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庇髪
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ひさしがみ
ふりがな文庫
“
庇髪
(
ひさしがみ
)” の例文
旧字:
庇髮
当世風の厚化粧
入毛
(
いれげ
)
沢山の
庇髪
(
ひさしがみ
)
にダイヤモンドちりばめ女優好みの頬紅さしたるよりも
洗髪
(
あらいがみ
)
に湯上りの薄化粧うれしく思ふ
輩
(
やから
)
にはダリヤ
一夕
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
そのくせ郁治と美穂子とはよく
相携
(
あいたずさ
)
えて散歩した。男は高師の制帽をかぶり、女は新式の
庇髪
(
ひさしがみ
)
に
結
(
ゆ
)
って、はでな幅の広いリボンをかけた。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
日露戦争の
旅順
(
りょじゅん
)
攻撃の記念の様にして起った名称で、前髪に芯を入れて、額の上に大きくふくらました形の、俗に
庇髪
(
ひさしがみ
)
と云った古風な洋髪のことだ。
悪霊
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そんな園内を歩きながら、一人の、
庇髪
(
ひさしがみ
)
の、胸高に
海老茶
(
えびちゃ
)
の
袴
(
はかま
)
をつけた、若い女の人が私の母に何やら話していた。
幼年時代
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
大きい
庇髪
(
ひさしがみ
)
をふりくずしながら、自分の泣き顔を男の胸にひしと押し付けて、声をあげて狂いわめいた。
探偵夜話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
大きな
才槌
(
さいづち
)
頭が顔のほうにつれて盛上ってゆき、額にかけて、そこが
庇髪
(
ひさしがみ
)
のようなお
凸
(
でこ
)
になっていた。
白蟻
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
男は三十五六の若紳士、女は
庇髪
(
ひさしがみ
)
の二十二三としか見えざる若づくり、大友は一目見て非常に驚いた。
恋を恋する人
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
鄙に稀なる美少女のお染は、その頃流行の大きい
庇髪
(
ひさしがみ
)
に結って、紫の袴をはいて居りました。
奇談クラブ〔戦後版〕:17 白髪の恋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
直ぐ隣の腰かけに、
水際立
(
みずぎわた
)
ってすっきりとした
装
(
なり
)
をした十八九の
庇髪
(
ひさしがみ
)
が三人並んで居る。二人は心を
空
(
そら
)
にして呂昇の方を見入って居る。一人の金縁眼鏡には露が光って居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
流行の
庇髪
(
ひさしがみ
)
に
真物
(
ほんもの
)
の真珠入の
鼈甲櫛
(
べっこうぐし
)
、一重
瞼
(
まぶた
)
の
下膨
(
しもぶく
)
れ。年の頃は二十二三であろうか。
山羊髯編輯長
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
と道子さんは
庇髪
(
ひさしがみ
)
にソッと手を当てた。未だ高いのが
流行
(
はや
)
っている頃だった。
負けない男
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
同じ教会の信者だといふハイカラな女学生が四五人、時々野村を訪ねて来た。其中の一人、脊の低い、鼻まで
覆被
(
おつかぶ
)
さる程
庇髪
(
ひさしがみ
)
をつき出したのが、或時朝早く野村の室から出て
便所
(
はばかり
)
へ行つた。
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
二十三四と、
二十歳
(
はたち
)
とくらいであろうか。姉の方は
庇髪
(
ひさしがみ
)
、妹の方は島田に結っているが、芸者というよりも、どこか素人くさい、人ずれのしていないところがあった。一匹ずつ、三毛猫を抱いている。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
四五年来の女子教育の
勃興
(
ぼっこう
)
、女子大学の設立、
庇髪
(
ひさしがみ
)
、
海老茶袴
(
えびちゃばかま
)
、男と並んで歩くのをはにかむようなものは一人も無くなった。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
女学生のでこでこした
庇髪
(
ひさしがみ
)
が赤ちゃけて、油についた
塵
(
ごみ
)
が
二目
(
ふため
)
と見られぬほどきたならしい。一同黙っていずれも唇を半開きにしたまま
遣
(
や
)
り
場
(
ば
)
のない目で
互
(
たがい
)
に顔を見合わしている。
深川の唄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
あれと云う間に、
孱弱
(
かよわ
)
い冬子は落葉の上に
捻倒
(
ねじたお
)
されると、お葉は
乗
(
の
)
し
掛
(
かか
)
って
其
(
そ
)
の
庇髪
(
ひさしがみ
)
を掴んだ。七兵衛は
胆
(
きも
)
を潰して、
直
(
すぐ
)
に
背後
(
うしろ
)
から抱き
縮
(
すく
)
めたが、お葉は一旦掴んだ髪を放さなかった。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
有楽座で初めて中将姫を聞いた時よりヨリ若く
今宵
(
こよい
)
は見えた。場内は一ぱいになった。頭の
禿
(
は
)
げた相場師らしいのや、
瀟洒
(
しょうしゃ
)
とした
服装
(
なり
)
の若い紳士や、
涼
(
すず
)
しく装うた
庇髪
(
ひさしがみ
)
、皆呂昇の
聴者
(
ききて
)
である。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
ハイカラな
庇髪
(
ひさしがみ
)
、
櫛
(
くし
)
、リボン、洋燈の光線がその半身を照して、一巻の書籍に顔を近く寄せると、言うに言われぬ香水のかおり、肉のかおり
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
夫の帰った物音に引窓からさす
夕闇
(
ゆうやみ
)
の光に色のない顔を
此方
(
こなた
)
に振向け、
油気
(
あぶらけ
)
失
(
う
)
せた
庇髪
(
ひさしがみ
)
の
後毛
(
おくれげ
)
をぼうぼうさせ、寒くもないのに
水鼻
(
みずばな
)
を
啜
(
すす
)
って、ぼんやりした声で、お帰んなさい——。
監獄署の裏
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
芳子もその
傍
(
そば
)
に
庇髪
(
ひさしがみ
)
を
俛
(
た
)
れて談話を聞いていた。父親の眼に映じた田中は元より気に入った人物ではなかった。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
海老茶
(
えびちゃ
)
とか
庇髪
(
ひさしがみ
)
とかに関係をつけると、あとではのっぴきならんことが起こって、身の破滅になることもある。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
美穂子は
白絣
(
しろがすり
)
を着ていた。帯は白茶と
鶯茶
(
うぐいすちゃ
)
の腹合わせをしていた。顔は少し肥えて、頬のあたりがふっくりと肉づいた。髪は例の
庇髪
(
ひさしがみ
)
に
結
(
ゆ
)
って、白いリボンがよく似合った。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
其頃は女子の教育は盛になつて
庇髪
(
ひさしがみ
)
と海老茶の袴とが段々眼につくやうになつてゐた。新派の和歌は、この新しい時代の女をそのサークルの中に入れることを過またなかつた。
明治文学の概観
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
ふと
栗梅
(
くりうめ
)
の
縮緬
(
ちりめん
)
の羽織をぞろりと着た
恰好
(
かっこう
)
の好い
庇髪
(
ひさしがみ
)
の女の後ろ姿を見た。
少女病
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
庇
漢検準1級
部首:⼴
7画
髪
常用漢字
中学
部首:⾽
14画
“庇”で始まる語句
庇
庇護
庇合
庇様
庇間
庇護者
庇下
庇蔭
庇陰
庇廂