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一先
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ひとまず
ふりがな文庫
“
一先
(
ひとまず
)” の例文
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
この場合面と向って愚図愚図云合おうよりは勢を示して
一先
(
ひとまず
)
外へ出た上、何とか適宜の処置を取ろうと思い定めたのである。
夏すがた
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
りよは小笠原邸の原田夫婦が
一先
(
ひとまず
)
引き取ることになった。病身な未亡人は
願済
(
ねがいずみ
)
の上で、里方桜井須磨右衛門の家で保養することになった。
護持院原の敵討
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
又盗すまれてはと、箪笥に
納
(
しも
)
うて錠を卸ろすや、今度は
提革包
(
さげかばん
)
の始末。これは妻の寝静まった後ならではと
一先
(
ひとまず
)
素知らぬ顔で床に入った。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
而して
一先
(
ひとまず
)
村へ帰って人々の助けを借りて、再び池の中を捜索したけれど、その苦心の
効
(
か
)
いもなく、とうとう死骸を見付ることが出来なかった。
稚子ヶ淵
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
一先
(
ひとまず
)
、
旅籠屋
(
はたごや
)
に落着かせまして、折角出て来たものですから、一日位見物しておいでなさいと、つい申して了いました。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
▼ もっと見る
私はこれで
一先
(
ひとまず
)
居士追懐談の筆を
止
(
と
)
めようと思う。私は今でもなお、居士の新らしい
骸
(
むくろ
)
の前で母堂の言われた言葉を思い出す
度
(
たび
)
に、深い考に沈むのである。
子規居士と余
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
やがてはまた、今夜の闇討が縁となって、その方どもが摩利の
御教
(
みおしえ
)
に帰依し奉る時も参るであろう。じゃによってその時が参るまでは、
一先
(
ひとまず
)
この場を退散致したが
好
(
よ
)
い。
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
紀の内意により度々後藤象次郎へ
誤
(
あやまり
)
出、何分対
二
薩州
一
不
レ
得
レ
止訳に相成、
一先
(
ひとまず
)
五代之申条に任せ候処、今日紀の官長、後藤へ罷越、重々誤入候趣申に付、許し遣し候。
手紙:079 慶応三年五月二十九日 小谷耕蔵、渡辺剛八あて
(新字旧仮名)
/
坂本竜馬
(著)
何が
扨
(
さて
)
、その当時の事であるから、一同ただ驚き怪しんで
只管
(
いたずら
)
に妖怪変化の
所為
(
しわざ
)
と恐れ、お部屋様も遂にこの
邸
(
やしき
)
に
居堪
(
いたたま
)
れず、浅草並木辺の実家へ
一先
(
ひとまず
)
お引移りという始末。
池袋の怪
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
されば我
髷
(
まげ
)
をば切取って、
之
(
これ
)
にて胸をば晴し、其の方は
一先
(
ひとまず
)
こゝを
立退
(
たちの
)
いて、相川新五兵衞方へ
行
(
ゆ
)
き
密々
(
みつ/\
)
に万事相談致せ、此の刀は
先
(
さき
)
つ頃藤村屋新兵衞方にて買わんと思い
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
あの日お嬢様とお別れすると、私は家へ
一先
(
ひとまず
)
帰えり扮装室へ這入りました。
西班牙の恋
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「
一先
(
ひとまず
)
本人の意志を聞いて見て……」
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
わたくしは
箸
(
はし
)
を
擱
(
お
)
くと共にすぐさま門を
出
(
い
)
で、遠く
千住
(
せんじゅ
)
なり亀井戸なり、足の向く方へ行って見るつもりで、
一先
(
ひとまず
)
電車で
雷門
(
かみなりもん
)
まで
往
(
ゆ
)
くと
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
相談も漸く熟したので僕は
一先
(
ひとまず
)
故郷
(
くに
)
に帰り、親族に
托
(
たく
)
してあった山林田畑を
悉
(
ことごと
)
く売り飛ばし、その資金で新開墾地を北海道に作ろうと、十日間位の
積
(
つもり
)
で国に帰ったのが
牛肉と馬鈴薯
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「おお、大儀。大儀。それで予の腹も
一先
(
ひとまず
)
癒えたと申すものじゃ。が、とてもの事に、その方どもは、予が車を警護
旁
(
かたがた
)
、そこな
老耄
(
おいぼれ
)
を引き立て、堀川の
屋形
(
やかた
)
まで参ってくれい。」
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
一年半ほど諸国を
遍歴
(
へめぐ
)
り、九州までまいったが、少しも刀の手掛りもなく、少々気になることが有って、
一先
(
ひとまず
)
江戸へ立帰って、芝の上屋敷へまいって聞けば、親父はお暇になったとの事
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
われわれは
一先
(
ひとまず
)
土間へ下した書物の包をば、よいしょと覚えず声を掛けて畳の方へと
引摺
(
ひきず
)
り上げるまで番頭はだまって知らぬ顔をしている。
梅雨晴
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
主人 (なだめるように)まあ、あなたなどは
御年若
(
おとしわか
)
なのですから、
一先
(
ひとまず
)
御父様
(
おとうさま
)
の御国へお帰りなさい。いくらあなたが
騒
(
さわ
)
いで見たところが、とても黒ん坊の王様にはかないはしません。
三つの宝
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
一先
(
ひとまず
)
拝借! 一先拝借して自分の急場を救った上で、その
中
(
うち
)
に母から取返すとも、自分で工夫して金を作るとも、何とでもして取った百円を再び革包に入れ、そのまま人知れず先方に届ける。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
わたしは
一先
(
ひとまず
)
当人を親里へ逃して置いて、芸者家へは当人から病気になったから、二、三日帰れないという手紙を出させ、陰に廻って、そっと東京へ
呼戻
(
よびもど
)
して
あぢさゐ
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
父は洋服に着換る為め、
一先
(
ひとまず
)
屋敷へ這入る。田崎は
伝通院前
(
でんずういんまえ
)
の
生薬屋
(
きぐすりや
)
に
硫黄
(
いおう
)
と
烟硝
(
えんしょう
)
を買いに行く。残りのものは
一升樽
(
いっしょうだる
)
を茶碗飲みにして、準備の出来るのを待って居る騒ぎ。
狐
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
一同は
一先
(
ひとまず
)
種彦を二階へ案内するや否や、茶を持運ぶ女中の立去るをおそしと、左右から不安な顔を
差伸
(
さしの
)
ばすのであった。種彦は脇差を傍に扇を使いながら少し身をくつろがせ
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
今更懐中の金子を道に
棄
(
す
)
て行き候とも、人殺の罪は免れぬ処と、
夜中
(
やちゅう
)
まんじりとも致さず案じ
累
(
わずら
)
ひ候末、とにかく
一先
(
ひとまず
)
何地
(
いずち
)
へなり姿を隠し、様子を
窺
(
うかが
)
ひ候上、覚悟相定め申べしと存じ
榎物語
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
雪を
幸
(
さいわい
)
今夜の中にどうかして居処をつきつけたいと、手も足も凍ってしまうまでその辺をうろついていましたが、
敵
(
かたき
)
の行衛がわからないので、
一先
(
ひとまず
)
石原の二階へ立戻り、翌日からは毎日毎夜
あぢさゐ
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
多年稼いでいた下谷のお
化横町
(
ばけよこちょう
)
から
一先
(
ひとまず
)
小石川
餌差町
(
えさしまち
)
辺の親元へ立退く。
夏すがた
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
追放同様の身と相なり候に
依
(
よ
)
り、
一先
(
ひとまず
)
国許
(
くにもと
)
へ
立退
(
たちの
)
きたき
考
(
かんがえ
)
なれば、四、五日厄介になりたき趣を頼み候処、心好く承知致しくれ候故、ゆっくり疲労を休め、
縞
(
しま
)
の衣服、
合羽
(
かっぱ
)
など買求め
候得
(
そうらえ
)
ども
榎物語
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
先
常用漢字
小1
部首:⼉
6画
“一”で始まる語句
一
一人
一寸
一言
一時
一昨日
一日
一度
一所
一瞥