節句せつく)” の例文
述て返濟なし其節も馳走に成しが其後五月節句せつくまへ又三十兩不足に付借用致し度と云ければ四郎右衞門は以前の如くこゝろよくかせしを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
さてうめはなをはりとなり、日毎ひごとかぜあたゝかになりますと、もゝ節句せつくもゝはな油菜あぶらなはながさきます。はたにはたんぽゝが黄色きいろくかゞやいてきます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
「馬鹿だなア。——その菱餅に大事な鍵が隱してあつたんだ。——菱餅に隱した鍵は、節句せつく過ぎには見付けられる。——その時、お前ならその鍵をどこへ隱す?」
ぐわつ、五ぐわつのお節句せつくは、たのしい子供こどものおまつりです。五ぐわつのお節句せつくには、とうさんのおうちでもいしせた板屋根いたやね菖蒲しやうぶをかけ、ぢいやが松林まつばやしはうからつてさゝちまきをつくりました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
とき十二月じふにぐわつなんだけれど、五月ごぐわつのお節句せつくの、これこひそれ金銀きんぎんいとつばさかゞやにじ手鞠てまりにしてげたやうに、そらつて孔雀くじやくも、にはかへつてるの……燻占たきしめはせぬけれど
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ときに、川鐵かはてつむかうあたりに、(水何みづなに)とかつた天麩羅屋てんぷらやがあつた。くどいやうだが、一人前いちにんまへ、なみで五錢ごせん。……横寺町よこでらまちで、おぢやうさんのはつのお節句せつくときわたしたちはこれ御馳走ごちそうつた。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
馴染なじみたがひに惡からず思ひ居たりしうち或時不動院どうゐん馴合なれあひ彼のお芳を盜み出し寺へかくまひ置しが其後彌生やよひ節句せつくとなりて庭にてお芳に田樂をやかせ法印始九郎兵衞其外土地の破落戸ならずもの五六人集り酒を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「親分、世間はたうとう五月の節句せつくとなりましたね」
して取續とりつゞたれども或年あるとし三月節句せつく前金二十兩不足にて勘定かんぢやうたゝざれば是非なく向ふの加賀屋へいた亭主ていしゆあひて此節句前二十兩不足ゆゑ問屋とひやはら行屆ゆきとゞかざるに付何卒節句過まで金子借用致したきむね只管ひたすらたのみければ此四郎右衞門は情有者なさけあるものにて夫は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)