“彼地”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
かのち37.3%
あちら26.9%
あっち14.9%
あつち6.0%
むこう3.0%
あすこ3.0%
あしこ1.5%
あそこ1.5%
あち1.5%
あれ1.5%
かしこ1.5%
そのくに1.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
この人は彼地かのち有名の銀行家ビショップ氏の推薦により、特に布哇はわい出身の美術家を養成する目的で、この巴里ぱりの美術学校へ送られたのである。
感応 (新字新仮名) / 岩村透(著)
けれどチベットの方が余程よいと言って彼地あちらからわざわざ取り寄せる位ですから、チベット人にはこれが最も適当した食物であります。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
この看板は誰がかいたのじゃ、日本人に描かしたのか、彼地あっちから持って来たのか。向うの下絵によって写したと。
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
と、留学中の総決算をする積りで、腹のうち彼地あつちであつた色々の事を想ひ出してみた。そして鳥のやうにひとりでにや/\笑つてゐた。
貴方あなたがたに逢いたいばかりに今度は帰って来たんです……彼地むこうから見ると、何故こう日本の人はコセコセコセコセしてるんだろう
(新字新仮名) / 島崎藤村(著)
尤も耶蘇は平気で葡萄酒を飲むだが、日本の基督教は耶蘇が一度も往つた事のない亜米利加を経て来たもので、彼地あすこは植民地だけにい酒がない。
よしかへらずとて彼地あしこはお前樣まへさまのおやしきゆゑ、成長おほきうなりたまふまでのお留守居るすゐいまもおまうしたけれどそれこそさびしく、やにりて母樣かあさまこひしかるべし、なに柔順おとなしう成長おほきうなりたまへと
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あそこ——お藤のほか誰も人の知らない彼地あそこへ!
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「ほら、ほら、ほら。てて彼地あちから帰って見えた。父が見えたろ、父が——」
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
同じ下宿するなら、遠方がよいというので、本郷辺へッて尋ねてみたが、どうも無かッた。から、彼地あれから小石川へ下りて、其処此処そこここ尋廻たずねまわるうちに、ふと水道町すいどうちょうで一軒見当てた。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
みたしとならば彼地かしこませ、きなことでも松風まつかぜはし、氣儘きまヽくらさせるがめてもと、父君ちヽぎみ此處こヽにおるしのでければ、あまりとても可愛想かあいさうのこと、よし其身そのみねがひとてやうとほくに
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
抑又はたまた塩土老翁しほつちのをぢに聞きしに曰く、東に美地よきくに有り、青山四周よもにめぐれり、……われおもふに、彼地そのくには必ずまさに以て天業あまつひつぎのわざ恢弘ひろめのべ天下あめのした光宅みちをるに足りぬべし、けだ六合くに中心もなかか。……何ぞきてみやこつくらざらむや。
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)