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突切
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つっき
ふりがな文庫
“
突切
(
つっき
)” の例文
あれはうまい、と言いますと、電車を待って雨宿りをしていたのが、傘をざらりと開けて、あの四辻を饅頭屋へ
突切
(
つっき
)
ったんです。
菊あわせ
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
八幡下の田圃を
突切
(
つっき
)
って、雑木林の西側を
這
(
は
)
う
径
(
こみち
)
に入った。立どまって
良
(
やや
)
久
(
ひさ
)
しく耳を
澄
(
す
)
ました。人らしいものゝ
気
(
け
)
もない。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
その
僅
(
わず
)
か五丁もの道の間には、
火葬場
(
かそうば
)
や大根畑や、墓や
杉
(
すぎ
)
の森を
突切
(
つっき
)
らない事には、大変な
廻
(
まわ
)
り道になるので、私達は引越しの代を
倹約
(
けんやく
)
するためにも
清貧の書
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
一望して原だよと澄ましていればそれまでの事で、
仰
(
おおせ
)
のごとく
平
(
たい
)
らにも見えるが、いざ時間に制限を切って、
突切
(
つっき
)
って見ろと云われると、恐ろしく
凸凹
(
でこぼこ
)
ができてくる。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
竹ヶ崎は
此方
(
こっち
)
イずいと往って突当って左へきれて、構わず
南西
(
みなみにし
)
へきれて這入ると宮がある、其の宮の
前
(
まい
)
に
新浄寺
(
しんじょうじ
)
と云う寺がある、
其処
(
そこ
)
を
突切
(
つっき
)
って
往
(
い
)
くと
信行寺
(
しんぎょうじ
)
と云うお寺様アある
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
肉類や野菜の
市
(
いち
)
の立つ町を墓地の方へ行かずにモン・パルナッスの通りへと
突切
(
つっき
)
った。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
あまりの事に、
寂然
(
しん
)
とする、その人立の中を、どう替草履を
引掛
(
ひっか
)
けたか覚えていません。夢中で、はすに木戸口へ
突切
(
つっき
)
りました。お絹は、それでも、帯も襟もくずさない。
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そこに一月余りも滞在しているうちに九月になり掛けたので、
保田
(
ほた
)
から向うへ
突切
(
つっき
)
って、
上総
(
かずさ
)
の海岸を九十九里伝いに、
銚子
(
ちょうし
)
まで来たが、そこから思い出したように東京へ帰った。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
田植時
(
たうえどき
)
も近いので、
何
(
ど
)
の田も
生温
(
なまぬる
)
い水満々と
湛
(
たた
)
え、
短冊形
(
たんざくがた
)
の苗代は緑の
嫩葉
(
わかば
)
の
勢揃
(
せいぞろ
)
い美しく、一寸其上にころげて見たい様だ。
泥
(
どろ
)
の
楽人
(
がくじん
)
蛙の歌が両耳に
溢
(
あふ
)
れる。甲州街道を北へ
突切
(
つっき
)
って行く。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
あれから旅籠町へ抜けて、東四十物町を
突切
(
つっき
)
って、橋通りへ
懸
(
かか
)
って神通を飛越そうてえ
可恐
(
おそろし
)
い
逸
(
そ
)
れ方だ。
南無三宝
(
なむさんぽう
)
、こりゃ加州まで行くことかと息切がして
蒼
(
あお
)
くなりましたね。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
外には白い
霜
(
しも
)
を一度に
摧
(
くだ
)
いた日が、
木枯
(
こがら
)
しにも吹き
捲
(
ま
)
くられずに、
穏
(
おだ
)
やかな往来をおっとりと一面に照らしていた。敬太郎はその中を
突切
(
つっき
)
る電車の上で、光を
割
(
さ
)
いて進むような感じがした。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
熱海の街を
突切
(
つっき
)
って、
磧
(
かわら
)
のような石原から浪打際へ出ようとする、
傍
(
かたわら
)
の
蠣殻
(
かきがら
)
屋根、崖の上の一軒家の、年老いた漁師であるが、
真鶴崎
(
まなづるがさき
)
へ
鰹
(
かつお
)
の寄るのも、老眼で見えなくなったと
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
上の
新道
(
しんみち
)
を行くのであって、この旧道を
突切
(
つっき
)
れば、萩の株に狼の
屎
(
ふん
)
こそ見ゆれ、ものの一里半ばかり近いという、十年の昔といわず、七八年以前までは
駕籠
(
かご
)
で
辿
(
たど
)
った路であろう。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「さては電車路を
突切
(
つっき
)
ったな。そのまま引返せば
可
(
い
)
いものを、何の気で渡った知らん。」
菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お源のその
慌
(
あわただ
)
しさ、
駈
(
か
)
けて来た
呼吸
(
いき
)
づかいと、早口の
急込
(
せきこみ
)
に
真赤
(
まっか
)
になりながら、直ぐに台所から居間を
突切
(
つっき
)
って、取次ぎに出る手廻しの、
襷
(
たすき
)
を外すのが
膚
(
はだ
)
を脱ぐような
身悶
(
みもだ
)
えで
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
草の
径
(
みち
)
ももどかしい。
畦
(
あぜ
)
ともいわず、刈田と言わず、
真直
(
まっすぐ
)
に
突切
(
つっき
)
って、
颯
(
さっ
)
と寄った。
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
鰻屋
(
うなぎや
)
の神田川——今にもその頃にも、まるで
知己
(
ちかづき
)
はありませんが、あすこの前を向うへ抜けて、大通りを
突切
(
つっき
)
ろうとすると、あの黒い雲が、聖堂の森の方へと
馳
(
はし
)
ると思うと、頭の上にかぶさって
木の子説法
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「成程。線路を
突切
(
つっき
)
って行く仕掛けなんです。」
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
突
常用漢字
中学
部首:⽳
8画
切
常用漢字
小2
部首:⼑
4画
“突”で始まる語句
突
突然
突立
突込
突出
突飛
突如
突兀
突伏
突張