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遊廓
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ゆうかく
ふりがな文庫
“
遊廓
(
ゆうかく
)” の例文
兵馬は、ふと、こんなことを思い出して、
強
(
し
)
いて袖を振り放そうとしないうちに、もう
遊廓
(
ゆうかく
)
の一町ほど手前まで来てしまいました。
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
二時がカンバンだって云っても、
遊廓
(
ゆうかく
)
がえりの客がたてこむと、夜明けまでも知らん顔をして主人はのれんを引っこめようともしない。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
一階のはずれは八百屋が三辻の角になり、
遊廓
(
ゆうかく
)
へ
這入
(
はい
)
る口であった。造花屋は坂の上にあたるので、穴蔵が仕組れ、八百屋が使用していた。
三階の家
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
この住田と云う所は温泉のある町で城下から汽車だと十分ばかり、歩いて三十分で行かれる、料理屋も温泉宿も、公園もある上に
遊廓
(
ゆうかく
)
がある。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そこから小川を一つ隔てた
田圃
(
たんぼ
)
なかにある
遊廓
(
ゆうかく
)
の白いペンキ塗の二階や三階の建物を取捲いていた林の
木葉
(
このは
)
も、すっかり落尽くしてしまった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
岩島なんてのは(と直治の学友の伯爵のお名前を挙げて)あんなのは、まったく、新宿の
遊廓
(
ゆうかく
)
の客引き番頭よりも、もっとげびてる感じじゃねえか。
斜陽
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
長崎を立って
時津
(
ときつ
)
に向かう途中でロシア人専門の
遊廓
(
ゆうかく
)
だというところを通ったら二階から女どもが見下ろして何かしら分らないことを云って呼びかけた。
二つの正月
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
大越
(
おおごえ
)
から通う老訓導は、酒でものむと
洒脱
(
しゃだつ
)
な口ぶりで、そこから近いその
遊廓
(
ゆうかく
)
の話をして聞かせることがある。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
ところが北隣の大島諸島はこれに反して、いわゆる
遊廓
(
ゆうかく
)
はどこにも無くて、遊女のみはどの島にもいた。ズリをこの方面ではゾレまたはドレと呼んでいる。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
夜になると火の
点
(
つ
)
いた町の大通りを、自転車でやって来た村の青年達が、大勢連れで
遊廓
(
ゆうかく
)
の方へ乗ってゆく。
城のある町にて
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
吉原
遊廓
(
ゆうかく
)
の近くを除いて、震災
前
(
ぜん
)
東京の
町中
(
まちじゅう
)
で夜半過ぎて灯を消さない飲食店は、
蕎麦
(
そば
)
屋より外はなかった。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
羅は十四になって、良くない人に誘われて
遊廓
(
ゆうかく
)
へ遊びにいくようになった。ちょうどその時金陵から来ている
娼婦
(
しょうふ
)
があって、それが郡の中に家を借りて住んでいた。
翩翩
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
外の団員達も、それぞれ
木賃宿
(
きちんやど
)
とか、
遊廓
(
ゆうかく
)
とか泊り場所が分っていて、残らずアリバイが成立した。
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そしておたまのことも、——
籠屋
(
かごや
)
のおたまは若くて
遊廓
(
ゆうかく
)
へ身を売り、その後もみもちが悪く、親類じゅうに迷惑をかけたが、いまは行方知れずだということであった。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
浅草の観音さまにも遠くはないし、吉原
遊廓
(
ゆうかく
)
は目と鼻のさきだし、お
酉
(
とり
)
さまはここが本家である。
安い頭
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
最初に見える人家は
旭町
(
あさひまち
)
の
遊廓
(
ゆうかく
)
である。どの家にも二階の欄干に赤い布団が掛けてある。こんな日に干すのでもあるまい。毎日降るのだから、こうして
曝
(
さら
)
すのであろう。
鶏
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
橋本には
遊廓
(
ゆうかく
)
がござりまして渡し船はちょうどその遊廓のある
岸辺
(
きしべ
)
に着きますので
蘆刈
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
その政党に
箕村数人
(
みのむらかずと
)
という有名な清節の長老があって、たびたび大臣も勤めた人でしたが、どういう魔が射したものか、この長老が大阪の松島という
遊廓
(
ゆうかく
)
の移転事件に連座して、疑獄を
惹
(
ひ
)
き起し
棚田裁判長の怪死
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
停車場
(
ステエション
)
から、震えながら
俥
(
くるま
)
でくる途中、ついこの近まわりに、冷たい音して、川が流れて、橋がかかって、両側に
遊廓
(
ゆうかく
)
らしい家が並んで、茶めしの赤い
行燈
(
あんどん
)
もふわりと目の前にちらつくのに——ああ
眉かくしの霊
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
巧みに千往
遊廓
(
ゆうかく
)
へ現われたとも考えられた。
白蛇の死
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「
遊廓
(
ゆうかく
)
ですか?」
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
時ちゃんが、私に自転車の乗りかたを教えてくれると云うので、掃除が済むと、店の自転車を借りて、
遊廓
(
ゆうかく
)
の前の広い道へ出て行った。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
遊廓
(
ゆうかく
)
で鳴らす
太鼓
(
たいこ
)
が手に取るように
聞
(
きこ
)
える。月が
温泉
(
ゆ
)
の山の
後
(
うしろ
)
からのっと顔を出した。往来はあかるい。すると、
下
(
しも
)
の方から人声が聞えだした。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
あれから間もなく松島
遊廓
(
ゆうかく
)
の移転問題で、収賄事件が起こったでしょう。そしてあの男は、ピストルで死んだでしょう。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
そうして景気というものの前兆も、現証も、まず花柳界に現われたものだから、京都の
遊廓
(
ゆうかく
)
の繁昌というものが、前例を越えているというのもさもあるべき事です。
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
オブシーン・ピクチュアを見せる
遊廓
(
ゆうかく
)
はどこそこにあるとか、東京に
於
(
お
)
ける第一流の
賭場
(
とば
)
は、どこそこの外人
街
(
まち
)
にあるとか、その
外
(
ほか
)
、私達の好奇心を満足させるような
覆面の舞踏者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「中田の
遊廓
(
ゆうかく
)
に行ったなんて、うそだそうですよ。小説家なんて、ひどいことを書くもんですね」
『田舎教師』について
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
夏中
洲崎
(
すさき
)
の
遊廓
(
ゆうかく
)
に、
燈籠
(
とうろう
)
の催しのあった
時分
(
じぶん
)
、夜おそく舟で
通
(
かよ
)
った景色をも、自分は一生忘れまい。
苫
(
とま
)
のかげから漏れる鈍い
火影
(
ほかげ
)
が、酒に
酔
(
え
)
って
喧嘩
(
けんか
)
している
裸体
(
はだか
)
の船頭を照す。
深川の唄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
しまいには紫川の東の川口で、
旭町
(
あさひまち
)
という
遊廓
(
ゆうかく
)
の裏手になっている、お台場の
址
(
あと
)
が涼むには一番好いと極めて、材木の積んであるのに腰を掛けて、夕凪の蒸暑い盛を過すことにした。
鶏
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
千葉道場の
掟
(
おきて
)
は厳格だが、みんな道場の外では適当にやっている。酒も飲むし、
美味
(
うま
)
い物も食べるし、
遊廓
(
ゆうかく
)
などへもゆくようだ。しかも道場では代師範をし、大名諸家へ出稽古をする。
花も刀も
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
神戸の市内電車の中で、私が車掌に向って、新川へ行くのだと云ったら、車掌は新川は
遊廓
(
ゆうかく
)
のある方かと問い返した。私がK氏のいる処だと云ったら、そんならはじめからそう云えばいいと云った。
遁走
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
「
遊廓
(
ゆうかく
)
だ」
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
十二時にもなると
揃
(
そろ
)
って引き揚げ、月に一度もあるかなしの泊りは、町はずれの
遊廓
(
ゆうかく
)
へしけ込む時に限るのだった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
山門のなかに
遊廓
(
ゆうかく
)
があるなんて、前代未聞の現象だ。ちょっとはいってみたいが、また狸から会議の時にやられるかも知れないから、やめて素通りにした。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
相馬泰三の新宿
遊廓
(
ゆうかく
)
の物語り面白し。細君はとり子さんと云うのだそうだが、文章では美人らしい。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
太平の武士町人が
声色
(
せいしょく
)
の快楽を追究して
止
(
や
)
まざりし一時代の
大
(
だい
)
なる慾情は
忽
(
たちま
)
ち
遊廓
(
ゆうかく
)
と劇場とを完備せしめ、更に進んでこれを材料となせる文学
音曲
(
おんぎょく
)
絵画等の特殊なる諸美術を
作出
(
つくりいだ
)
しぬ。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
たしか
潮来
(
いたこ
)
あたりの
遊廓
(
ゆうかく
)
の
妓
(
おんな
)
たちの代名詞でしてね、
鹿島香取
(
かしまかとり
)
なんかへ
参詣
(
さんけい
)
するときに、ゆきにしべえか帰りにしべえかっていうので、合わせて八兵衛ということになったんだそうですよ
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
仙台の
遊廓
(
ゆうかく
)
で内所の
裕
(
ゆた
)
かなある
妓楼
(
ぎろう
)
の娘と正式に結婚してから、すでに久しい年月を経ていたが、猪野が寿々廼家の分けの芸者であった竹寿々の面倒を見ることになり
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
たしか
潮来
(
いたこ
)
あたりの
遊廓
(
ゆうかく
)
の
妓
(
おんな
)
たちの代名詞でしてね、
鹿島香取
(
かしまかとり
)
なんかへ
参詣
(
さんけい
)
するときに、ゆきにしべえか帰りにしべえかっていうので、合わせて八兵衛ということになったんだそうですよ
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
たまには傘をさして、橋を渡って、
山裾
(
やますそ
)
の
遊廓
(
ゆうかく
)
の方へ足を入れなどした。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
“遊廓”の解説
遊廓(ゆうかく)は、公許の遊女屋(女郎屋)を集め、周囲を塀や堀などで囲った区画のこと。遊郭とも。
(出典:Wikipedia)
遊
常用漢字
小3
部首:⾡
12画
廓
漢検準1級
部首:⼴
14画
“遊廓”で始まる語句
遊廓前
遊廓外
遊廓通