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六尺
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ろくしやく
とても
積らば
五尺六尺雨戸明けられぬ
程に
降らして
常闇の
長夜の
宴、
張りて
見たしと
縺れ
舌に
譫言の
給ふちろ/\
目にも
六花の
眺望に
別は
無けれど
と、ちよこなんとした
割膝の、
真中どころへ
頤を
据えて、
啣煙管で
熟と
眺める。……
老爺の
前を
六尺ばかり
草を
隔てゝ、
青年はばつたり
膝を
支いて、
手を
下げた。
講釋師の
言ふ、
槍のつかひてに
呪はれたやうだがと、ふと
見ると、
赤煉蛇であらう、たそがれに
薄赤い、
凡そ
一間、
六尺に
餘る
長蟲が、
崖に
沿つた
納屋に
尾をかくして、
鎌首が
鷄に
迫る
たゞしその
六尺の
屏風も、
飛ばばなどか
飛ばざらんだが、
屏風を
飛んでも、
駈出せさうな
空地と
言つては
何處を
向いても
無かつたのであるから。……
其の
癖、
醉つた。
醉ふといゝ
心持に
陶然とした。