二方ふたかた)” の例文
けれども、このような思いすらも、お二方ふたかたの恋の気高さに比べますと、お恥かしい、汚らわしいもののように思われまして……。
押絵の奇蹟 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
その夢の中で、天照大神あまてらすおおかみ高皇産霊神たかみむすびのかみのお二方ふたかたが、建御雷神たけみかずちのかみをおめしになりまして、葦原中国あしはらのなかつくには、今しきりにみださわいでいる。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
老尼僧の慈悲 私はその時このお二方ふたかたの誠実なる慈悲の心に感じて、心の底から真に悦んだ。余り悦んだものですから覚えず涙が出ました。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
しかるにヒバス姫の命・弟姫の命のお二方ふたかたはお留めになりましたが、妹のお二方は醜かつたので、故郷に返し送られました。
上代に於けるわが日本国家の基礎を堅め、国民をして文化生活の恵沢に浴せしめた偉大なお二方ふたかたがある。それは、聖徳太子と中大兄皇子なかのおほえのわうじである。
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
このころにも、このお二方ふたかたりまいて、名人めいじんといつてよい人々ひと/″\だいぶんゐるのですが、そのおはなしは、只今たゞいまいたしません。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
「お二方ふたかたがお揃いになったからソロ/\用談に移りますかな。しかしその前に僕は一つ、お二方の御承知を願って置かなければならないことがある」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
此方こち向けば子鴉あはれ、其方そち向けば犬の子あはれ。二方ふたかたの鳥よけものよ。ひとしけくかはゆきものを、同じけくかなしきものを、いづれきいづれ隔てむ。
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「一気に登ると、やっぱり苦しいわ。東南院さんで、沸かして下さるのを待ってたもんだから、遅くなったの。方丈さんが、お二方ふたかたに、くれぐれも、よろしくッて」
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
「お二方ふたかたは、お退きなされい。しんがりは、われわれに、おまかせあって」
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
討手うって追撃ついげきを受けて宮は自害し給い、神器のうち宝剣ほうけんと鏡とは取り返されたが、神璽しんじのみは南朝方の手に残ったので、楠氏越智おち氏の一族さらに宮の御子みこ二方ふたかたほうじて義兵を挙げ、伊勢いせから紀井きい
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「へえ、これはお二方ふたかた、永らく御無沙汰を致してしまいました」
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「大殿、若殿、お二方ふたかたのお指図によりまして……。」
小坂部姫 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「でも、わちきのためにお二方ふたかたが——」
(あれ、お二方ふたかたが。)
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
二方ふたかたのたらちねの君
晶子詩篇全集拾遺 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
二方ふたかたともおひい様のところへは二度とおでになる事が出来ないような、恐ろしい運命に陥られる事になるので御座います。
ココナットの実 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
それから、つぎつぎに、火須勢理命ほすせりのみこと火遠理命ほおりのみことというお二方ふたかたがお生まれになりました。火遠理命ほおりのみことはまたの名を日子穂穂出見命ひこほほでみのみことともおび申しました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
此方こち向けば子鴉あはれ、其方そち向けば犬の子あはれ。二方ふたかたの鳥よけものよ。ひとしけくかはゆきものを、同じけくかなしきものを、いづれきいづれ隔てむ。
観相の秋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ここでお二方ふたかたの御子たちが互に天下をお讓りになつて、オケの命が、その弟ヲケの命にお讓り遊ばされましたには
で私はその二方ふたかたがれいれいとならべてまつってあるということについて、実に言うに言われぬいやな感じがいたしました。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
天皇てんのうさまをはじめ、皇族方こうぞくがたのうちで、圓滿えんまんうたつくられたおかたさがしてると、それから時代じだいさがつて、南北朝なんぼくちようのはじめごろ伏見天皇ふしみてんのう、それからその皇后こう/″\さまの永福門院えいふくもんいんといふおかた、このお二方ふたかた
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
「丁度宜しゅうございました。お二方ふたかたとも何うぞ御ゆっくり」
求婚三銃士 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
この天皇、三尾みおの君等の祖先のワカ姫と結婚してお生みになつた御子は、大郎子・イヅモの郎女のお二方ふたかたです。
それがドウモここではお話出来にくいんで……お二方ふたかたお揃いの前ではねえ。ヘヘヘヘヘ……。
人間腸詰 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そのつぎには高皇産霊神たかみむすびのかみ神産霊神かみむすびのかみのお二方ふたかたがお生まれになりました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
二方ふたかたに向きて犬ゐる赤硝子戸うちたたきても逃げざりにけり
雲母集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
で、その治療の結果を私が御報告申し上げたらお二方ふたかたともスッカリ御安心で……
冥土行進曲 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
二方ふたかたに喇叭吹き合ふ寄るのおぼろ田にもかはづの啼きしたしさ
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
「ヘイヘイ、今日はまことによいお天気様で……ヘイヘイ……これはあの、学部長様からのお使いで、お二方ふたかた様のお茶受けに差し上げてくれいとの、お申し付けで御座いましたが……ヘヘイ……」
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
二方ふたかたに喇叭吹き合ふ寄るのおぼろ田にもかはづの啼きしたしさ
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
あの花見の道中の道すがら満月が、昔なじみのお二方ふたかた様に、勿体ない事を申上げて、お恥かしめ申上ました事は、いつ、誰の口からともなく忽ちのうちに京、大阪中の大評判になりましたもので……。
名娼満月 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
二方ふたかたになりてわかるるあま小舟みを二手ふたてにわかれけるかも
雲母集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
漕ぎつれていそぐ釣舟二方ふたかたに濡れて消えゆくあまの釣舟
雲母集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
二方ふたかた雲雀ひばり囀れりうち羽振り大きなる円に小さなる円に
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
父母のあひに入り寝て思ふなり二方ふたかたの寝息あにやすからず
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
短日たんじつの分水嶺に我が立てば二方ふたかたへくだる水の瀬早し
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)