呼名よびな)” の例文
それからうま呼名よびなでございますが、わたくしかねての念願ねんがんどおり、若月わかつきあらためて、こちらでは鈴懸すずかけぶことにいたしました。
その語もまだ残って東北ではアッパ、沖繩ではアンマがあるが、一般に呼名よびなは許される限り上級へと登って行って、裏長屋うらながやにも奥さんは多くなったのである。
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
友達ともだちいやしがりて萬年町まんねんちやう呼名よびないまのこれども、三五らうといへば滑稽者おどけもの承知しやうちしてくむものなききも一とくなりし、田中屋たなかやいのちつな親子おやこかうむる御恩ごおんすくなからず
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
すると跛足リンピイリンプ——これはあとから酒場で自己紹介し合って判ったのだが、男は、Limpy Limp なる呼名よびなに自発的に返事して、つまりびっこだった——は、ここで一そう
さらば我一代を何がための犠牲などこと/″\しくとふ人もあらん、花は散時ちりどきあり月はかくる時あり、わが如きものわが如くして過ぬべき一生なるに、はかなきすねものの呼名よびなをかしうて
樋口一葉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
妙な呼名よびなだが、変り者同士のことだから、あまりおかしく響かない。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
モン長 いや、こなたよりはまだまゐらするものがおぢゃる。吾等われら純金じゅんきんにてひめざうまうし、このヹローナがおな呼名よびならるゝかぎり、貞節ていせつなヂュリエットどのゝ黄金こがねざうをば上無うへな記念かたみあがめさせん。
うつせみの世をく去りし昔の人の呼名よびなかと。
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
良人おっとはしきりにうま鼻面はなづらでてやりながら『おまえもとうとう出世しゅっせして鈴懸すずかけになったか。イヤ結構けっこう結構けっこう! わしはもう呼名よびなについて反対はんたいはせんぞ……。』そうって、わたくしほうかえりみて
うつせみの世をく去りし昔の人の呼名よびなかと。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
わたくしは——じつ相州そうしゅう荒井あらい城主じょうしゅ三浦道寸みうらどうすんそく荒次郎あらじろう義光よしみつもうものつまだったものにございます。現世げんせ呼名よびな小櫻姫こざくらひめ——時代じだい足利時代あしかがじだい末期まっき——いまからやく四百余年よねんむかしでございます。