが、河馬ではなかった。
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
頭の上は白く禿げているところがあり、頭の上には、りっぱな角のような触角が二本、にゅっと出ていた。頭の、その他のところは河馬かばのように妙にうす赤い色をおび、てらてらと光っていた。
大宇宙遠征隊 (新字新仮名) / 海野十三(著)