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各々
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めいめい
ふりがな文庫
“
各々
(
めいめい
)” の例文
白い姿の
慌
(
あわただ
)
しく
行交
(
ゆきか
)
うのを、見る者の目には極めて無意味であるが、彼等は
各々
(
めいめい
)
に大雨を意識して四壁の窓を閉めようとあせるのである。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
當日、脱いだ
各々
(
めいめい
)
の衣服をたたみ、持物や鼻紙まで添へて、やがてそれを、郷里の遺族たちへ——と考へてゐたのである。
折々の記
(旧字旧仮名)
/
吉川英治
(著)
と云いながら、窓を立て切って、
各々
(
めいめい
)
囲炉裏
(
いろり
)
の
傍
(
はた
)
へ帰る。この
混雑紛
(
どさくさまぎれ
)
に自分もいつの
間
(
ま
)
にか
獰猛
(
どうもう
)
の仲間入りをして、火の近所まで寄る事が出来た。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ところが
支倉
(
はぜくら
)
君、失神が下等神経に伝わっても、そういう連中が
各々
(
めいめい
)
勝手
気儘
(
きまま
)
な方向に動いている——それはいったい、どうしたってことなんだい。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
そして、
各々
(
めいめい
)
の
床屋
(
とこや
)
の
主人
(
しゅじん
)
は、すこしでもていねいに、
客
(
きゃく
)
の
頭
(
あたま
)
を
刈
(
か
)
って、また、ていねいに
顔
(
かお
)
を
剃
(
そ
)
ったのでした。
五銭のあたま
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
▼ もっと見る
そこで、智慧蔵は村の若者十人をつれて、
狸山
(
たぬきやま
)
へ探検に出かける事になりました。智慧蔵は長い
槍
(
やり
)
を提げ、若者は
各々
(
めいめい
)
刀を一本づゝ腰に差してゐました。
馬鹿七
(新字旧仮名)
/
沖野岩三郎
(著)
要するに掛値のないほんとの話は、金が今にも必要だ! ただそれだけの話であつて、そのほかのことは
各々
(
めいめい
)
に勝手なさうして逞しい空想力といふものがある。
金談にからまる詩的要素の神秘性に就て
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
黝ずんだ天井は低く垂れ下つて、糸の
露
(
あら
)
はな畳の上に彼女は坐つてゐた。彼女と並んで六人の女の子が坐り、彼女等はみな
各々
(
めいめい
)
が小さな罨法鍋を前にしてゐた。
外に出た友
(新字旧仮名)
/
北条民雄
(著)
それでいよいよ目を落してしまったところを見届けると、また黙って、
各々
(
めいめい
)
すいと出ておいでなすってね。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「何をホザイてゐるんだ。なんだ唐人の寐言みたいだ。結局環境といふも結局
各々
(
めいめい
)
の作り出すもんだ。」
私の事
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
女達は、もう
鼻啜
(
はなすす
)
りをしながら、それじゃアとて立ちあがる。水を持ち、線香を持ち、庭の花を沢山に採る。小田巻草千日草
天竺牡丹
(
てんじくぼたん
)
と
各々
(
めいめい
)
手にとり別けて出かける。
野菊の墓
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
こう思って
各々
(
めいめい
)
は同じく山下へ入り込んで行きましたが、
究竟
(
くっきょう
)
と思う
木蔭
(
こかげ
)
山蔭
(
やまかげ
)
をも無事に通り抜けさして、ついに
鶯谷
(
うぐいすだに
)
、
新坂
(
しんざか
)
の下まで乗物を送って来てしまいました。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ト、八戸君も小松君も、卓子から離れて
各々
(
めいめい
)
自分の椅子を引ずつて
暖炉
(
ストウブ
)
の
周匝
(
あたり
)
に集る。
菊池君
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
八人の警吏が
各々
(
めいめい
)
弓張
(
ゆみはり
)
を照らしつつ
中背
(
ちゅうぜい
)
の浴衣掛けの
尻端折
(
しりはしおり
)
の男と、浴衣に
引掛
(
ひっか
)
け帯の女の前後左右を囲んで行く跡から四、五十人の自警団が各々
提灯
(
ちょうちん
)
を持ってゾロゾロ
従
(
つ
)
いて行った。
最後の大杉
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
正午過
(
ひるすぎ
)
から降り出した吹雪のために、集ったのは
僅
(
わず
)
かに五人の男子でありましたが、五人はいつものように
鹿爪
(
しかつめ
)
らしくならないで、
各々
(
めいめい
)
椅子を引き寄せてストーヴを取り囲み、ウイスキーを飲み
印象
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
それから暫くの間、私達は
各々
(
めいめい
)
そっぽを向いて、黙り込んでいたが、突然カタンという音がして、諸戸は私の机の上に
俯伏
(
うつぶ
)
してしまった。両腕を組合せて、その上に顔をふせて、じっとしている。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
各々
(
めいめい
)
が思い思いの処に立って、夢からさめたばかりの様に気抜けのした、手持ちぶさたな顔をして、今まで自分等のさわいで居た処を見て始めて、
折角
(
せっかく
)
盛り分けた薯の椀の或るものはひっくりかえり
農村
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
各々
(
めいめい
)
勝手に保存した結果が、事件の基となったのであった。
生死卍巴
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
寝てるとね、盗んで来たここに在る奴等が、自分が
盗
(
と
)
られた時の様子を、その道筋から、
機会
(
きっかけ
)
から、
各々
(
めいめい
)
に話をするようで、
楽
(
たのしみ
)
ッたらないんだぜ。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そこで創作家も一種の人間でありますから
各々
(
めいめい
)
勝手な世界観を持って、勝手な世界を眺めているに違ない。
創作家の態度
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
文学の立場は
各々
(
めいめい
)
違ってるから、一概に美妙や紅葉の取った道を間違ってると軽断するではないが、二葉亭にいわしむれば生活の血の
滲
(
にじ
)
まない製作は文学を
冒涜
(
ぼうとく
)
する罪悪であったのだ。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
「紅茶の
御馳走
(
ごちそう
)
だ、君、寄宿舎の中だから何にもない、砂糖は
各々
(
めいめい
)
適宜に入れることにしよう。さあ、
神月
(
こうづき
)
。」
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一週間ほどしてから、彼らは
各々
(
めいめい
)
に見舞状を書いて、それを一つ封に入れて、余の宿に届けた。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
自分だけが命ぜられたツモリで
各々
(
めいめい
)
一生懸命になって骨を折ってると、イツカ互に
同士討
(
どうしうち
)
している事が解るから誰も皆
厭気
(
いやき
)
がさして手を引いてしまう。手を引くばかりでなく反感を持つようになる。
三十年前の島田沼南
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
各々
(
めいめい
)
自分勝手な迷信から、他人の持物を侵そうとする、それも方角が悪いといって、掃溜の置場所を変えよとでも謂うことか、
鶏
(
とり
)
を殺そうとは沙汰の限り。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
各々
(
めいめい
)
に向けて云い送るべきはずのところを、略して
文芸欄
(
ぶんげいらん
)
の一隅にのみ載せて、余のごときもののために時と心を使われたありがたい人々にわが近況を知らせるためである。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
日雇
(
ひやとい
)
の賃銭を集めて、
家
(
うち
)
に帰ると親仁の酒の酌をして、
灸
(
きゅう
)
の
蓋
(
ふた
)
を取換えて、肩腰を
擦
(
さす
)
って、枕に就かせて、それから、
歩
(
ぶ
)
を取って、
各々
(
めいめい
)
、二階に三人、店に五人
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
始めはわずか二三軒かと思ったら、登るに従って続々あらわれて来た。大きさも長さも似たもんで、みんな
崖下
(
がけした
)
にあるんだから位地にも変りはないが、
向
(
むき
)
だけは
各々
(
めいめい
)
違ってる。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
大勢寄ってなさる仕事を、貴女方、
各々
(
めいめい
)
御一人
宛
(
ずつ
)
で、専門に、完全に、一
人
(
にん
)
を救って下さるわけには参りませんか。力が余れば二人です、三人です、五人ですな。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
共に清水港の別荘に居る、
各々
(
めいめい
)
の夫は、別に船をしつらえて、三保まわりに久能の浜へ
漕
(
こ
)
ぎ寄せて、いずれもその愛人の
帰途
(
かえり
)
を迎えて、夜釣をしながら海上を戻る計画。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
食
(
や
)
るが
可
(
い
)
い。よく冷えてら。
堪
(
たま
)
らねえや。だが、あれだよ、
皆
(
みんな
)
、渡してある
小遣
(
こづかい
)
で
各々
(
めいめい
)
持
(
もち
)
だよ——
西瓜
(
すいか
)
が
好
(
よ
)
かったらこみで行きねえ、中は赤いぜ、うけ合だ。……えヘッヘッ。
瓜の涙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
各
常用漢字
小4
部首:⼝
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々
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