屈曲くつきよく)” の例文
水流をわたるのまされるに如かず、され共渉水亦困難こんなんにして水中石礫せきれき累々るゐ/\之をめば滑落せざることほとんどまれなり、衆皆石間せきかんあしき入れてあゆむ、河は山角を沿ふてはなはだしく蜿蜒えん/\屈曲くつきよく
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
さうするとみんながげるやうにきしあがつてゆびしてさき屈曲くつきよくさせながらさわぐ。ちひさな子供こどもざるにしたまゝにはあてずにこゑはなつてく。與吉よきちうしてかされた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
たれたる形状かたち蝋燭らふそくのながれたるやうなれど、里地さとちのつらゝとたがひて屈曲くつきよく種々しゆ/″\のかたちをなして水晶すゐしやうにてたくみに作りなしたるがごとく、玲瓏れいろうとして透徹すきとをれるがあさひかゞやきたるはものにたぐふべきなしと
くわふるに寒肌あはを生じ沼気沸々ふつ/\鼻をく、さいはひに前日来身躰しんたい鍛錬たんれんせしが為め瘧疫ぎやくえきかかるものなかりき、沼岸の屈曲くつきよく出入はじつに犬牙の如く、之に沿うてわたることなれば進退しんたい容易やうゐ捗取はかどらず
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
勘次かんじ矢立やたてごと硬直かうちよく身體からだ伸長しんちやう屈曲くつきよくさせて一/\とはこんだ。かれ周圍しうゐ無數むすう樹木じゆもくいてさゝやくのをみゝれなかつた。加之それのみでなくかれ自分じぶん耳朶みゝたぶらるさへこゝろづかぬほど懸命けんめい唐鍬たうぐはつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)