一人一人ひとりひとり)” の例文
はいる前によくくつをふき、みんなに一人一人ひとりひとりとしの順に挨拶あいさつをし、それから部屋へやのいちばん末座まつざにいって坐った。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
ひまさへあれば下宿へ出掛でかけて行つて、一人一人ひとりひとりに相談する。相談は一人一人ひとりひとりかぎる。大勢おほぜいると、各自めいめいが自分の存在を主張しやうとして、やゝともすれば異をてる。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それからわるわる下座しもざほうから、一人一人ひとりひとりちがったおにってきて、おなじようにおどりをおどりました。
瘤とり (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
そして、あのぞろ/\とあるいてゐるひと一人一人ひとりひとり過去くわこ現在げんざい、また未來みらいのことをかんがへたらきつとおたがひになにかのつながりをつてるにちがいないといふやうながした。
追憶 (旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
校舎こうしゃ日蔭ひかげのところにって、あずまが、一人一人ひとりひとりからかねっていました。一人ひとりが、十せん以上いじょう寄付きふをすれば、そのかねもとめたドッジボールの遊戯ゆうぎくわわることができるのでした。
生きぬく力 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かずにしたら何万本なんまんぼん。しかも一ぽんずつがみんなちがった、わかおんなかみだ。——そのなかだまってかおめてねえ。一人一人ひとりひとりちがったおんなこえが、かわがわりにきこえてる。このながらの極楽ごくらくだ。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
中に至りて大僧正の君立ち給ひ、この程の競技に勝ちたる人人を呼び出すを、そが美しき夫人、一人一人ひとりひとりの手に賞を与へ申しさふらふ一人ひとりにて十四五の賞得しはかの香港ホンコンへの君達の中にてさふらひき。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
「わあッ。」とときのこえげて、桃太郎ももたろう主従しゅじゅうが、いさましくおしろの中にんでいきますと、おに大将たいしょうおおぜいの家来けらいれて、一人一人ひとりひとりふとてつぼうをふりまわしながら
桃太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
そして、こころなかで、いつもくる子供こどもたちがみんなあつまったかと、一人一人ひとりひとりかおをしらべているようにもられました。おじさんは、いつもってくれる子供こどもかおは、よくおぼえているのでしょう。
花の咲く前 (新字新仮名) / 小川未明(著)