“みわた”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
見渡80.0%
水曲5.0%
三輪田3.3%
見亙3.3%
見度3.3%
見遍1.7%
見亘1.7%
瞰渡1.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
何故なぜかともうすに、いわうえから見渡みわたす一たい景色けしきが、どうても昔馴染むかしなじみ三浦みうら西海岸にしかいがん何所どこやら似通にかよってるのでございますから……。
春はまだ寒き水曲みわたを行きありく白鷺の脚のほそくかしこさ
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
今ニ三輪田みわた君ノ梅見ニ誘ウ文、高津君ノ悔ミノ文ナドヲ凌駕りょうがスルコトト思召おぼしめシ下サイ
斎藤緑雨 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
若い料理教師は、煙草のい殻を屑籠くずかごの中に投げ込み立上って来た。じろりと台俎板の上を見亙みわたす。これはいらんという道具を二三品、き出して台俎板の向う側へ黙ってほうり出した。
食魔 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
彼は夕凉ゆふすゞに東京を立つて、夜の九時頃に古馴染の旅館へついた。そして其の翌日、比較的海に近い新築の家を一軒かりることに決めた。そこは青田が部屋のなかからひろびろと見度みわたされた。
青い風 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
見遍みわたせば両行の門飾かどかざりは一様に枝葉の末広く寿山じゆざんみどりかはし、十町じつちよう軒端のきばに続く注連繩しめなはは、福海ふくかいかすみ揺曳ようえいして、繁華を添ふる春待つ景色は、うたり行くとしこんおどろかす。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
彼は人々の更互かたみがはりにおのれのかたながむるを見て、その手に形好く葉巻シガアを持たせて、右手めて袖口そでぐちに差入れ、少したゆげに床柱にもたれて、目鏡の下より下界を見遍みわたすらんやうに目配めくばりしてゐたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
お勢は大榎おおえのき根方ねがたの所で立止まり、していた蝙蝠傘こうもりがさをつぼめてズイと一通り四辺あたり見亘みわたし、嫣然えんぜん一笑しながら昇の顔をのぞき込んで、唐突に
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
お政は菊細工にははなはだ冷淡なもので、唯「綺麗だことネー」ト云ッてツラリと見亘みわたすのみ。さして眼をめる様子もないが、その代りお勢と同年配頃の娘に逢えば、叮嚀ていねいにその顔貌風姿かおかたち研窮けんきゅうする。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
私は、気抜けしたように黙りこんで、広々とした耕地を瞰渡みわたす客間の廊下にいた。茶の間の方から、青竹を何本切らなければならぬ、榊を何本と、神官が指図をしている声がした。皆葬式の仕度だ。
この夏 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)