短氣たんき)” の例文
新字:短気
さてまた、弦月丸げんげつまる沈沒ちんぼつ間際まぎわに、船長せんちやうをはじめ船員せんゐん一同いちどう醜態しゆうたいは、ひとおどろいからざるなく、短氣たんき武村兵曹たけむらへいそうひからして
ぜん申せしとほ短氣たんき大旦那おほだんなさましきりちこがれておほぢれに御座ござ候へば、其地そのち御片おかたつけすみ次第しだい、一日もはやくと申おさめ候。
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「スキャチャード先生は短氣たんきなのよ。——怒らせないように氣をお附けなさい。マダム・ピエロは惡い方ぢやないのよ。」
働くにぞ大膳は元來短氣たんきの性質なれば無念むねん骨髓こつずゐてつすれども伊賀亮が戒めしは此所ここなりと憤怒ふんどこらへ居たりける斯て八山の天一坊が行列には眞先に葵の紋を染出せし萌黄純子もえぎどんす油箪ゆたん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そんな時は圖々しいといつて、短氣たんきはゝ平打ひらうちがピシヤリピシヤリと來て、惡くするとも一度熱い目にあはされたりした。そして、その祖母といふひとと、母といふひとと、二人の年長者は言つた。
お灸 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
無※ばかなツ。』とわたくし勃然むつとしてしまつた。日頃ひごろから短氣たんきわたくし持病やまひ疳癪玉かんしやくだま一時いちじ破裂はれつしたよ。
はゝかねてそれはあまりに短氣たんきなりあのことば一通ひととほりはきいておりなされませぬかと執成とりなすを
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
かたぶすぐにも樣子をさぐつて見樣が必ず短氣たんきな事などしまひ先の返事は翌日あすする程に少し成りとも小遣ひをといはれて小夜衣は千太郎が樣子を聞度きゝたく思ひしより金子すこし渡しければ長庵は夫よりすぐに三河町を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
次第しだい短氣たんきのまさりて我意わがまゝつよく、これ一つはとしせいには御座ござ候はんなれど、隨分ずいぶんあたりのものげんのりにくゝ、大心配おほしんぱいいたすよし、わたくしなど古狸ふるだぬきなれば兎角とかくつくろひて一日二日とすごし候へども
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
駿府すんぷより連れ歸り打寄て種々しゆ/″\異見に及びしかど文藏は何時かな思ひきる樣子もなく假令たとへ不孝といはれ勘當受る共是非に及ばずと思ひ切て申ける故しからば忠兵衞も致し方なく然程さるほどに思ひ詰給つめたまふ上は暫時私しへ御まかせ有べし必ず思し召違めしちがひ有て短氣たんきの事など爲給ふなと種々にさとし置きて忠兵衞は御家ごけのおもせが機嫌を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)