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凌駕
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りょうが
ふりがな文庫
“
凌駕
(
りょうが
)” の例文
この仕事を仕遂げるために必要であった彼の徹底的な自信はあらゆる困難を
凌駕
(
りょうが
)
させたように見える。これも一つのえらさである。
アインシュタイン
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
細心をきわめた手口を
観
(
み
)
てもわかるように、彼はじつに組織的な時としてははるかに普通人を
凌駕
(
りょうが
)
する明徹な頭脳の所有者だった。
浴槽の花嫁
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
しかるに前述せし通りヨブは信仰において知識において遥かに三友を
凌駕
(
りょうが
)
せる故、ゾパルの
振廻
(
ふりまわ
)
す天然知識
位
(
くらい
)
にて
怯
(
ひる
)
むべきはずがない。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
我々の文化を
凌駕
(
りょうが
)
するとも劣らざる最高度の文明さ! ただ夢のような謎に包まれて、あまりの不思議さに茫然たるほかはないのです。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
我、彼より立つのちなればいかに我は
健奔快飛
(
けんぽんかいひ
)
するも決して彼に追い及ぶことあたわざるなり。いわんやこれを
凌駕
(
りょうが
)
するにおいてをや。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
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貧乏人はいかに多くとも、それと同時に他方には世界にまれなる大金持ちがいて、国全体の富ははるかに他の諸国を
凌駕
(
りょうが
)
するからである。
貧乏物語
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
と、信長を
忌
(
い
)
むようになった。うるさくなった。なければと
厭
(
いと
)
う存在になった。——自分の勢威を
凌駕
(
りょうが
)
する邪魔物と敵視するようになった。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その人は甲にも乙にも丙にも
凌駕
(
りょうが
)
しているからあててみろというような数学的の問題を出す世の中だから子供から質問が出るのも無理はない。
中味と形式
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そうして、彼女自身は己の娘を
凌駕
(
りょうが
)
する美しい娘たちを見たときにはそれらの娘たちの古い悪行を、通る宿禰の後から大声で
饒舌
(
しゃべ
)
っていった。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
ムクも非凡な犬ではあったが、その体格の非凡さに於ては遥かにムクを
凌駕
(
りょうが
)
する。およそ今日まで、これほどの大きな、非凡犬を見たことはない。
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「やがて生涯の伴侶になろうという人、つまり夫に対する愛は、兄弟に対する愛を
凌駕
(
りょうが
)
しなければならないはずです」
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
どの個人作家が美において民衆を
凌駕
(
りょうが
)
し得たであろう。ある人はあの
仁清
(
にんせい
)
の存在を日本の栄誉として激賞する。彼の功績が無であると誰が敢えて云おう。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
芭蕉が創造の功は俳諧史上特筆すべきものたること論を
竢
(
ま
)
たず。この点において
何人
(
なんぴと
)
かよくこれに
凌駕
(
りょうが
)
せん。
俳人蕪村
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
小樽
(
おたる
)
をすら
凌駕
(
りょうが
)
してにぎやかになりそうな気勢を見せた岩内港は、さしたる理由もなく、少しも発展しないばかりか、だんだんさびれて行くばかりだったので
生まれいずる悩み
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
凌駕
(
りょうが
)
しては済まないと思ったんだね。人間の分を弁えている。神は強し人は弱しということを自ら悟っている。傘の由来の真偽は兎に角、名人は皆
真正
(
ほんとう
)
の人間さ
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
唯纔に岡村君が、或る方面に於いて多少私に類似し、若しくは
凌駕
(
りょうが
)
して居るだけでした。彼は私と同い年にも拘らず、一つか二つ年下に見える小柄な品のいゝ美少年でした。
金色の死
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
一面ごうつくの点にかけても、その母親を少しは
凌駕
(
りょうが
)
していた。彼女は五番めの婿が逃亡して以来、それまで母親の役目であったところの、
店賃
(
たなちん
)
の取立てを自分で執行した。
長屋天一坊
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
今ニ
三輪田
(
みわた
)
君ノ梅見ニ誘ウ文、高津君ノ悔ミノ文ナドヲ
凌駕
(
りょうが
)
スルコトト
思召
(
おぼしめ
)
シ下サイ
斎藤緑雨
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
「精密なること、金博士の製品を
凌駕
(
りょうが
)
しています。かかる精密なる毒瓦斯は……」
毒瓦斯発明官:――金博士シリーズ・5――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
聞くところによれば、彼女の技量はかの大独奏者、クルチスをも
凌駕
(
りょうが
)
すると云われているが、それもあろうか演奏中の態度にも、
傲岸
(
ごうがん
)
な気魄と妙に
気障
(
きざ
)
な、誇張したところが
窺
(
うかが
)
われた。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
素人
(
しろうと
)
がいかに脳漿を絞っても専門家を
凌駕
(
りょうが
)
して天下後世へ伝わるほどの名句が出来るはずもないのに、無用な事へ心を労してそれがために実用の智識を
等閑
(
なおざり
)
にするのは最も憂うべき事だ。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
わたしと弟とかれと三人、同じ
教師
(
きょうし
)
について勉強していたじぶん、マチアは、ギリシャ語やラテン語こそいっこう進歩はしなかったが、音楽ではずんずん先生を
凌駕
(
りょうが
)
(しのぐ)していた。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
武田信玄も、上杉謙信も、その軍隊の編制に於て、統率に於て、団体戦法に於て、用兵に於て、戦国の群雄をはるかに
凌駕
(
りょうが
)
して居り、つまり我国に於ける戦術の開祖と云うべきものである。
川中島合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
私は別に陶器作家を以て世に名を成すのが目的ではありませんから、現代作家を
凌駕
(
りょうが
)
し排撃して、その栄冠を自己一人にかち得ようとするようなケチな了見を
有
(
も
)
っているものではありません。
近作鉢の会に一言
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
先年のM商店の出品物を
遥
(
はるか
)
に
凌駕
(
りょうが
)
する壮麗な真珠塔を出陳したのである。
真珠塔の秘密
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
幸か不幸かこの山は、高さに於て遥に庚申山を
凌駕
(
りょうが
)
しているが、これに匹敵する何らの奇窟怪岩をも有しないことが、信仰の衰えとともに終に登山者を
惹
(
ひ
)
きつけぬ最大の原因となったものであろう。
皇海山紀行
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
入っては、従四位上少将、
高家
(
こうけ
)
の筆頭、
出
(
い
)
でてはすなわち一代の名君、
禄
(
ろく
)
は
僅
(
わず
)
かに四千二百石ではあっても、江戸城内における彼の権勢と、領地における実収入は優に四五万石の大名を
凌駕
(
りょうが
)
していた。
本所松坂町
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
……その意気や、仙台、紀文を
凌駕
(
りょうが
)
するものである。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
遥かに
凌駕
(
りょうが
)
する羽振りを見せていた。
歌麿懺悔:江戸名人伝
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
セザンヌやまたすべての科学者を優に
凌駕
(
りょうが
)
すべき鋭利の観察と分析の能力を具備していなければならないことと思われるのである。
ジャーナリズム雑感
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
しからばすなわち知るべきのみ。英国が露国を
凌駕
(
りょうが
)
するゆえんのものは富を有すればなり。露国が凌駕せらるるゆえんのものは富を有せざればなり。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
芭蕉が創造の功は俳諧史上特筆すべき者たること論を
俟
(
ま
)
たず。この点において
何人
(
なんぴと
)
か
能
(
よ
)
くこれに
凌駕
(
りょうが
)
せん。
俳人蕪村
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
この小麦が米と大麦とを
凌駕
(
りょうが
)
して穀物の王座にのぼる事になるのだが、パン食は日本人にはまだ向かない、また日本の小麦はうまくパンに焼くことが出来ない
百姓弥之助の話:01 第一冊 植民地の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
しかも誰か彼の作が原品たる「下手物」の美を
凌駕
(
りょうが
)
し得たと言い切る勇気をもとう。実に多くの優れた作家たちは民器の美を彼らの高い
目途
(
もくと
)
に置いていたのである。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
錫蘭
(
セイロン
)
島——東洋の真珠——は、その風光の美と豊富さにおいて、他にこれを
凌駕
(
りょうが
)
するものなし。
ヤトラカン・サミ博士の椅子
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
また早くより読み書きの道を学ぶに上達すこぶる
速
(
すみや
)
かにして二人の兄をさえ
凌駕
(
りょうが
)
したりき
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「然うでもなかろうが、内心
凌駕
(
りょうが
)
しようと思って及ばずながら努めている」
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
そしてまさにこの点で彼が、彼の
駁撃
(
ばくげき
)
を加えているヘラクリトス、エンペドクレース、アナクサゴラスの
輩
(
やから
)
をいかにはるかに
凌駕
(
りょうが
)
しているかを見る事ができよう。
ルクレチウスと科学
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
事実近代の科学的作品で美しさにおいて古代の作品を
凌駕
(
りょうが
)
し得たものは一つもない。今後もその望みはないと云ってよい。何故なら科学は一定の限界内の科学だからである。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
数年前の統計によるとフィルムの生産高の数字においてはわが国ははるかにフランスやドイツを
凌駕
(
りょうが
)
しているようであるが、これらの映画の品等においてはどうであるか。
映画芸術
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
文字数においてすでに短歌の三十一文字を
凌駕
(
りょうが
)
しているのであるが、一方ではまた短歌のほうでも負けていないで、五十文字ぐらいは普通だし六十字ぐらいまではたいして珍しくもないようである。
俳句の型式とその進化
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
“凌駕”の意味
《名詞》
凌 駕(りょうが)
他を上回ること。
(出典:Wiktionary)
凌
漢検準1級
部首:⼎
10画
駕
漢検準1級
部首:⾺
15画
“凌”で始まる語句
凌
凌辱
凌雲閣
凌統
凌霄花
凌霄
凌州
凌振
凌夷
凌轢