柱時計はしらどけい)” の例文
柱時計はしらどけいは、カッタ、コット、カッタ、コットと、たゆまずときをきざんでいましたが、きなれているので、かくべつみみにつきません。
風七題 (新字新仮名) / 小川未明(著)
和太郎さんの年とったおかあさんは、ぶいぶいと糸くり車をまわしては、かた目で柱時計はしらどけいを見あげ見あげ、夜おそくまで待っていました。
和太郎さんと牛 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
事務室の柱時計はしらどけいがゆっくり、十時をうった。次郎はかぞえるともなくその音をかぞえていたが、かぞえおわると、やにわに立ちあがった。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
「えゝてよ」と柱時計はしらどけいると、もう四時よじちかくである。御米およねは「四時よじ五時ごじ六時ろくじ」と時間じかん勘定かんぢやうした。小六ころくだまつてあによめかほてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ってとうさんがちゃかっている柱時計はしらどけいころは、その時計とけいはりが十していた。
伸び支度 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
蘿月らげつ仕方しかたなしに雨戸あまどめて、再びぼんやりつるしランプのしたすわつて、続けざまに煙草たばこんでは柱時計はしらどけいの針の動くのをながめた。時々ねずみおそろしいひゞきをたてゝ天井裏てんじやううらを走る。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
みんなはそれっきりだまって仕度したくしました。赤シャツはみんなの仕度する間、入口にまっすぐに立って、室の中を見まわしていましたが、ふと室の正面にかけてあるまる柱時計はしらどけいを見あげました。
耕耘部の時計 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
七ばんめは柱時計はしらどけいはこのなかにとびこみました。
なぜなら、ちちははが、いえったはじめのころは、まだいまのおおきな柱時計はしらどけいもなくて、このおき時計どけいただ一つがたよりだったからでした。
時計と窓の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
秋のからりと晴れた午後のこと、久助君は柱時計はしらどけいが三時半をしめすと、「ああできた」と、算術の教科書をパタッととじ、つくえの前を立ちあがった。
久助君の話 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
よる煤竹すゝだけだいけた洋燈らんぷ兩側りやうがはに、ながかげゑがいてすわつてゐた。はなし途切とぎれたときはひそりとして、柱時計はしらどけい振子ふりこ音丈おとだけきこえることまれではなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
あの蒼白あおじろい美しい柱時計はしらどけいがガンガンガンガン六時をちました。
耕耘部の時計 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
柱時計はしらどけいを見ると、もう十一時を二十分ほどすぎていた。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
木之助は胡弓を見ていた。それから柱時計はしらどけいを見た。午前九時十五分前。遠くからカンカンカンとかねおとが雪の上を明るく聞えて来た。小学校が始まったのだ。
最後の胡弓弾き (新字新仮名) / 新美南吉(著)
柱時計はしらどけいつてゐるいへが一けんだけで、高等小學かうとうせうがくかよ小供こどもが三にんしかないというはなしであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
そして、あちらに、かかっている柱時計はしらどけいちいさなくろでじっとつめていたのです。
風の寒い世の中へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
いえかえると、さっそく、柱時計はしらどけいと、おき時計どけい時間じかんくらべてみました。やはり、十五ふんばかりちがっていました。いままで、こんな研究けんきゅうをしなかったことにも、がありました。
時計と窓の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)