いしき)” の例文
左右からつッついたりなにかいたします。左様そうされるとされるほど嬉しいもので、つッとちまして裲襠しかけつまをとるところを、うしろからいしきをたゝきます。
トンと船底へ突込つきこむと、殊勝な事には、手拭の畳んで持ったをスイと解き、足の埃をはたはたと払って、いしきかじを取って、ぐるりと船の胴の間にのめり込む。
浮舟 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
部屋頭は、いしきを浮かせて
顎十郎捕物帳:08 氷献上 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
で、肩を持たれたまゝ、右のびっこくろどのは、夫人の白魚しらうおの細い指に、ぶらりとかかつて、ひとツ、ト前のめりに泳いだつけ、いしきゆすつたちんな形で、けろりとしたもの、西瓜をがぶり。
印度更紗 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
なんとも返答をいたす事が出来ないんで……矢ッ張黙ってモジ/\といしきばかりを動かし、まるで猫に紙袋かんぶくろをきせましたようにあとずさりをいたしますんで、勝五郎は弥々いよ/\きたちまして
社務所と別な住居すまいから、よちよち、いしきを横に振って、ふとった色白な大円髷おおまるまげが、夢中でけて来て、一子の水垢離みずごりを留めようとして、身をたてはやるのを、仰向あおむけに、ドンと蹴倒けたおいて
茸の舞姫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
みなまではせず、老爺ぢいまゆ白銀しろがねごとひかりびて、太陽むかかゞやかした。手拍子てべうしつやう、こし麻袋あさぶくろをはた/\とたゝいたが、おにむかつていしきく、大胆不敵だいたんふてきさまえた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それから両方の肩から、背、横腹、いしき、さらさら水をかけてはさすってくれる。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それから両方りようはうかたから、せな横腹よこばらいしき、さら/\みづをかけてはさすつてくれる。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おなじくくさにつけたさうげたりげたり、いしきんでもじついて
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ただ人の頭も、顔も、黒く塗りて、肩より胸、背、下腹のあたりまで、墨もていやが上に濃く塗りこくり、赤褌襠あかふどし着けたるいしきはぎ、足、かかと、これをば朱を以て真赤に色染めたるおなじ扮装いでたち壮佼わかものたち
凱旋祭 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
あだしあだ浪いとまなみ、がらがらと石をいて、空ざまにけ上る、崖の小家こやの正面に、胡坐あぐらを総六とも名づけつびょう、造りつけた親仁おやじのように、どっかりといしきを据え、山からす日に日向ひなたぼっこ
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
従七位が、首をまわいて、しゃくを振って、いしきを廻いた。
茸の舞姫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と山の峡が一足出る、そのあとへいしきを捻って
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)