“壞(くづ)” の例文
新字:壊
何のことはない、私の錯覺と壞(くづ)れかかつた街との二重寫しである。そして私はその中に現實の私自身を見失ふのを樂しんだ。
檸檬 (旧字旧仮名) / 梶井基次郎(著)
ともすれば壞(くづ)れやうとする膝を掻き合はせては少しづつ身を進ませて、汗を拭いて、一生懸命になつて聽き入つて居る。
姉妹 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
下(した)からして一側(ひとかは)も石(いし)で疊(たゝ)んでないから、何時(いつ)壞(くづ)れるか分(わか)らない虞(おそれ)があるのだけれども、不思議(ふしぎ)にまだ壞(くづ)れた事(こと)がないさうで、その爲(ため)か家主(やぬし)も長(なが)い間(あひだ)昔(むかし)の儘(まゝ)にして放(はふ)つてある。
門 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
元來(ぐわんらい)岸(きし)の柳(やなぎ)の根(ね)は、家々(いへ/\)の根太(ねだ)よりも高(たか)いのであるから、破風(はふ)の上(うへ)で、切々(きれ/″\)に、蛙(かはづ)が鳴(な)くのも、欄干(らんかん)の壞(くづ)れた、板(いた)のはなれ/″\な、杭(くひ)の拔(ぬ)けた三角形(さんかくけい)の橋(はし)の上(うへ)に蘆(あし)が茂(しげ)つて、蟲(むし)がすだくのも
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
カピ長 いや、速(はや)う成(な)るものは速(はや)う壞(くづ)るゝ。末(すゑ)の頼(たの)みを皆(みな)枯(から)し、只(たゞ)一粒(ひとつぶ)だけ殘(のこ)った種子(たね)、此土(このよ)で頼(たの)もしいは彼兒(あれ)ばかりでござる。さりながら、パリスどの、先(ま)づ言寄(いひよ)って女(むすめ)の心(こゝろ)をば動(うご)かしめされ。
、此時この古き岩こゝにもほかのところにもかく壞(くづ)れしなりき —四五
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
なべては壞(くづ)れ亂されき、人と生れて
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
草間(くさま)には赤い影(かげ)這ふ壞(くづ)れ屋に
展望 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
壞(くづ)れた胸に響くことよ!
メランコリア (旧字旧仮名) / 三富朽葉(著)
壞(くづ)れて騷ぐ松浦や
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
風景にしても壞(くづ)れかかつた街だとか、その街にしても他所他所(よそよそ)しい表通よりもどこか親(した)しみのある
檸檬 (旧字旧仮名) / 梶井基次郎(著)
自分(じぶん)の勝手(かつて)に作(つく)り上(あ)げた美(うつ)くしい未來(みらい)が、半分(はんぶん)壞(くづ)れかゝつたのを、さも傍(はた)の人(ひと)の所爲(せゐ)ででもあるかの如(ごと)く心(こゝろ)を亂(みだ)してゐる小六(ころく)の歸(かへ)る姿(すがた)を見送(みおく)つた宗助(そうすけ)は、暗(くら)い玄關(げんくわん)の敷居(しきゐ)の上(うへ)に立(た)つて
門 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
眼(ま)のあたり佗しげの徑(こみち)の壞(くづ)れ
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
朽ちはてて壞(くづ)れゆく
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)