小父をぢ)” の例文
我に帰つて、栄蔵は、近所でかまどの下に火をいてゐた小父をぢさんにきいて見ると、小父さんはかういつて教へてくれた。
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
小父をぢさま、あたしあなたの御親切に對して千遍せんべんもお禮を申します。」そして立上つて、「お母さまはこんな風になすつたでしよ、ねえ、違つて小父さま?」
おい、こら、初坊、もう帰るんだよ。こゝへ来て、小父をぢさんや小母をばさんに「さよなら」をいひなさい。
五月晴れ (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
つたふ……孫右衞門まごゑもんづけた小父をぢさんが、獨酌どくしやく醉醒よひざめに、がねたをくびあげてさむさかな、と來山張らいざんばり屏風越びやうぶごしに、魂消たまげくびしてのぞいたとく。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
太郎たらう次郎じらうは一とうさんにいて、三郎さぶらう木曾きそ小父をぢさんのうちたづねたことがりましたらう。あの小父をぢさんのうちまへから、木曽川きそがはながれるところをましたらう。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「だつてさ、あそこに、あの犬の主人がゐるんだぞ。ほら、あの中学生みたいのと、そのうしろの、ふとつちよの口ひげの小父をぢさん。あの中学生が、ステツキをおつことしたんだ。」
プールと犬 (新字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
小父をぢさん。御免なさい、これから気をつけますから。」
田舎家ゐなかやに中風病みのわが小父をぢが赤き花見る春の夕暮
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
小父をぢさん、ここは三途さんづの河原よ』
子供に化けた狐 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
「そんな小父をぢさんは知らないよ」
小父をぢさま、今ジョンがね、あなたの代理人が來て、お目にかゝりたがつてますつて云ひましたわ。」
よつてしからぬ二人連ふたりづれを、畜生ちくしやう蝦蟆賣がまうりめ、とふ。たゞし蝦蟆がま赤蛙あかがへるなり。蝦蟆がまや、蝦蟆がんまい。——そのあとから山男やまをとこのやうな小父をぢさんが、やなぎむしらんかあ、やなぎむしらんかあ。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
三郎さぶらうはもうながいこと信州しんしう木曾きそ小父をぢさんのうちやしなはれてまして、あに太郎たらう次郎じらうのところへ時々とき/″\手紙てがみなぞをよこすやうになりました。三郎さぶらうはことし十三さい末子すゑこがもう十一さいにもなりますよ。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
小父をぢさんが来る、真蒼まつさをに、あしも顫へて
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
初男はつを小父をぢさんの顔を覚えてるか。
五月晴れ (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
世界で一番 よい小父をぢさん
未刊童謡 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
小父をぢさんたちは、おとなしいし、第一だいいち品行ひんかう方正はうせいだから……つたごと無事ぶじであつた。……はいゝとして、隣地りんち心行寺しんぎやうじ假門かりもんにかゝると、電車でんしや行違ゆきちがふすきを、同伴つれが、をかしなことをいふ。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
小父をぢさまは、先生のことを仰しやつたわ。あたしの先生のお名前をいたわ。そして、小ちやな、可成り痩せて蒼白あをじろい方ぢやないかつて。あたし、さうですつて云つたの。だつてさうなんですもの。
まづは安心と軍鶏屋しやもや小父をぢさん
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
河童の小父をぢ
十五夜お月さん (旧字旧仮名) / 野口雨情(著)
小父をぢさんだの、とこかい。……ぢやいや。」と莞爾につこりした。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
小父をぢさん、今日こんにちは。
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
小父をぢさんよ
未刊童謡 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)