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ひきょうもの
ふりがな文庫
“
卑怯者
(
ひきょうもの
)” の例文
そこで
私
(
わし
)
は、では逃げてくれ、逃げて江戸へなり何処へなり行って、姿をかくしてくれと云うと、俺を
卑怯者
(
ひきょうもの
)
にするのかと云うのだ。
甲州鎮撫隊
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ひばりは、こう、ほおじろに
向
(
む
)
かっていいました。おとなしいほおじろだったけれど、
卑怯者
(
ひきょうもの
)
と
見
(
み
)
られたことが
残念
(
ざんねん
)
だったのです。
平原の木と鳥
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
と馬上にのび上がり、「返せ者ども、おくれて
卑怯者
(
ひきょうもの
)
の汚名をのこすな、元親みずから
冥途
(
めいど
)
の先がけしようぞ、つづけ!」
だんまり伝九
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「
卑怯者
(
ひきょうもの
)
め!」とある者は言った、「姿を現わせ、見える所に出てこい。それができないのか。隠れてばかりいるのか!」
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
馬鹿野郎! 手前たちは
木偶
(
でく
)
の棒だ。
卑怯者
(
ひきょうもの
)
だ。この子供がたとえばふだんいたずらをするからといって、今もいたずらをしたとでも思っているのか。
卑怯者
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
▼ もっと見る
「柳沢さんが、ちょっと雪岡さんに用があるから来て下さいって。……でも
卑怯者
(
ひきょうもの
)
だから、よう来ないだろうって」
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
およそその後今日までに私の
享
(
う
)
けた苦痛というものは、すべての空想家——責任に対する極度の
卑怯者
(
ひきょうもの
)
の、当然一度は受けねばならぬ性質のものであった。
弓町より
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
それを盗賊の所為とか個人的
怨恨
(
えんこん
)
の結果とか云う風に見るのは、故意に事実に眼を蔽う
卑怯者
(
ひきょうもの
)
の振舞である。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「敵に声をかけられておめおめ逃げるという
卑怯者
(
ひきょうもの
)
は浦中にあるかも知らんが、
黙々塾
(
もくもくじゅく
)
にはひとりもないぞ」
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
たとえこの佐渡が、身に
卑怯者
(
ひきょうもの
)
の
誹
(
そし
)
りをうけましょうとも、お家維持のためには、なお、御熟考の余地があるものと……押して申し上ぐる次第にござりますが
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
水野は命を惜しむ
卑怯者
(
ひきょうもの
)
ではない。自分とても同様である。しかも伯母の理窟も一応はもっともである。
番町皿屋敷
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
おぬしは、
卑怯者
(
ひきょうもの
)
じゃな。ははあ、さっき、わしが
阿濃
(
あこぎ
)
に薬をくれようとしたら、おぬしが腹を立てたのを見ると、あの
阿呆
(
あほう
)
をはらませたのも、おぬしらしいぞ。
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
いっちゃあいかん。意味なく恐れるのは
卑怯者
(
ひきょうもの
)
か馬鹿者だ。十分注意をはらって、これなら大丈夫だと自信がついたら、おそれないことだ。僕は自信があるから西瓜を
空襲警報
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
信念とがないんだ! つまり憶病者なんだ! 僕は!
卑怯者
(
ひきょうもの
)
なんだ! だが、僕は、今度は、やるよ、やって見よう! コーターマスター四人をも
起
(
た
)
たせて見よう。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
「お黙んなさい!……
卑怯者
(
ひきょうもの
)
、あなたには、私の苦しんでることがわからないんですか。……あなたから言ってもらいたくありません。打っちゃっといてください!」
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
自己
欺瞞
(
ぎまん
)
と
酩酊
(
めいてい
)
とに過ごそうとするのか?
呪
(
のろ
)
われた
卑怯者
(
ひきょうもの
)
め! その間を
汝
(
なんじ
)
の
惨
(
みじ
)
めな理性を
恃
(
たの
)
んで
自惚
(
うぬぼ
)
れ返っているつもりか?
傲慢
(
ごうまん
)
な身の
程
(
ほど
)
知らずめ!
噴嚏
(
くしゃみ
)
一つ
悟浄出世
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
もう壁にぶっつかったようにペンを
鷲
(
わし
)
づかみにして、原稿紙をピリピリさせながら——この
臆病者
(
おくびょうもの
)
、
卑怯者
(
ひきょうもの
)
、子供にも親にもひかれるこの
偽者
(
にせもの
)
め——などと殴り書きした。
冬枯れ
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
トレープレフ ところが、僕が決闘を申しこもうとしていると人から聞くと、人格者たちまち変じて
卑怯者
(
ひきょうもの
)
になっちまったってね。いよいよ
発
(
た
)
つんでしょう。見ぐるしい脱走だ!
かもめ:――喜劇 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
こういう例を見ると、「
花御供
(
はなごく
)
」の意味が充分にわかる。たぶん花も充分にその真の意味を知るであろう。彼らは人間のような
卑怯者
(
ひきょうもの
)
ではない。花によっては死を誇りとするものもある。
茶の本:04 茶の本
(新字新仮名)
/
岡倉天心
、
岡倉覚三
(著)
あの中間の犠牲取扱者は一体
何様
(
どう
)
いうものであるか、
卑怯者
(
ひきょうもの
)
なのか豪傑なのか。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「お前こそ馬鹿だ、三百代言だ、
卑怯者
(
ひきょうもの
)
だ! ソーニャが、ソーニャがお前の金を盗んだって。ソーニャが泥棒だって! ちょっ、かえってあの
娘
(
こ
)
の方がお前にやるくらいだよ、ばか!」
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
(犬のようにそっと入って来るなんて、
貴郎
(
あなた
)
はよっぽど
卑怯者
(
ひきょうもの
)
ですわね)
雨夜草紙
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
家中
(
かちゅう
)
一同は彼らを死ぬべきときに死なぬものとし、恩知らずとし、
卑怯者
(
ひきょうもの
)
としてともに
歯
(
よわい
)
せぬであろう。それだけならば、彼らもあるいは忍んで命を光尚に捧げるときの来るのを待つかも知れない。
阿部一族
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「
卑怯者
(
ひきょうもの
)
ッ、宮内の卑怯者ッ」
討たせてやらぬ敵討
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
臆病者
(
おくびょうもの
)
、
卑怯者
(
ひきょうもの
)
はみんなそれだ、自分で悪いことをしておきながら、その責任を人に背負わせようとする、なにより恥知らずな、きたならしい卑劣な根性だ
霜柱
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
ひとりの
卑怯者
(
ひきょうもの
)
もいなかった。ひとりの
死汚
(
しにぎたな
)
い者も出なかった。
悉
(
ことごと
)
くみな信長に
殉
(
じゅん
)
じた。外泊していた者まで駈けつけて来て、主君の側に忠誠の枕をならべた。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
みすみす敵の手に渡して置いて逃げ隠れするような
卑怯者
(
ひきょうもの
)
に、生まれついてはおりません。右門は千曲川の絶壁から真っ逆様に川の中へ切り込まれたのでございます
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ワーテルローでプロシア人とイギリス人との前から逃げ出した奴らは皆
卑怯者
(
ひきょうもの
)
だ。私が知ってるのはそれだけのことだ。お前の親父さんもその中にいたかどうか、私は知らん。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
卑怯者
(
ひきょうもの
)
だと思われ、
拳固
(
げんこ
)
を
恐
(
こわ
)
がってるのだと思われていた。けれどなぐられるよりも人をなぐるほうがずっと恐かったのだ。腕白者の一人にいじめられたある日、だれかにこう言われた。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
労働者階級を裏切る唯一の
卑怯者
(
ひきょうもの
)
の典型を、おれはおれ自身の中に見いだした。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
、船長ノルマン。お前は、ず太いが、
卑怯者
(
ひきょうもの
)
だ。なぜ、正直者のおれに人ごろしをさせた。しかもおれには、わけもなんにも知らせないで……。おれをペテンにかけやがった。正直者のおれを……
火薬船
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「ぼくは
卑怯者
(
ひきょうもの
)
を卑怯だといったのに富士男は
乱暴
(
らんぼう
)
をした」
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
売ったこともある、おれは泥にまみれ、傷だらけの人間だ、だから泥棒や売女や
卑怯者
(
ひきょうもの
)
の気持がよくわかる
赤ひげ診療譚:05 徒労に賭ける
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「忍剣、そちのうしろから、
鉄砲
(
てっぽう
)
をむけた
卑怯者
(
ひきょうもの
)
があったによって、わしが、このとおりにしたぞ」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「黙れ黙れ
卑怯者
(
ひきょうもの
)
めが!」浪人者は
威猛高
(
いたけだか
)
に叫ぶと一緒に
猿臂
(
えんぴ
)
を延ばし、相手の腕を引っ掴んだ。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「おう、
卑怯者
(
ひきょうもの
)
が!」と彼は言った。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「
卑怯者
(
ひきょうもの
)
!」
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
「お兄さまの悪口をいって、お兄さまが裏切者なんですって、
卑怯者
(
ひきょうもの
)
で不忠者ですって、そして千浪がそんなことうそよっていったら、みんなでどろをぶっつけたんだわ」
伝四郎兄妹
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「どう致しまして。彼は、荒木一類のごとき
卑怯者
(
ひきょうもの
)
ではありませぬ」
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
卑怯者
(
ひきょうもの
)
、そんなにおいちが欲しいならやってみろ、そうむざむざと斬られはしないぞ」
つばくろ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「
卑怯者
(
ひきょうもの
)
」と昂軒は喚き返した、「それでもきさまは討手か、勝負をしろ」
ひとごろし
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「
卑怯者
(
ひきょうもの
)
——」
風流太平記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
卑
常用漢字
中学
部首:⼗
9画
怯
漢検準1級
部首:⼼
8画
者
常用漢字
小3
部首:⽼
8画
“卑怯”で始まる語句
卑怯
卑怯千万
卑怯至極
卑怯漢