ばっ)” の例文
今日いずれの国の法律をもってしても、殺人罪は一番重くばっせられる。間接ではあるけれども、ビジテリアンたちも又この罪をまぬかれない。
ビジテリアン大祭 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
この残酷ざんこくなじょうだんがばっせられないはずの子どもたちみんなをわらわせた。それからほかの子どもたちも一人一人勘定かんじょうをすました。
もし無法むほうなものがあって、わたしたちにいしげたり、またらえたりするものがあれば、そのものはみんなからばっせられるでありましょう……。
兄弟のやまばと (新字新仮名) / 小川未明(著)
寵愛ちょうあいいよいよ厚きを加えたが、その後きさきちょうおとろえたとき、かつて食い残した品を捧げた無礼のけんによりてばっせられたという。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
科人とがにんはご神刑しんけいにかけます。ご領地りょうちのできごとなら知らぬこと、ご神縛しんばくの科人は当山とうざんのならいによってばっします」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
領主 物悲ものがなしげなるしづけさをばこの朝景色あさげしきもたらする。かなしみてか、おもてせぬわ。いざ、とも彼方かなたて、きぬ愁歎なげきかたはん。ゆるすべきものもあれば、ばっすべきものもある。
王さまは召使めしつかいをよびだして、きびしくしかりつけました。そして、もしあしたまでに犯人はんにんの名をいうことができなければ、おまえを犯人と考えてばっするぞ、と、おどかしました。
それともまた、この男の罪が非常に大きなもので、もしもそれを口にでもしようものなら、極楽ごくらくが死のけいをもってこの男をばっしなければならないといったようなものだったのでしょうか。
「そうだ、ぼくらは次郎君をばっすることはできない」
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
マチアはそう機械的きかいてきに言って、あたかもこの子どももばっせられると思うのがかれに満足まんぞくをあたえるもののようであった。
して、折角せっかくおいでになったお客さまに、もしものことがあったらどうする。学校の名誉めいよに関するよ。今日はもうお前たちみんなばっしなければならない。
茨海小学校 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「そして、まちでは鉄砲てっぽうったりすると、かえって、その人間にんげんは、みんなからばっせられるということを、まちのはとはいっていました。」と、おとうとがいいました。
兄弟のやまばと (新字新仮名) / 小川未明(著)
寸分すんぶん異ならぬ同一事実のものでも、ようによりてはめることもできれば、しることもできる。賞することもばっすることもでき、殺すこともかすこともできる。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
この天国では、わしひとり、つまり、神のほかは、だれにもばっする権利けんりはないのじゃ。
「なに、ただしいものは、いつかみとめられるし、ただしくないものは、しまいにばっせられるのじゃ。」
世の中のために (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたしが仲間なかまの間に規律きりつたもとうとすれば、つみおかしたものはばっせられなければならない。それをしなかったら、つぎの村へ行って、今度はドルスが同じ事をするであろう。
法に従って彼らをばっせんか、おしむらくは彼らの中には有名の士君子しくんしが多く、かつこれらの人はごろ社会百般の事柄に力を尽し、世間の信用と敬愛とを受けている。法に従い罰するにしのびぬ。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
かみさまは、めくらぼしとなったむすめを、かわいそうだとおもわれました。けれど、げた小鳥ことりにべつにつみのあるわけでありませんから、それをばっすることができませんでした。
めくら星 (新字新仮名) / 小川未明(著)