“いんけん”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
隠見22.7%
隠顕20.5%
陰険20.5%
引見18.2%
隱見4.5%
隠現4.5%
允熞2.3%
引牽2.3%
隠険2.3%
隱險2.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
長崎の山々は深緑を畳み、その間に唐風からふう堂寺台閣どうじだいかくがチラホラと隠見いんけんする。右手の丘山おかやま斜面なぞえには聖福寺せいふくじ崇徳寺すうとくじの唐瓦。
丈高たけたかき草の道などで、近きが隠れ、遠きが現われ、いわゆる身代りの隠顕いんけん出没によって、追う者の眼を惑わし惑わし逃げていたのだ。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そしてただ一言いのちをくれぬかという光秀のつきつめている心の底をうかがうと、光春には、その無情も、その陰険いんけんな仕打も、恨む気にはなれなかった。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
飛報が都へはいったのは月のすえで、まずその詳細を第一に知ったのは、宰相さいしょう官邸で早打の使者を引見いんけんした大臣蔡京さいけいであったこと、いうまでもない。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とき神學しんがく議論ぎろんまであらはれて一しきりはシガーのけむ熢々濛々ぼう/\もう/\たるなかろくしち人面じんめん隱見いんけん出沒しゆつぼつして、甲走かんばしつた肉聲にくせい幾種いくしゆ一高一低いつかういつてい縱横じゆうわうみだれ、これにともな音樂おんがくはドスンとたくおと
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
もし右信ずることあたはずとならば人力の及ばざるところをさとりてただ現状に安んぜよ現状の進行に任ぜよ痛みをして痛ましめよ大化のなすがままに任ぜよ天地万物わが前に出没隠現いんけんするに任ぜよ
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
建文帝の皇考おんちち興宗孝康こうそうこうこう皇帝の廟号びょうごうを去り、もとおくりなりて、懿文いぶん皇太子と号し、建文帝の弟呉王ごおう允熥いんとうくだして広沢王こうたくおうとし、衛王えいおう允熞いんけん懐恩王かいおんおうとなし、除王じょおう允凞いんき敷恵王ふけいおうとなし、ついまた庶人しょじんししが
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
これに対抗する里見勢もまた相当の数だろうが、ドダイ安房あわから墨田河原すみだがわら近くの戦線までかなりな道程をいつドウいう風に引牽いんけんして来たのやらそれからして一行も書いてない。
八犬伝談余 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
だから、あわよくば、彼のこの隠険いんけんな不正行為をあばいて、吠面ほえづらをかかせてやりたいものだとさえ思っていた。
陰獣 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
おう」は普通ふつう乞食こつじきひとしく、かげもなき貧民ひんみんなり。頭髮とうはつ婦人をんなのごとくながびたるをむすばず、かたよりれてかゝといたる。跣足せんそくにて行歩かうほはなはけんなり。容顏ようがん隱險いんけんび、みゝさとく、するどし。
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)