せな)” の例文
阿母さんはもう座敷の拭掃除ふきそうぢも台所の整理事しまひごとませて、三歳みつヽになる娘の子をせなひ乍ら、広い土間へ盥を入れて洗濯物せんたくものをしてる。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
もとより勝手を知って居りますから、忽ちに市四郎が岩角につかまって這い上り、の根へ足をけてのお藤を助けまして、水を飲ませせなさす
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
そればかりか、かたせなも、こしまはりも、心安こゝろやすいて、如何いかにもらく調子てうしれてゐることいた。かれはたゞ仰向あふむいて天井てんじやうからさがつてゐる瓦斯ガスくわんながめた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
小児三 御覧よ、せなよりか高い、障子見たようなものを背負ってるから、たこ歩行あるいて来るようだ。
紅玉 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
平次は、萬七の皮肉な目をせなに感じ乍ら、左孝の枕元へ中腰になりました。
桂川かつらがはまくときはおはんせな長右衞門ちやううゑもんうたはせておびうへへちよこなんとつてるか、此奴こいついお茶番ちやばんだとわらはれるに、をとこなら眞似まねろ、仕事しごとやのうちつて茶棚ちやだなおく菓子鉢くわしばちなか
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
六月二十七日、土人イカイラン熊の子二頭を馬のせなに載せて持来もちきたれり。
関牧塲創業記事 (新字新仮名) / 関寛(著)
履きたり母はふちのほつれし竹の子笠をかぶりたるが何故にやおとがひの濡るゝまで仰向きたり思へばこれせなの子を濡らさじと小さき笠をうしろおほふ爲なりしまだ其下にもあとの子を入れんとにやうしろさまに右の手を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
物指ものさしせなかくことも日短ひみじか
五百句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
小児三 御覧よ、せなよりか高い、障子見たやうなものを背負しょつてるから、たこ歩行あるいて来るやうだ。
紅玉 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)