見度みわた)” の例文
見つめらるる人は、座客ざかくのなめなるを厭ひてか、しば眉根まゆねしわ寄せたりしが、とばかり思ひかへししにや、わずかえみを帯びて、一座を見度みわたしぬ。
うたかたの記 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
彼は夕凉ゆふすゞに東京を立つて、夜の九時頃に古馴染の旅館へついた。そして其の翌日、比較的海に近い新築の家を一軒かりることに決めた。そこは青田が部屋のなかからひろびろと見度みわたされた。
青い風 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)