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よこ
ふりがな文庫
“
寄
(
よこ
)” の例文
私の學資は毎月極めて
郷里
(
くに
)
から送つて
寄
(
よこ
)
して呉れるといふ風には成つて居ませんでした。これには私は多少の不安を感じて居ました。
幼き日:(ある婦人に与ふる手紙)
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
と、直ぐ有り合せの
麺麭屑
(
パンくづ
)
と、お説教本とを贈つて
寄
(
よこ
)
さうとするかも知れないが、犬を食つたのは何も肉が高くなつたからではない。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
いかにも人を馬鹿にした云い草や又、あまり見っともいい事でもないのにむき出した葉書でなぞ
寄
(
よこ
)
すのがたまらなく気にさわった。
栄蔵の死
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
「云ひ憎いわけがあるの。何時帰るか解らないけれど妾が手紙を
寄
(
よこ
)
すまでは、何とかうまいことを云つて家に居て下さいね。」
女優
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
所々奔走してゐるけれども、まだ出来さうな様子が見えないので、已を得ず三千代に云ひ付けて代助の所に頼みに
寄
(
よこ
)
したと云ふ事が
分
(
わか
)
つた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
慰めの手紙を
寄
(
よこ
)
してくれたことがあったのであるが、こんな所で、山と雲だけを眺めている伯父の身にとっては、もっともな心づかいであったのである。
由布院行
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
相手のたゝいて
寄
(
よこ
)
す歌が分ると、そのしるしに、こっちからも同じ調子で打ちかえしてやる。隣りはその間、自分のをやめて聞いているのだ。そして俺のが終ると
独房
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
サディはウッドワード夫人がフロリダ地方へ出立する以前、一ヶ月
許
(
ばか
)
り女中として住み込んでいた。そして彼女は室々の詳細の様子をスパイダーに知らせて
寄
(
よこ
)
したのだ。
赤い手
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
弁才
勝
(
すぐ
)
れた比丘とあり、この二大宝を二億金の代りに我に
寄
(
よこ
)
せと、中天王惜しんで与えそうもなきを見、かの比丘説法して、世教は多難なる故、王は一国のみを化す、これに引き替え
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
園子の姉とか妹とかいう人達までこの老人に
托
(
たく
)
してそれぞれ
餞別
(
せんべつ
)
なぞを贈って
寄
(
よこ
)
してくれたことを考えても、思わず岸本の頭は下った。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
母さんは云ひかけて、烈しくかぶりを振つて、そして、とう/\、また、この田舎の叔父様のところに
寄
(
よこ
)
されてしまつた。
鵞鳥の家
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
応募原稿は総て三万余通、世界の各方面から送つて
寄
(
よこ
)
されたもので、なかには仏蘭西の塹壕のなかで書いた物さへあつた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「もとは、よく手紙が来たから、様子が分ったが、近頃じゃ
些
(
ちっ
)
とも
寄
(
よこ
)
さないもんだから」
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「未来のWと思っていたが、君が嫁いて失望した……いずれその内に訪ねて行く……」こんなことを女名前にして書いて
寄
(
よこ
)
す人も有った。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
一体
直
(
ぢき
)
に手紙の返事を
寄
(
よこ
)
す人には神信心の厚い、正直者が多いものだが、この応募者も察する所、正直者だつたに相違ない。返事にはかうあつた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
と礼を云ひ、母が
寄
(
よこ
)
したのだといふチユーリツプの鉢を私の机の上に置いた。春時分のことだつたに違ひない。
塚越の話
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
「もとは、よく手紙が
来
(
き
)
たから、様子が
分
(
わか
)
つたが、近頃ぢや
些
(
ちつ
)
とも
寄
(
よこ
)
さないもんだから」
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「どんなにか叔母さんも御力落しでしょう」と正太はお雪の方へ向いて、慰め顔に、「
郷里
(
くに
)
の母からも、その事を手紙に書いて
寄
(
よこ
)
しました」
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
かういふ
理由
(
わけ
)
で、H氏が上京する報知が来ると、井上侯はいつも迎へ車を
停車場
(
ていしやば
)
まで
寄
(
よこ
)
す事を忘れなかつた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
それあ、町へ行くのはドリアンを飛ばせて行くんだから僕は返つて面白いけれど、何しろ先月からは何も彼もキヤツシでなければ
寄
(
よこ
)
さないといふ規定が出来たのでね。
川を遡りて
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
已を得ず三千代に云い付けて代助の所に頼みに
寄
(
よこ
)
したと云う事が分った。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
お節が旅館から妹へ通じて
寄
(
よこ
)
した電話で、叔父さんのところでは馳走振の
鰻飯
(
うなぎめし
)
を冷くして待つて居た。お婿さんの外国土産などもそこへ取出された。
出発
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
浜口夫人はその女中については、幾度か
実家
(
さと
)
へ頼んで
寄
(
よこ
)
して貰つたが、なか/\気に入つたのが無かつた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
自分でもそれを悦んでゐるらしく、やがて私に
寄
(
よこ
)
す手紙にもB・Rと署名したりした。手紙といふのは、若しも土曜日に他の約束が出来て熱海にゐる私を訪れ難い折に、簡単な断り状に過ぎなかつた。
タンタレスの春
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
「
彼女
(
あれ
)
は病人を引受けてるで……俺がまた入替りに成って、彼女をも
寄
(
よこ
)
すわい……御風呂にでも入れてやって御くれ」
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
一人は徳川の四天王、一人は江戸の国学者、一人は幕末の剣術使ひで、新村氏とはみんな深い
昵懇
(
なじみ
)
であつたが、不都合な事には、誰一人年賀状を
寄
(
よこ
)
してゐなかつた。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
それを受取って見て、岸本は元園町の友人が復た手紙と一緒にわざわざ迎えの
俥
(
くるま
)
までも
寄
(
よこ
)
してくれたことを知った。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
欧羅巴
(
ヨーロツパ
)
の戦線に派遣せられた米国の軍隊に、牛乳配達夫の召集せられたのが一人
交
(
まじ
)
つてゐた。その男が最近
郷里
(
くに
)
の
女房
(
かない
)
あてに
寄
(
よこ
)
した手紙には、次のやうな文句があつた。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
親戚や知人からはそれぞれ品物やら手紙やらで祝って
寄
(
よこ
)
した。三吉が妻の友達にと紹介した二人の婦人からも来た。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
なりはなつたが、何だつて桂田氏が思ひがけなくあんな電報を
寄
(
よこ
)
したのか、訳が分らなかつた。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
しかし同情の
籠
(
こも
)
った岡見の手紙は、一旦は捨吉をびっくりさせたが、それを
寄
(
よこ
)
してくれた岡見の心情を考えさせた。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
手錠といふと、数年前
西伯利亜
(
シベリア
)
の監獄にゐる或る囚徒が本国の文豪ゴリキイに手錠を一つ送つて
寄
(
よこ
)
した。自分が牢屋で
拵
(
こさ
)
へた記念品だから、遠慮なく納めて呉れと言つた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
その前に父から私に
寄
(
よこ
)
した手紙の中には古い歌などを引合に出して寸時も忘れることの出來ないといふやうな濃情の溢れた言葉が書き連ねてあつたこと
幼き日:(ある婦人に与ふる手紙)
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
幾度封筒を逆さにしてみても、なかからは柿は愚かな事、柿の
蔕
(
へた
)
一つ出なかつた。芥川氏は前の日に
寄
(
よこ
)
した原稿が気に喰はなかつたらしく、
態々
(
わざ/\
)
書きかへて送つてくれたのだつた。電報は
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
この友人が
多忙
(
いそが
)
しい
身
(
からだ
)
に
僅
(
わずか
)
の
閑
(
ひま
)
を見つけて隅田川の近くへ休みに来る時には、よく岸本のところへ使を
寄
(
よこ
)
した。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
こうした
周囲
(
まわり
)
の空気の中で、捨吉は
待侘
(
まちわ
)
びた手紙の返事を受取った。先輩の吉本さんから
寄
(
よこ
)
してくれた返事だ。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
牧野君からは、早速便りがあって、一緒に心配した
甲斐
(
かい
)
が有ったと言って、自分のことのように悦んでくれた。骨休めに、遊びに来い、こうも言って
寄
(
よこ
)
した。
芽生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「そうそう、木曾路を行くがごとしなんて、君から書いて
寄
(
よこ
)
したッけネ——
是方
(
こっち
)
の暑さが思いやられたッけ」
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
何時
(
いつ
)
山の上へ着いたとも、
何処
(
どこ
)
へ宿を取ったとも、
判然
(
はっきり
)
知らせて
寄
(
よこ
)
さないような曾根が、こうして自分等の家へ訪ねて来たということは、
酷
(
ひど
)
く三吉を驚かした。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
信州の方へ度々手紙を
寄
(
よこ
)
した未知の若い友は、その人の友達と二人で
旅舎
(
やどや
)
に私を待つて居て呉れた。
突貫
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
六月の二十日頃に出た手紙は、海の
暴
(
あ
)
れるのと霧が深いのとで未だ同じ港に滞在して、目的の地を踏むことも出来ずに居ると言つて
寄
(
よこ
)
した。お節は待遠しい思をした。
出発
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「私はお
母
(
つか
)
さんの側には
半歳
(
はんとし
)
しか居ません。ホラ、叔父さんのとこから電報を
寄
(
よこ
)
して下すつたでせう。あの時はお
母
(
つか
)
さんは私を離したくないやうな風でしたけれど……」
出発
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
しかしお母さんの言ったことは、殊に別れ際に、「月に一度ぐらいはお前も手紙を
寄
(
よこ
)
してくれよ」
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
父は村の中の
眺望
(
ながめ
)
の好い位置を擇んで小さな別莊を造つたとかで、母と共に新築の家の方へ移つたことや、その建物から見える
遠近
(
をちこち
)
の山々、谷、林のさまなどを書いて
寄
(
よこ
)
しました。
幼き日:(ある婦人に与ふる手紙)
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「めづらしいことだ——
必
(
きつ
)
と誰かに教はつて
寄
(
よこ
)
した、なんて言ふだらうなあ。」
伊豆の旅
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
東京の友人が戦地へ赴く前に
寄
(
よこ
)
した
別離
(
わかれ
)
の手紙は私の心に強い刺戟を与へた。
突貫
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
殊に同じ経験があると言って、長く長く書いて
寄
(
よこ
)
してくれた雑誌記者があった。君とは久しく往来も絶えて了ったが、その手紙を読んで、何故に君が今の
住居
(
すまい
)
の不便をも忍ぶか、ということを知った。
芽生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
“寄(寄(松田町))”の解説
寄(やどりき)は、神奈川県足柄上郡松田町にある集落の地名。地名の由来は、諸説有るが、寄り合い(部落の集まり)が木の下で行われていた事から寄木=やどりぎになったと言われている。
(出典:Wikipedia)
寄
常用漢字
小5
部首:⼧
11画
“寄”を含む語句
寄席
寄合
寄生木
立寄
寄付
寄附
寄集
寄人
寄木
詰寄
馳寄
打寄
年寄
近寄
摺寄
似寄
取寄
駈寄
寄来
片寄
...