“見遍”の読み方と例文
読み方割合
みわた100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
見遍みわたせば両行の門飾かどかざりは一様に枝葉の末広く寿山じゆざんみどりかはし、十町じつちよう軒端のきばに続く注連繩しめなはは、福海ふくかいかすみ揺曳ようえいして、繁華を添ふる春待つ景色は、うたり行くとしこんおどろかす。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
彼は人々の更互かたみがはりにおのれのかたながむるを見て、その手に形好く葉巻シガアを持たせて、右手めて袖口そでぐちに差入れ、少したゆげに床柱にもたれて、目鏡の下より下界を見遍みわたすらんやうに目配めくばりしてゐたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
うるはしえたる空は遠く三四みつよついかの影を転じて、見遍みわたす庭の名残なごり無く冬枯ふゆかれたれば、浅露あからさまなる日の光のまばゆきのみにて、啼狂なきくるひしこずゑひよの去りし後は、隔てる隣より戞々かつかつ羽子はね突く音して
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)