返答へんたふ)” の例文
專門上せんもんじやう知識ちしきのない小六ころくが、精密せいみつ返答へんたふをしはず無論むろんなかつた。かれはたゞ安之助やすのすけからいたまゝを、おぼえてゐるかぎねんれて説明せつめいした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
勘弁かんべんしてらつせえ。うゝとも、すうとも返答へんたふすべもねえだ…わし先生せんせいはれるは、ほぞつては最初はじめてだでね。」
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
とらしか返答へんたふ致すべしとさも横柄わうへいのべけるに兩人再び驚きしが大膳は聲をはげまし汝天下の御落胤ごらくいんなどとあられもなきいつはりを述べ我々をあざむき此場を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
周邊あたりはなしにはまれ立入たちいるのみで、質問しつもんをされたらけつして返答へんたふたことのい、ものも、ものも、あたへらるゝまゝに、時々とき/″\くるしさうなせきをする。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
戀人こひびとぢゃ! あゝ、このこゝろらせたいなア!……なにやらうてゐる。いや、なにうてはゐぬ。はいでもかまはぬ、あのものふ。あの返答へんたふをせふ。
談ずれば伊賀亮打點頭うちうなづき夫こそ表札幕へうさつまくなどの事にて來りしならん返答へんたふの次第は斯々かう/\委細ゐさいに常樂院へ差※さしづしたりける
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
『あゝもうなにもない、たれにも返答へんたふなどするものか……もう奈何どうでもい。』と、かれかんがへてゐた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
カピ長 くたばりをれ、ろくでなしめが! 不孝千萬ふかうせんばんやつぢゃ! こりゃやい、つぎ木曜日もくえうび教會堂けうくわいだうきをらう。かずば、またこのかほるな。ふな、こたへるな、返答へんたふするな。
返答へんたふ出来できないで、溜息ためいきかほて、げるやうに二三人にさんにんけた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
宗助そうすけもとより返答へんたふ出來できなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
申立るは必定ひつぢやうなりすれば我等に吟味かゝらんにより其時は如何に返答へんたふしてよかるべきや是平左衞門よき分別ふんべつ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)