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羽子
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はね
ふりがな文庫
“
羽子
(
はね
)” の例文
妙子は床の上へ半身起き直って、覚束ない手付き乍ら、昔取った杵柄で、何んかを
吟
(
くちずさ
)
み乍ら暫らくは器用に
羽子
(
はね
)
を突いて居りましたが
新奇談クラブ:02 第二夜 匂う踊り子
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
或る日の事、美代子さんはお
家
(
うち
)
の前でたった一人で
羽子
(
はね
)
をついていますと、一人の支那人が反物を担いで遣って来て、美代子さんのお
家
(
うち
)
の門口で
クチマネ
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
海若藍平
(著)
どこからか外れ飛んで来た
羽子
(
はね
)
が、ヒョイと壁辰の
襟首
(
えりくび
)
に落ちた。女の児が追っかけて来て
噪
(
さわ
)
ぎ立てる。壁辰は、にっこり掴み取って、投げ返した。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
換言すれば、二枚の羽子板の間の
羽子
(
はね
)
のように、遊民と暴民との間を常に行ききするように作られてる者ではない。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
そしてアデェルがパイロットとふざけたり
羽子
(
はね
)
をついたりして遊んでゐる間に、彼は、アデェルからも見える長い
椈
(
ぶな
)
の並木路を歩いて見ないかと私を誘つた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
▼ もっと見る
外には
羽子
(
はね
)
の音、
万歳
(
まんざい
)
の
鼓
(
つづみ
)
——。そして、ふと万吉の耳に、角兵衛獅子の寒げな太鼓が耳についた。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
庸三の長女は女中を相手に春の用意に忙しかったが、瑠美子は十畳の子供部屋で、栄子と
羽子
(
はね
)
をついていた。大きい子供たちの中には、銀座へ出て行ったものもあった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
道理
(
だうり
)
で、そこらの
地内
(
ちない
)
や
横町
(
よこちやう
)
へ
入
(
はひ
)
つても、つきとほしの
笄
(
かうがい
)
で、
褄
(
つま
)
を
取
(
と
)
つて、
羽子
(
はね
)
を
突
(
つ
)
いて
居
(
ゐ
)
るのが、
聲
(
こゑ
)
も
掛
(
か
)
けはしなかつた。
割前勘定
(
わりまへかんぢやう
)
。
乃
(
すなは
)
ち
蕎麥屋
(
そばや
)
だ。と
言
(
い
)
つても、
松
(
まつ
)
の
内
(
うち
)
だ。
春着
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
羽子
(
はね
)
の衰えた
蜻蛉
(
とんぼ
)
は、赤く色づいた柿の葉に止っては立ち上り、また下りて来て止っている。磐の音は穏かに、風のない静かな昼に響いた。
眤
(
じっ
)
と僧は立止って、お経を唱えている。
僧
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
羽子
(
はね
)
が有れば羽子突き、駈けツ
競
(
くら
)
や、飛びツ競のやうな單純な事をしても、心が其の事イツパイ、其の事が心イツパイで、そして嬉々洋々として、遊技もすれば、學問もしたのが
努力論
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
麗
(
うるはし
)
く
冱
(
さ
)
えたる空は遠く
三四
(
みつよつ
)
の
凧
(
いか
)
の影を転じて、
見遍
(
みわた
)
す庭の
名残
(
なごり
)
無く
冬枯
(
ふゆか
)
れたれば、
浅露
(
あからさま
)
なる日の光の
眩
(
まばゆ
)
きのみにて、
啼狂
(
なきくる
)
ひし
梢
(
こずゑ
)
の
鵯
(
ひよ
)
の去りし後は、隔てる隣より
戞々
(
かつかつ
)
と
羽子
(
はね
)
突く音して
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
そして市区がすっかり改正されて、道路も舗装道になっているし、一月の時には三筋町の通りで
羽子
(
はね
)
などを突いているのが幾組もあった。まがり角が簡易食店で西洋料理などを食べさせるところ。
三筋町界隈
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
あひにくうそ寒い曇日ではあつたが、往來には
羽子
(
はね
)
をつく者もあつた。
大阪の宿
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
そういう意識の下に
羽子
(
はね
)
をついて見せた、ということになるらしい。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
何をしてるのかと聞くと、
羽子
(
はね
)
をついてるのだというのです。
香奠
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
向き/\に
羽子
(
はね
)
ついてゐる広場かな
五百五十句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
戸の
面
(
も
)
には
羽子
(
はね
)
突
(
つ
)
く音す。
悲しき玩具
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
死骸からむしり取って行ったのだろう——凧糸に
羽子
(
はね
)
を
挾
(
はさ
)
んだのは、竜吉の床の側にあった羽子を使って、自害と見せかけた細工だ
銭形平次捕物控:244 凧の糸目
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
このときアデェルが
羽子
(
はね
)
を持つて彼の方に駈けて來た。「あつちへ!」彼は亂暴に呶鳴りつけた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
花子さんは夢中になってお友達と
羽子
(
はね
)
をついているうちに、羽子板のうらの美しい姉さんの顔の頬ぺたが、いつの間にか羽子のムクロジに当って、ポコンと
凹
(
へこ
)
んでいるのを見つけました。
黒い頭
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
海若藍平
(著)
ある時私は、柳編みの
羽子板
(
はごいた
)
と、黄や青や緑の羽毛のついた
羽子
(
はね
)
とを、お前に買ってやったことがある。お前はもう忘れているでしょう。お前はごく小さい時はほんとにいたずらだった。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
お庄らは田舎から持って来た
干栗
(
ほしぐり
)
や、
氷餅
(
こおりもち
)
の類をさも珍しいもののように思って
悦
(
よろこ
)
んだ。正月にはお庄も近所の子供並みに着飾って、
羽子
(
はね
)
など突いていたが、そのころから父親は時々家をあけた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
渋蛇目傘
(
しぶじゃのめ
)
を開いたままで、
袖摺
(
そでず
)
れに引着けた、またその袖にも、
霏々
(
ひひ
)
と降りかかって、見る見る
鬢
(
びん
)
のおくれ毛に、白い
羽子
(
はね
)
が、ちらりと来て、とまって消えては、ちらりと来て、消えては、飛ぶ。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
戸をさして
枢
(
とぼそ
)
の内や
羽子
(
はね
)
の音
毛紈
(
もうがん
)
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
羽子
(
はね
)
をつき
手毬
(
てまり
)
をついて恋をして
七百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
娘お妙が、床の上で
羽子
(
はね
)
をついたというのは、あの白々とした窓でしょう。今日は障子が
締
(
しま
)
って、なんにも見せてはくれません。
銭形平次捕物控:244 凧の糸目
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
羽子
(
はね
)
つきの羽子のようなものを頭にかぶり手に
棍棒
(
こんぼう
)
を持ってまっ裸で歩く蛮人も、この得業士どもほどひどくはない。取るに足らぬ小猿のくせに、尊大で
傲慢
(
ごうまん
)
で、評議したり理屈をこね回したりする。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
と美代子さんは
矢張
(
やは
)
り
羽子
(
はね
)
をつきながら、又口真似をしました。
クチマネ
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
海若藍平
(著)
羽子
(
はね
)
をつく手をとめて道教へくれ
六百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
向うの家の窓の中で、お妙が床の上へ坐ったまま、赤い
襦袢
(
じゅばん
)
の袖をチラチラさせて、
羽子
(
はね
)
をついてるのを見ると、朝倉屋の倅の竜吉も我慢が出来なくなった。
銭形平次捕物控:244 凧の糸目
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
それは一羽の赤い
羽子
(
はね
)
を持った鸚鵡であった。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
褄
(
つま
)
とりて
独
(
ひと
)
り
静
(
しずか
)
に
羽子
(
はね
)
をつく
五百五十句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
大空に
羽子
(
はね
)
の白妙とどまれり
五百句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
その
羽子
(
はね
)
が羽ばたけば
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
羽
常用漢字
小2
部首:⽻
6画
子
常用漢字
小1
部首:⼦
3画
“羽子”で始まる語句
羽子板
羽子擢
羽子板市
羽子板屋
羽子突