貨車かしゃ)” の例文
列車れっしゃは、くまと自分とを真暗まっくらやみの貨車かしゃの中にとじこめたまま、なにも知らずに、どんどんとはしっている。少し速度そくどがゆるんできたようだ。
くまと車掌 (新字新仮名) / 木内高音(著)
倉庫の前のレールには貨車かしゃが三つほど引きこまれていました。荷物は、ぞうやライオンやとらやその他の動物といっしょに、まれて行くのです。
曲馬団の「トッテンカン」 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
と、くまはいいました。くまの力強ちからづよ言葉ことばに、ちいさなにわとりはまったくたれてしまいました。そして、ついに、うすぐら貨車かしゃなかがりました。
汽車の中のくまと鶏 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かれはせめて貨車かしゃなかにでもかくすことができたら、幸福しあわせだとかんがえましたので、人目ひとめをしのんで、貨車かしゃもうとしますと、なかから、おもいがけなく
海へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
貨車かしゃ横腹よこばらにある大きな板戸いたどの、すきまをもれていましがた上がったと思われる月がさしこんできたのであった。自分は、なんというわけもなくいさみたった。
くまと車掌 (新字新仮名) / 木内高音(著)
これが曲馬団きょくばだん団長だんちょうでした。いつの間にか夜が明け、いつの間にか貨車かしゃは東京の北端きたはずれの町の停車場ていしゃばへついていたのです。象はもう貨車から下ろされていました。
曲馬団の「トッテンカン」 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
ふと、顔をあげて見ると、貨車かしゃとの仕切しきりにはまったガラスまどに、人間の顔がぼんやりとうつっている。
くまと車掌 (新字新仮名) / 木内高音(著)
時間じかんいくかいとなく、貨車かしゃや、客車きゃくしゃ往復おうふくするために、ねつはっし、はげしく震動しんどうする線路せんろでも、ある時間じかんは、きわめてしんとして、つめたく白光しろびかりのする鋼鉄こうてつおもて
雲と子守歌 (新字新仮名) / 小川未明(著)
次から次へうつって行くときの長い旅を、新吉はいつも象といっしょに貨車かしゃに乗せられたのです。
曲馬団の「トッテンカン」 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
ふとにわとりあたまをあげると、貨車かしゃてつのかごがのせられてあって、そのうちからくろおそろしい動物どうぶつが、じっとまるひかで、こちらをているのにあってびっくりいたしました。
汽車の中のくまと鶏 (新字新仮名) / 小川未明(著)
おそらく、これからゆくさき途中とちゅうにも、そんなようなところをるでありましょう。さいわいいまだれもていません。おまえさんは、わたしっているこの貨車かしゃなかへおはいりなさい。
汽車の中のくまと鶏 (新字新仮名) / 小川未明(著)
おりよく、それが貨車かしゃであったからたいした負傷者ふしょうしゃはなかったけれど、貨車かしゃ幾台いくだいとなくこわれて、なかまったり、堤防ていぼううえ転覆てんぷくしたりして、たいへんなさわぎになりました。
白い影 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そういえば、さっきたくさんの材木ざいもくと、こめだわらと、石炭せきたんと、なにかのはこを、いっぱい貨車かしゃんでいきました。そして、今日きょう客車きゃくしゃもいつもよりかながかったようでございました。
負傷した線路と月 (新字新仮名) / 小川未明(著)
つき海岸かいがんという海岸かいがん野原のはらという野原のはらをさがしてまわりました。そして、いたるところに汽車きしゃはしっているのをみとめました。貨車かしゃばかりのもあれば、また客車きゃくしゃ貨車かしゃがまじっていたのもありました。
負傷した線路と月 (新字新仮名) / 小川未明(著)