ひこ)” の例文
「卑弥呼、もし爾が我の子を産めば姫を産め。我は爾のごとき姫を欲する。もし爾がひこを産めば、我のごとき彦を産め。我は爾を愛している。爾は我を愛するか。」
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
ひこさんの方へってまかなってもらってるんだから、少しは楽にならなけりゃならない訳さ
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
赤尾あかをひこ息子むすこのやうにちがひにつてかへつたもり候へば、もと/\利發りはつ貴君樣あなたさまそのづかひはあるまじきなれど、放蕩ほうたうものにでもおりなされては取返とりかへしがつき申さず
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
鳴子なるこ引板ひたも、半ば——これがためのそなえだと思う。むかしのものがたりにも、年月としつきる間には、おなじ背戸せどに、孫もひこむらがるはずだし、第一椋鳥むくどりねぐらを賭けて戦う時の、雀の軍勢を思いたい。
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
またそのほか、ひとは万物の霊長で「日の友」だとか、人は地上において唯一の尊いものだから「ひとつ」の略であるとか、いろいろな解釈もありますが、古来男子をことごとくひこといいます。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
帷幕いばくに会する者、前田利家父子おやこを始めとし、勝家の養子勝政、不破ふわひこ勝光かつみつ、徳山五兵衛則秀のりひで、金森五郎八長近ながちか、原彦次郎房親ふさちか、拝郷五郎左衛門家嘉いえよしおさ九郎左衛門連龍つらたつ、安井左近太夫家清いえきよなど。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
医者いしゃ玄庵げんあんをはじめ、つまのおむら、座元ざもと羽左衛門うざえもん、三五ろうひころう、その人達ひとたちが、ぐるりと枕許まくらもと車座くるまざになって、なにかひそひそとかたっているこえが、とおくに出来事できごとのようにきこえていた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
その顏ごとに名があります。伊豫いよの國をエひめといい、讚岐さぬきの國をイヒヨリひこといい、阿波あわの國をオホケツ姫といい、土佐とさの國をタケヨリワケといいます。次に隱岐おき三子みつごの島をお生みなさいました。
……こえと一しょひこ七も霜の大地へころがった。
赤格子九郎右衛門の娘 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
カイコスルひこ、何はあれ
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
ひこ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
菊之丞きくのじょう駕籠かごを一ちょうばかりへだてて、あたかも葬式そうしきでもおくるように悵然ちょうぜんくびれたまま、一足毎あしごとおもあゆみをつづけていたのは、市村座いちむらざ座元ざもと羽左衛門うざえもんをはじめ、坂東ばんどうひころう尾上おのえきくろうあらし三五ろう
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)