一團いちだん)” の例文
新字:一団
る/\うちそのかたち一團いちだんとなつて、深林しんりんなかえずなつた。稻妻いなづまはたしてよくこの大使命だいしめいはたこと出來できるであらうか。
みづない、水道すゐだうまつた」とこゑが、其處そこ一團いちだんつて、あしとともにふるへるわたしたちのみゝつらぬいた。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それでまためづらしくなつて、一旦いつたんせたのをまたけてると、不圖ふと假名かなまじらない四角しかくが二ぎやうほどならんでゐた。それにはかぜ碧落へきらくいて浮雲ふうんき、つき東山とうざんのぼつてぎよく一團いちだんとあつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
たちま何人だれ發聲おんどにや、一團いちだん水兵等すいへいらはバラ/\とわたくし周圍めぐり走寄はしりよつて『鐵車てつしや萬歳ばんざい々々々々。』とわたくし胴上どうあげをはじめた。
最後さいごに、かたかしら一團いちだんつたとおもふと——隊長たいちやうおもふのが、つゝおもてそむけましたとき——いらつやうに、自棄やけのやうに、てん/″\に、一齊いちどき白墨チヨオクげました。ゆきむらがつてるやうです。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
其他そのほか一團いちだん賤劣せんれつなる下等船客かとうせんきやくで、自己おのれ腕力わんりよくまかせて、突除つきの蹴倒けたをして、我先われさきにと艇中ていちう乘移のりうつつたのである。
暴風雨あらしいくさもよほすならむ、その一團いちだんはやすで沿岸えんがんやまいたゞきたむろせり。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)