トップ
>
山百合
>
やまゆり
ふりがな文庫
“
山百合
(
やまゆり
)” の例文
栗原山の山居にもいたあの
山百合
(
やまゆり
)
にも似ていた可憐な——名を、おゆうといった女性であることは、もうあらためて問うまでもない。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
夕涼
(
ゆふすゞ
)
みには
脚
(
あし
)
の
赤
(
あか
)
き
蟹
(
かに
)
も
出
(
い
)
で、
目
(
め
)
の
光
(
ひか
)
る
鮹
(
たこ
)
も
顯
(
あらは
)
る。
撫子
(
なでしこ
)
はまだ
早
(
はや
)
し。
山百合
(
やまゆり
)
は
香
(
か
)
を
留
(
と
)
めつ。
月見草
(
つきみさう
)
は
露
(
つゆ
)
ながら
多
(
おほ
)
くは
別莊
(
べつさう
)
に
圍
(
かこ
)
はれたり。
松翠深く蒼浪遥けき逗子より
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
山百合
(
やまゆり
)
は花終らば根を掘りて乾ける砂の
中
(
なか
)
に入れ置けかし。あれはかくせよ。これはかうせよと
終日
(
ひねもす
)
襷
(
たすき
)
はづす
暇
(
いとま
)
だになかりけり。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
鞄
(
かばん
)
を置いたる
床間
(
とこのま
)
に、
山百合
(
やまゆり
)
の花のいと大きなるを
唯
(
ただ
)
一輪
棒挿
(
ぼうざし
)
に
活
(
い
)
けたるが、
茎形
(
くきなり
)
に
曲
(
くね
)
り傾きて、あたかも
此方
(
こなた
)
に向へるなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
今秋は
御地
(
おんち
)
より
山百合
(
やまゆり
)
二千個、芍薬
種子
(
たね
)
三升程、
花菖蒲
(
はなしやうぶ
)
五百株送附し来る都合に相成居り候間、追つて明年の結果御報知申上ぐべく候。(後略)
新らしき祖先
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
▼ もっと見る
自分はすぐに顔を洗いに行った。
不相変
(
あいかわらず
)
雲のかぶさった、
気色
(
きしょく
)
の悪い天気だった。
風呂場
(
ふろば
)
の
手桶
(
ておけ
)
には
山百合
(
やまゆり
)
が二本、
無造作
(
むぞうさ
)
にただ
抛
(
ほう
)
りこんであった。
子供の病気:一游亭に
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
山百合
(
やまゆり
)
のマルタゴン、
黄
(
き
)
いろい眼をしたマルタゴン、
東羅馬
(
ひがしろおま
)
の百合の花、
澆季皇帝
(
げうきくわうてい
)
の
愛玩
(
あいぐわん
)
、
聖像
(
せいざう
)
の
香
(
かう
)
。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
この姫のもとにおいでになつて一夜お
寢
(
やす
)
みになりました。その河をサヰ河というわけは、河のほとりに
山百合
(
やまゆり
)
草が澤山ありましたから、その名を取つて名づけたのです。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
今は十三歳と聞けばなつかしき
山百合
(
やまゆり
)
の、いま
幾年
(
いくとせ
)
たゝば人目にかゝらむなど戯れける
中
(
うち
)
に、老婆は
他
(
ほか
)
の小娘の、むかしの少娘のとしばへなるものを
抱
(
いだ
)
き来りて我を驚ろかせぬ。
三日幻境
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
山里も
朴
(
ほお
)
、
栃
(
とち
)
、すいかずらの花のころはすでに過ぎ去り、
山百合
(
やまゆり
)
にはやや早く、今は
藪陰
(
やぶかげ
)
などに顔を見せる
蕺草
(
どくだみ
)
や谷いっぱいに香気をただよわす
空木
(
うつぎ
)
などの季節になって来ている。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
逗子の別荘にては、武男が出発後は、病める身の心細さやるせなく思うほどいよいよ長き
日一日
(
ひまたひ
)
のさすがに暮らせば暮らされて、はや一月あまりたちたれば、麦刈り済みて
山百合
(
やまゆり
)
咲くころとなりぬ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
「
夕暗
(
ゆふやみ
)
に白さ目につく
山百合
(
やまゆり
)
の匂ひ深きは朝咲きならむ」
睡蓮
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
夏
(
なつ
)
は
山百合
(
やまゆり
)
、
難波薔薇
(
なにはばら
)
香
(
か
)
にほのめきぬ
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
緋おどし谷一
帯
(
たい
)
は、ほとんど
山百合
(
やまゆり
)
の花でうまっている。むしろ
百合谷
(
ゆりだに
)
と
呼
(
よ
)
ぶべきところだが、その盆地に
特殊
(
とくしゅ
)
な一
部落
(
ぶらく
)
があって、百合より名をなすゆえんとなっている。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
物可恐
(
ものおそろ
)
しげなる沢の名なるよ。げに思へば、人も死ぬべき処の名なり。我も既に死なんとせしがと、さすが
現
(
うつつ
)
の身にも
沁
(
し
)
む時、宮にはあらで
山百合
(
やまゆり
)
の花なりし怪異を又
懐
(
おも
)
ひて、彼は
肩頭
(
かたさき
)
寒く
顫
(
ふる
)
ひぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
山百合
(
やまゆり
)
のマルタゴン、
葡萄色
(
えびいろ
)
の
頭巾
(
づきん
)
を
被
(
かぶ
)
つてゐる。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
“山百合(ヤマユリ)”の解説
ヤマユリ(山百合、学名: Lilium auratum)とはユリ科ユリ属の多年生植物。山地に生える日本特産のユリで、夏に咲く花は大型で白く、山中でもよく目立ち、強い芳香を放つ。鱗茎は食用のユリ根になり、別名リョウリユリともよばれている。
(出典:Wikipedia)
山
常用漢字
小1
部首:⼭
3画
百
常用漢字
小1
部首:⽩
6画
合
常用漢字
小2
部首:⼝
6画
“山”で始まる語句
山
山家
山路
山羊
山茶花
山間
山中
山谷
山毛欅
山車