かい)” の例文
おどろいてめたが、たしかにねここゑがする、ゆめかいか、はねきてたらまくらもとにはれい兒猫こねこすはつてゐた、どこからしのんでたのやら。
ねこ (旧字旧仮名) / 北村兼子(著)
首尾しゅびよく、わしぬすみのはなれわざをやりとげて、飛行天行ひこうてんこうかいをほしいままに、たちまちきたのは家康いえやす采地さいち浜松の城下。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かい老人はそれとも知らず、ますますさびしい屋敷町へと、テクテク歩いていきましたが、みょうなことに、町かどへ来るたびに、かならず地面にしゃがむのです。
妖怪博士 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
片鱗へんりん溌墨淋漓はつぼくりんりあいだに点じて、虬竜きゅうりょうかいを、楮毫ちょごうのほかに想像せしむるがごとく、芸術的に観じて申し分のない、空気と、あたたかみと、冥邈めいばくなる調子とをそなえている。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
けれども同博士のかいより出でて怪に入る仕事は、まだ半分も進行していないので御座います。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
まして市郎の為に、最初はじめは靴で額を蹴破られ、次に石を以て真向まっこう打割うちわられ、最後には味方の石によって顔一面を砕かれたのであるから、肉は砕け、骨はあらわれて、しゅうかい
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「司馬の道場では、挨拶にやった門之丞を、無礼にも追いかえしましたぞ。先には、あなた様を萩乃さまのお婿に……などという気は、今になって、すこしもないらしい。かい至極しごく——」
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
蕪村は狐狸こりかいを為すことを信じたるか、縦令たとい信ぜざるもこの種の談を聞くことを好みしか、彼の自筆の草稿『新花摘しんはなつみ』は怪談をすること多く、かつ彼の句にも狐狸を詠じたる者少からず。
俳人蕪村 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
この国は今言うような趣味の材料には、最も豊富な国と言っていい、都鄙とひおしなべて、何か古城趾こじょうしがあるとすればことに妙であるが、其処そこには何等なにらかの意味に於いて、何等なにらかのかいが必ず潜んでいる。
不吉の音と学士会院の鐘 (新字新仮名) / 岩村透(著)
かいを見て怪とせざる勇気で、変なものが見えても「こっちに竿があるんだからね、何でもない」という意味を言ったのであったが、船頭もちょっと身をかがめて、竿の方をのぞく。客も頭の上の闇を覗く。
幻談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
幽霊とは人間の化けたもので妖怪とは人外じんがいかいである。
ばけものばなし (新字新仮名) / 岸田劉生(著)
アトランティス生物のかい
海底大陸 (新字新仮名) / 海野十三(著)
というのも、しばしば妻の身が襲われかけたり、林冲りんちゅうが友人の家で酔っている間に、不慮な事件が留守中に起ったり、何度となく、なぞのごときかいのろわれていたからだった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なぜかさびしい所さびしい所とよって通るので、ほとんどすれ違う人もなく、ひっそりとした夜更けの往来を、たった一人で歩いている一寸法師の姿は、一層ようかいじみて見えた。
一寸法師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
これはたして人かかいついに分らぬ。武士さむらいと云ふのは私の父である。
雨夜の怪談 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
死体置場したいおきばかい
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
かいな笑い声、咲耶子さくやこ、心をゆるすまいぞ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
林の中のかい
三十年後の世界 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「うぬッ、かいな女め」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
仔猫こねこかい
鞄らしくない鞄 (新字新仮名) / 海野十三(著)
白昼はくちゅうかい
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
山頂さんちょうかい
崩れる鬼影 (新字新仮名) / 海野十三(著)