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へんたふ
專門上の
知識のない
小六が、
精密な
返答をし
得る
筈は
無論なかつた。
彼はたゞ
安之助から
聞いた
儘を、
覺えてゐる
限り
念を
入れて
説明した。
「
勘弁して
下らつせえ。うゝとも、すうとも
返答打つ
術もねえだ…
私、
先生と
言はれるは、
臍の
緒切つては
最初だでね。」
取ず
聢と
返答致すべしとさも
横柄に
述けるに兩人再び驚きしが大膳は聲を
勵し汝天下の
御落胤などとあられもなき
僞りを述べ我々を
欺むき此場を
周邊の
話には
稀に
立入るのみで、
質問をされたら
决して
返答を
爲たことの
無い、
食ふ
物も、
飮む
物も、
與へらるゝまゝに、
時々苦しさうな
咳をする。
戀人ぢゃ! あゝ、
此情を
知らせたいなア!……
何やら
言うてゐる。いや、
何も
言うてはゐぬ。
言はいでもかまはぬ、あの
目が
物を
言ふ。あの
目へ
返答をせふ。
談ずれば伊賀亮
打點頭夫こそ
表札幕などの事にて來りしならん
返答の次第は
斯々と
委細に常樂院へ
差※したりける
『あゝもう
何も
彼もない、
誰にも
返答などするものか……もう
奈何でも
可い。』と、
彼は
考へてゐた。
カピ長 くたばりをれ、
碌でなしめが!
不孝千萬な
奴ぢゃ! こりゃやい、
次の
木曜日に
教會堂へ
往きをらう。
往かずば、
又と
此顏を
見るな。
言ふな、
答へるな、
返答するな。
返答が
出来ないで、
溜息を
吐く
顔を
見て、
遁げるやうに
二三人摺り
抜けた。
宗助は
固より
返答が
出來なかつた。
申立るは
必定なり
然すれば我等に吟味
係らんにより其時は如何に
返答して
宜るべきや是平左衞門
能分別を