例年れいねん)” の例文
まだあつ空氣くうきつめたくしつゝ豪雨がううさら幾日いくにち草木くさきいぢめてはつて/\またつた。例年れいねんごと季節きせつ洪水こうずゐ残酷ざんこく河川かせん沿岸えんがんねぶつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
例年れいねんだと、そのすゝきを、高樓たかどの——もちとをかしいが、このいへ二階にかいだからたかいにはちがひない。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さて、本校では例年れいねんのとおり、六年級の男女から、それぞれ一名の代表者だいひょうしゃをえらんで、全校の男子、女子にかわって、式場しきじょうで新年のあいさつをのべさせることにきまりました。
美しき元旦 (新字新仮名) / 吉田甲子太郎(著)
例年れいねん隣家となりを頼んだもち今年ことし自家うちくので、懇意こんいな車屋夫妻がうすきね蒸籠せいろうかままで荷車にぐるまに積んで来て、悉皆すっかり舂いてくれた。となり二軒に大威張おおいばり牡丹餅ぼたもちをくばる。肥後流ひごりゅう丸餅まるもちを造る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
例年れいねんのやうにいそがしい季節きせつ日傭ひようくことも出來できまいし、それにはおふくろてられた二人ふたり子供こどもることだし
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
きのふは仲秋ちうしう十五夜じふごやで、無事ぶじ平安へいあん例年れいねんにもめづらしい、一天いつてん澄渡すみわたつた明月めいげつであつた。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
大抵たいてい赤痢せきりかゝつてやうや身體からだちからがついたばかりの人々ひと/″\例年れいねんごと草刈鎌くさかりがまつて六夕刻ゆふこく墓薙はかなぎというてた。はかほとりはえるにまかせたくさ刈拂かりはらはれてるから清潔せいけつつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
なほ例年れいねん寒威かんゐきびしきよしにてうめなほつぼみなり。
熱海の春 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)