“藪陰”の読み方と例文
読み方割合
やぶかげ100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
雨は止んだが、路は田圃たんぼの様だ。彼は提灯ちょうちんもつけず、更らに路をえらばず、ザブ/\泥水をわたって帰った。新宿から一里半も来た頃、真闇な藪陰やぶかげで真黒な人影に行合うた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
さてその翌朝あけのあさ、聴水は身支度みじたくなし、里のかたへ出で来つ。此処ここの畠彼処かしこくりやと、日暮るるまで求食あさりしかど、はかばかしき獲物もなければ、尋ねあぐみてある藪陰やぶかげいこひけるに。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
山里もほおとち、すいかずらの花のころはすでに過ぎ去り、山百合やまゆりにはやや早く、今は藪陰やぶかげなどに顔を見せる蕺草どくだみや谷いっぱいに香気をただよわす空木うつぎなどの季節になって来ている。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)