木戸口きどぐち)” の例文
がくやをさがしてもいないので、見物人にまじって、にげ出しやしないかと、ぼくは、見物人がかえりかけてから、ずっと、木戸口きどぐちで見はっていた。
灰色の巨人 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
もんが、また……貴方あなたおもてでもなければくゞりでもなくつて、土塀どべいへついて一𢌞ひとまは𢌞まはりました、おほきしひがあります、裏門うらもん木戸口きどぐちだつたとまをすんです。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
徘徊はいかいする引四時過ひけよつすぎの寂しさか(『絵本江戸土産』巻六)然らずば仲之町なかのちょう木戸口きどぐちはあたかも山間の関所せきしょの如く見ゆる早朝の光景(江戸百景のうち廓中東雲しののめ
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
それをながめた竹童ちくどうが、試合場しあいじょう中央ちゅうおうで飛びあがるように手をふると、あなたにいた木隠こがくれたつみ加賀見かがみ山県やまがたの四人、矢来やらい木戸口きどぐちから一さんにそこへかけだしてきて
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「けんかをしたのか。はやく、ここからうらほうへおげよ。」と、小僧こぞうさんは、だまって、木戸口きどぐちけてくれました。すぐあとしんちゃんが、いきらしてはしってきました。
仲よしがけんかした話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして木戸口きどぐちすわって大きなこえ
文福茶がま (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
しかしてすべてこの世界のあくまで下世話げせわなる感情と生活とはまたこの世界を構成する格子戸こうしど溝板どぶいた物干台ものほしだい木戸口きどぐち忍返しのびがえしなぞいう道具立どうぐだてと一致している。
引返ひきかへして、木戸口きどぐちから露地ろぢのぞくと、羽目はめ羽目はめとのあひだる。こゝには一疋いつぴきんでない。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
きよしくんは、すぐにわりてはしりました。まもなく、木戸口きどぐちから、少年しょうねんをつれて、はいりました。
すずめを打つ (新字新仮名) / 小川未明(著)
いくつかの、まだたことのないもりや、まだらないみちとおって、やはりはらっぱのなかに、五、六けんあった、その一けんまえまり、にわ木戸口きどぐちけて、二人ふたりは、はいりました。
少年と秋の日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
二、三にちたって、いさむちゃんは木戸口きどぐちから、「光子みつこさん!」といって、あそびにきました。
はちの巣 (新字新仮名) / 小川未明(著)
旅僧たびそうは、そのまま、だまって、木戸口きどぐちていきました。
水七景 (新字新仮名) / 小川未明(著)