トップ
>
適
>
ふさ
ふりがな文庫
“
適
(
ふさ
)” の例文
汝等にこそわが魂は、これを己が
許
(
もと
)
に引くその難所をば
超
(
こ
)
ゆるに
適
(
ふさ
)
はしき力をえんとて、今うや/\くしく
嘆願
(
なげく
)
なれ 一二一—一二三
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
そうした中では『源氏物語』が今日の文学というに
適
(
ふさ
)
わしい所まで変質しきった形を見せている最初のものといってよいかも知れない。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
ですが、
儂
(
わし
)
にはそう申すよりも、むしろそういう高貴な壁で
繞
(
めぐ
)
らされた、牢獄と云った方が
適
(
ふさ
)
わしいような感じがしますのじゃ。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
しかも
刮目
(
かつもく
)
に値するのは、必らずこういう話を一種厳粛な調子で包み、その場に
適
(
ふさ
)
わしい態度を保つ心得のあったことである。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
岸本は節子に
珠数
(
ずず
)
を贈った。幾つかの透明な硝子の
珠
(
たま
)
をつなぎ合せて、青い
清楚
(
せいそ
)
な
細紐
(
ほそひも
)
に
貫通
(
とお
)
したもので、女の持つ物に
適
(
ふさ
)
わしく出来ていた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
私達は大安寺で人夫達に作らせて来た昼食の弁当を此処で開いたが、腥いハムの缶詰などを切る事は所柄に
適
(
ふさ
)
はず、道士達に対して気が咎めた。
満蒙遊記:附 満蒙の歌
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
が、元来そういう顔の方が千恵造にはむしろ
適
(
ふさ
)
わしいのだ。殊にこの場合、彼がいそ/\としていたら、所詮人々の蔭口をまぬがれぬところだ。
俗臭
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
行き
交
(
こ
)
うている会社員たちの洋服はたいてい白っぽい合着に替えられて、夏には
適
(
ふさ
)
わしい派手な色のネクタイが、その胸に手際よく結ばれていた。
青木の出京
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
そこには琴、鏡臺、二三の女に
適
(
ふさ
)
はしい書籍の類があつて、おつなの稀にする美的生活の一面を暗示するのである。富之助は默つて姉の女らしい所を觀察した。
少年の死
(旧字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
「その人はこの国じゅうで王の後見している女の夫として誰よりも
適
(
ふさ
)
わしい人です。その人は尊い血筋で、その人自身が王の子です。しかし、アルトニヤ人です」
琴
(新字新仮名)
/
フィオナ・マクラウド
(著)
見たところ派手でハイカラで
儲
(
もうけ
)
の荒いらしいその商売が、一番自分の気分に
適
(
ふさ
)
っているように思えた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
この要求をみたすに最も
適
(
ふさ
)
わしい形式が、ツルゲーネフこのかた半世紀を洋々として流れて来ているロシヤ的インテリ小説の伝統の中に見出されることは、
更
(
あらた
)
めて言うまでもなかろう。
チェーホフの短篇に就いて
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
この一自覚の中に、救ひも、
解脱
(
げだつ
)
も、光明も、平安も、活動も、
乃至
(
ないし
)
一切人生的意義の総合あるにあらずや。嗚呼吾れは神の子也、神の子らしく、神の子として
適
(
ふさ
)
はしく
活
(
い
)
きざるべからず。
予が見神の実験
(新字旧仮名)
/
綱島梁川
(著)
併し、この願ひのなかには、わざとらしい、遊戯的な
所謂
(
いはゆる
)
詩的といふやうな、又そんな事をするのが今の彼自身に
適
(
ふさ
)
はしいといふ風な「態度」に充ちた心が、その大部分を占めて居たのである。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
それは神秘の国への通路として、まことに
適
(
ふさ
)
わしいものであった。
イグアノドンの唄:――大人のための童話――
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
あゝこれらの
最
(
いと
)
も富める
櫃
(
はこ
)
に——こは下界にて種を
蒔
(
ま
)
くに
適
(
ふさ
)
はしき地なりき——收めし物の豐かなることいかばかりぞや 一三〇—一三二
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
「ねえ支倉君、せめて、最後の送りだけでも、この神聖家族の最後の一人に
適
(
ふさ
)
わしいよう、伸子を飾ってやろうじゃないか」
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
その質素な
色彩
(
いろどり
)
といかにも余念なく餌をくれている人物の
容子
(
ようす
)
とは、田舎にあった小泉の家に
適
(
ふさ
)
わしいものである。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
彼は彼自身に
適
(
ふさ
)
わしい恥多き苦しみ多き刑死を遂ぐる代りに、
欣
(
よろこ
)
びに溢れ光栄に輝き凱旋的にこの世を去ったことを知って、私は憤忿の念に堪えないのであります。
ある抗議書
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
デュアック 王さま、強者がその身に
適
(
ふさ
)
わず行うた罪悪をば、神々は殊さらにお嫌いなされます。
ウスナの家
(新字新仮名)
/
フィオナ・マクラウド
(著)
土が
適
(
ふさ
)
わぬところから、お島が
如何
(
いか
)
に丹精しても、買手のつかぬうちに、立枯になるようなものが多かったが、草花の方も美事に見込がはずれて、
種子
(
たね
)
が思ったほどに
捌
(
さば
)
けぬばかりでなく
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
汝の
了解
(
さとり
)
に
適
(
ふさ
)
はしきまで明らかなるゆきわたりたる言葉にてその説示されんことを願ふ、げにこゝにこそ
具
(
つぶさ
)
に
辨
(
わ
)
くべき事はあるなれ —二七
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
そこを上りきったところまで行くと軒毎に
青簾
(
あおすだれ
)
を掛けた本町の角へ出る。この簾は七月の祭に殊に
適
(
ふさ
)
わしい。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
また、その光は、法水の鼻孔や口腔を異様に拡大して見せて、いかにも、中世異教精神を語るに
適
(
ふさ
)
わしい顔貌を作るのだった。しかし、熊城は不審を唱えた。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
デュアック あなたが王であらせられて、王に
適
(
ふさ
)
わぬ道をお選びなされた為でございます。
ウスナの家
(新字新仮名)
/
フィオナ・マクラウド
(著)
坂下鶴吉が、国家の刑罰を受けて悪人に
適
(
ふさ
)
わしい最期を遂げただろうと、想像することに依って、僅かな慰めを受けて居た私は、此の告白を読んで、自分の感情を散々に傷つけられてしまいました。
ある抗議書
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
かくて我等はかの時かたるに
適
(
ふさ
)
はしくいまは
默
(
もだ
)
すにふさはしき多くの事をかたりつゝ光ある處にいたれり 一〇三—一〇五
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
丁度あの
囚人
(
しゅうじん
)
の姿こそ自分で自分の
鞭
(
むち
)
を受けようとする岸本の心には
適
(
ふさ
)
わしいものであった。眼に見えない編笠。眼に見えない手錠。そして眼に見えない腰繩。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
それは朔郎の室に
適
(
ふさ
)
わしくない豪華な大時計で、昨年故国に去った美校教授ジューベ氏の遺品だった。
後光殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
汝の善き行ひの爲に却つて汝の仇とならむ、是亦宜なり、そは酸きソルボに
混
(
まじ
)
りて甘き無花果の實を結ぶは
適
(
ふさ
)
はしき事に非ざればなり 六四—六六
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
新しい艶のある洋服を着て、
襟飾
(
えりかざり
)
の好みも
煩
(
うるさ
)
くなく、すべて
適
(
ふさ
)
はしい風俗の
中
(
うち
)
に、人を
吸引
(
ひきつ
)
ける
敏捷
(
すばしこ
)
いところがあつた。美しく
撫付
(
なでつ
)
けた髪の色の黒さ。頬の若々しさ。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
あの鬼草は、
逞
(
たくま
)
しい意欲に充ち満ちていて、それはさすがに、草原の王者と云うに
適
(
ふさ
)
わしいばかりでなく、その力もまた衰えを知らず、いっかな
飽
(
あ
)
くことのない、兇暴
一途
(
いちず
)
なものであった。
白蟻
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
わが兄弟達よ、神平安を汝等に與へたまへといふ、我等直ちに身をめぐらしぬ、而してヴィルジリオは
適
(
ふさ
)
はしき
表示
(
しるし
)
をもてこれに答へて 一三—一五
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
あの灰色に深い静寂なシャヴァンヌの『冬』の色調こそ
彼地
(
かのち
)
の自然には
適
(
ふさ
)
わしいものであった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
人の爲に造られし
食物
(
くひもの
)
よりは
橡實
(
つるばみ
)
を喰ふに
適
(
ふさ
)
はしき
汚
(
きたな
)
き豚の間に、この川まづその貧しき路を求め 四三—四五
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
願はくは
萬物
(
よろづのもの
)
うるはしき
聖息
(
みいき
)
に感謝するの
適
(
ふさ
)
はしきをおもひ、
聖名
(
みな
)
と
聖能
(
みちから
)
を
讚
(
ほ
)
めたたへんことを 四—六
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
適
常用漢字
小5
部首:⾡
14画
“適”を含む語句
適合
適当
適宜
快適
適當
適切
適々
悠々自適
適確
適中
不適當
適用
適例
胡適
閑適
適役
適否
室適
適応
適従
...