あけ)” の例文
その奧の六疊の、裏に向いた腰の低い窓は明いて、それを背にして、若旦那の柳吉は、まだあけに染んだまゝ死んでゐるのです。
翻長太息はんちやうたいそくに堪へずしていはく台州たいしう有人ひとありと。古人が詩に心を用ふる、惨憺経営の跡想ふべし。青々せいせいが句集妻木つまぎの中に、「初夢やあけなるひもの結ぼほる」
あけはひつてな、えのさ、そんでも麁朶そだあよりやえゝかんな、松麁朶まつそだだちつたつてこつちのはうちやなまで卅五だのなんだのつて、ちつちえくせにな
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
うまへ乗って行くんだが、名主なら布団七めえも重ねる所だが、マア三枚にして置いて、あけえのと、青えのと、それから萌黄のと、三枚布団で、化粧鞍を掛け、嫁子よめっこさんを
たびにしてものこほしきに山下やましたあけのそほぶねおきゆ 〔巻三・二七〇〕 高市黒人
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
日にましにあけの豆柿にぎはひぬ山の目白の数つどひつつ
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
水引みづひきあけ三尺の花ひきてやらじと云ひし朝露の路
舞姫 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
椅子の端ツこに黒くてあけ
資本もとでの二りやうぐれえでこんで餓鬼奴等がきめらまでにや四五にんいのちつないでくのにやあけ手拭てねげでもかぶつてるやう放心うつかりした料簡れうけんぢやらんねえかんな」かれぢいさんのあたま
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「旅にして物恋ものこほしきに山下のあけのそほ船沖にぐ見ゆ」(巻三・二七〇)は黒人作、「堀江より水脈みをさかのぼるかぢの音の間なくぞ奈良は恋しかりける」(巻二十・四四六一)は家持作である。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
あけ御袴みはかまましら大御衣おほみぞ
晶子詩篇全集拾遺 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
それからわしもおつうがきてえつちもんだからおはりにもりあんすしね、たすきなんぞもほしい/\つちもんだからわしてえな貧乏人びんばふにんにや餘計よけいなもんぢやありあんすがあけえのつてつたんでがさ
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
茨の實のあけび/\に草白む溝の岸には稻掛けにけり
長塚節歌集:2 中 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)