たへ)” の例文
以て役人の手をかり無理無體むりむたいに我を殺さんとなす成ん然すれば何程苦痛くつうたへるともつひには命を失はずには置れまじ此上は一日も早く苦痛くつう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
寢ても覺めても私の傍には、私の身を世界に唯一の頼りとする女一人が生きてゐるのだ。義務と責任の重さがたへられぬ程私の肩をおさへる。
歓楽 (旧字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
彼女かのじよはその苦痛くつうたへられさうもない。けれどもくろかげかざしてたゞよつて不安ふあんは、それにもして彼女かのぢよくるしめるであらう。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
にいよいよ動悸どうきたかく、みしめるそでなみだこぼれて、令孃ひめ暫時しばらくうちしてきけるが、吹入ふきい夜風よかぜたがたましひか、あくがるヽこヽろ此處こヽたへがたく、しづかにつて妻戸つまどせば
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
見るが如し所によりてはやことばの斯く變るは面白し此のかにいろ/\歌あれど今作り添へたるものにて卑俗聽くにたへず諸國風俗唄の古きにはよきが多し是等取調べてあしきは捨てよきを
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
口のはたむず/\するまで言出いひいだしたさにたへざれども、怪しき婦人が予をいましめ、人にひそと謂へりしが耳許みゝもとに残りりて、語出かたりいでむと欲する都度つど、おのれ忘れしか、秘密を漏らさば
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
空腹すきはらにおよんでさむさたへず、かくては貴殿おみさまともなひて雪をこぐことならず、さいぜんのはなしにおみさまのふところ弁当べんたうありときゝぬ、それを我にあたへたまふまじきや、たゞにはもらふまじ、こゝに銭六百あり
九助より度々申立ると雖役人衆一向いつかうあげも御座なく只白状はくじやう致せ/\とのみ日々拷問がうもん嚴敷きびしく何分苦痛くつうたへかね候に付餘儀なく身に覺もなき人ごろしの趣きを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
空腹すきはらにおよんでさむさたへず、かくては貴殿おみさまともなひて雪をこぐことならず、さいぜんのはなしにおみさまのふところ弁当べんたうありときゝぬ、それを我にあたへたまふまじきや、たゞにはもらふまじ、こゝに銭六百あり
以て證據しようことなし人殺しは九助と牢問らうどひに及びしならん依て九助は呵責かしやく苦痛くつうたへ兼て其罪に陷入おとしいれしを其方は一途に人殺しは九助なりと心得しに相違さうゐ有まじと申さるゝを理左衞門はおのれが落度にならんを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)