盜人ぬすびと)” の例文
新字:盗人
しかしつまゆめのやうに、盜人ぬすびとをとられながら、やぶそとかうとすると、たちま顏色がんしよくうしなつたなり、すぎのおれをゆびさした。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
お助け下さい。娘のお糸が盜人ぬすびとの疑を受けて、大名屋敷へ引渡されさうになつて居ります。引渡されたが最後、生きて歸りつこはありません
はなし是は是非々々ぜひ/\うつたへねばならぬと急込せきこむを長兵衞先々まづ/\とて樣子をとくきゝ何樣なにさまこれは外より入たる盜人ぬすびとにては有まじ然れどもいまこれ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
車主エツツリノは顧みて、否、盜人ぬすびとの巣なり、警察のわずらひ絶ゆる間なければとて、一たび市民の半を山のあなたにうつし、その跡へは餘所より移住せしめしことあり
このあたりは私の存じてゐます限り、靜かなもので、このおやしきも、こゝが家になつて以來盜人ぬすびとに襲はれたなどといふことは私も聞いたことがありません。
いへには垣なければ盜人ぬすびとり、ひとには咎あれば、てき便べんとなる。やくといふのはそんなものだ。
みな盜人ぬすびとのやうな奴等計やつらばかりだとか、乘馬じようばけば一にちに百ヴエルスタもばせて、其上そのうへ愉快ゆくわいかんじられるとか、我々われ/\地方ちはう不作ふさくなのはピンぬまなどをからしてしまつたからだ、非常ひじやう亂暴らんばうをしたものだとか
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
なに盜人ぬすびとです、わたし情人いろぢやありませんかね。」
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
夜は黒…………おそろしい、忍びやかな盜人ぬすびとの黒。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
「あのひところしてください。」——つまはさうさけびながら、盜人ぬすびとうですがつてゐる。盜人ぬすびとはぢつとつまままころすともころさぬとも返事へんじをしない。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
ぬすむなどと云卑劣ひれつ武士さふらひにあらず是にても疑ひははれぬかと云ふに久兵衞は大口おほぐちあい打笑うちわらひイヤサ盜人ぬすびとたけ/″\しいとは貴殿きさまの事なり此品々を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
何故なぜかもいものだ! 盜人ぬすびとめ!』
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
願はゞ百兩の盜人ぬすびとも大方番頭久兵衞の仕業に相違さうゐ有まじ又貴樣は公事宿くじやどの商賣柄拙者せつしやが事は兄弟とか親類とか云て名前を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
が、あの盜人ぬすびとうばはれたのでせう、太刀たち勿論もちろん弓矢ゆみやさへも、やぶなかには見當みあたりません。しかしさいは小刀さすがだけは、わたしのあしもとにちてゐるのです。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)