野生やせい)” の例文
野生やせいけものだけでも、二百六十八種にひやくろくじゆうはつしゆうしうまそのほか家畜かちく動物どうぶつ十六種じゆうろくしゆもゐますが、こゝではやま動物どうぶつについてすこしくおはなししませう。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
ササユリは、関西諸州の山地には多く野生やせいしているが、関東地方にはえてない。しかし関西の地でも、あまり人家には作っていない。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
あい縞物しまものの尻を端折はしょって、素足すあしに下駄がけのちは、何だか鑑定がつかない。野生やせいひげだけで判断するとまさに野武士のぶしの価値はある。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
かごからそとすときは、あしになわをつけておかないと、そらんで、げてゆきます。これは対馬つしまからきましたので、野生やせいとりでございます。
金持ちと鶏 (新字新仮名) / 小川未明(著)
げんのしようこ牻牛児ぼうぎゅうじ。植物。草の名。野生やせいにして葉は五つに分れ鋸歯のこぎりばの如ききざみありて長さ一すんばかり、対生たいせいす。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
無數の異つた種類の苔が、その凹地くぼちを埋めて、咲き亂れた野生やせい櫻草さくらさうの中から、不思議な地面の光を放つてゐた。
そして、この垣のおかげで、動物たちは、古い王家おうけ領地りょうちさかいめを知るのです。この古い領地には、野生やせいの動物たちも、たくさんむれをなしてやってきます。
日本では北から南のはしまで、どこに行っても見られる野生やせいの草だというが、自分などはまだこのおかしい昔話を聴いていなかったので、見たことはあるだろうが実はもう覚えていない。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
戸外おもて矢張やは戸外おもてらしく、わたくしじきなんともいえぬほがらかな気持きもちになりました。それに一かわ両岸りょうがんがのんびりとひらけてき、そこらじゅうにはきれいな野生やせいはなが、ところせきまでにおっているのです。
霜枯れた草原に、野生やせい松葉独活アスパラガスが紅玉をちりばめて居る。不図白木の鳥居とりいが眼についた。見れば、子供がかかえて行ってしまいそうな小さな荒削あらけずりのほこらが枯草の中に立って居る。誰が何時いつ来て建てたのか。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
これはもと人家じんか栽培さいばいしてあったものが、いつのまにかその球根が脱出して、ついに野生やせいになったもので、もとより日本の原産ではない。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
ニールスは、浅瀬あさせに白鳥たちがいると聞きましたので、さっそく海草の山のほうへおりていきました。まだ一ども野生やせいの白鳥をそばで見たことがないのです。
おじいさんも、子供こども時分じぶんから、まちそだって、野生やせい動物どうぶつ機会きかいは、すくなかったのです。
山に雪光る (新字新仮名) / 小川未明(著)
彼女は温和おとなしいデント夫人と、植物學の話を始めてゐた。デント夫人は、その科學を學んだことがないらしい容子であつた。たゞ彼女は、花がきで、「特に野生やせいの花が好きだ」と云つてゐた。
「どうも、いい体格からだだ。全く野生やせいのままだね」
二百十日 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
珍しくも日本の九州、四国、ならびに本州の山地に野生やせいしているミカン類の一種に、通常タチバナといっているものがある。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
「そんなら、おれたちは、おじいさんに案内あんないたのんで、かけることにしようじゃないか。」と、なかでも、もっとも野生やせいゆうしていた、ケーがんが、さっそくこのせつ賛成さんせいしました。
がん (新字新仮名) / 小川未明(著)