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片輪
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かたわ
ふりがな文庫
“
片輪
(
かたわ
)” の例文
又
賞
(
め
)
で
喜
(
よろこ
)
ばるゝと
雖
(
いへ
)
ども
親
(
おや
)
の
因果
(
いんぐわ
)
が
子
(
こ
)
に
報
(
むく
)
ふ
片輪
(
かたわ
)
娘
(
むすめ
)
の
見世物
(
みせもの
)
の如く
賞
(
め
)
で
喜
(
よろこ
)
ばるゝの
謂
(
いひ
)
にあらねば、決して/\
心配
(
しんぱい
)
すべきにあらす。
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
人間の
畸形
(
きけい
)
にも不具と出来過ぎとが確かにある。大男も
片輪
(
かたわ
)
のうちに
算
(
かぞ
)
えるのは、いわゆる鎖国時代の平民の哀れな遠慮であろう。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「葉子さんという人は兄がいうとおりに
優
(
すぐ
)
れた
天賦
(
てんぷ
)
を持った人のようにも実際思える。しかしあの人はどこか
片輪
(
かたわ
)
じゃないかい」
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
渋面
(
じゅうめん
)
をつくった
呂宋兵衛
(
るそんべえ
)
と、にがりきった
菊池半助
(
きくちはんすけ
)
とが、
片輪
(
かたわ
)
や
死骸
(
しがい
)
になった
味方
(
みかた
)
のなかに立ってぼんやりと朝の光を見ていた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
三河屋のために
片輪
(
かたわ
)
になつたのを、三河屋がお爲ごかしに女房にまで別れさせ、散々恩に着せられて、離室へ犬のやうに飼はれて居る男だ。
銭形平次捕物控:079 十七の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
生れながらの
片輪
(
かたわ
)
であったり、精神の欠陥が在ったりするのに対しても、それぞれに相当の原因を説明する夢が、その胎生の時代に在った筈である。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
私は職業上己のためとか人のためとか云う言葉から出立してその先へ進むはずのところをツイわき道へそれて職業上の
片輪
(
かたわ
)
という事を御話しし出したから
道楽と職業
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
大八の
片輪
(
かたわ
)
田の中に踏込んだ
様
(
よう
)
にじっとして、くよ/\して居るよりは外をあるいて見たら又どんな女に
廻
(
めぐ
)
り
合
(
あう
)
かもしれぬ、目印の柳の下で
平常
(
ふだん
)
魚は
釣
(
つ
)
れぬ代り
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
そのことをきいて憤慨したのが、尾張の國愛知郡、
片輪
(
かたわ
)
の
里
(
さと
)
の一女流力者——ちよつとここではさんでおくのは、前の狐女末裔は大女、この正義の女史は小女です。
春宵戯語
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
老人「さあ、それもどうですかね。一体野菜の善悪は
片輪
(
かたわ
)
のきめることになっているのですが、……」
不思議な島
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
人間の子供は豚より安いんだ。一弗か二弗で買った奴は、食うものもろくにやらずに使い倒して、
片輪
(
かたわ
)
になると捨ててしまう。その無恥な売買の市場があの貧民窟だ
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
果合いなどをして腕を
落さ
(
切ら
)
れたり、あるいは顔を切られた者で、他のチベットの医師にかかると必ず
片輪
(
かたわ
)
になって、一生不自由な思いをして暮さなければならん者が
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
二十年来この窟に隠れ棲んで、殆ど人間との交際を
断
(
た
)
っていた
此
(
こ
)
の
母子
(
おやこ
)
二人は、さながら車の両輪の如き関係であった。今や
其
(
その
)
母を
亡
(
うしな
)
って、彼は殆ど
片輪
(
かたわ
)
になって
了
(
しま
)
った。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
それから、よし、腕づくでも取る、戸山が原へ来い、
片輪
(
かたわ
)
にしてやる、といふことになつたのである。三木も、蒼ざめて承知した。元旦、正午を約して、ゆうべはわかれた。
火の鳥
(新字旧仮名)
/
太宰治
(著)
そんな楽しみを楽しみとしえないような
片輪
(
かたわ
)
な人間ではありませんが、こんな苦しい生活をつづけているのは、むずかしい仕事の性質にもよることのほかに、これを機会に
キャラコさん:04 女の手
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
片輪
(
かたわ
)
、いたずら、悪気のない物、争い物をやらせても、僧侶物から遊興物、婿取り物から夫婦物、盗人物から悪人物、何から何までやらせても、いつも名人でござりますよ。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「未練というわけじゃあねえが、おれもあの女ゆえにこの腕を一本なくして、生れもつかねえ
片輪
(
かたわ
)
にされちまったんだ、身から出た
錆
(
さび
)
だと言えばそれまでだが、どうもこのままじゃあ済まされねえ」
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「少弐の孫は
片輪
(
かたわ
)
だそうだ、惜しいものだ、かわいそうに」
源氏物語:22 玉鬘
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
「生れ付きの
片輪
(
かたわ
)
が
嵩
(
こう
)
じて、近ごろは身動きも自由でなく、離屋に
籠
(
こも
)
ったきりでございます、もう十五になりますが」
銭形平次捕物控:376 橋の上の女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
メチャメチャにふみつぶされたり、
片輪
(
かたわ
)
にされたかわいそうな人が、何人あるか知れやしません。まったく弱いものは生きていられない世の中ですね
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
手術を受けた時はチットもそんな気がしなかったが、タッタ今義足という言葉を聞くと同時に、スッカリ
片輪
(
かたわ
)
らしい、情ない気もちになってしまった。
一足お先に
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
盲
(
めくら
)
などは勿論
立派
(
りっぱ
)
なものです。が、最も理想的なのはこの上もない
片輪
(
かたわ
)
ですね。目の見えない、耳の聞えない、鼻の
利
(
き
)
かない、手足のない、歯や舌のない片輪ですね。
不思議な島
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「あの教師あ、うちの旦那の名を知らないのかね」と
飯焚
(
めしたき
)
が云う。「知らねえ事があるもんか、この
界隈
(
かいわい
)
で金田さんの御屋敷を知らなけりゃ眼も耳もねえ
片輪
(
かたわ
)
だあな」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
私をかばう一心から、飛び込んで来たのでございます。可哀そうなことをいたしました。でも妹はああいう
片輪
(
かたわ
)
、なまじ活きておりますより、死んだ方がよかったかもしれません。
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「薄汚い野郎だ。君は一たい、さちよをどうしようといふのかね。ただ、腕づくでも取る、戸山が原へ来い、
片輪
(
かたわ
)
にしてやる、では、僕は君の相手になつてあげることができない。」
火の鳥
(新字旧仮名)
/
太宰治
(著)
段々眼がかすんで来た。笠井の娘……笠井……笠井だな馬を
片輪
(
かたわ
)
にしたのは。そう考えても笠井は彼れに全く関係のない人間のようだった。その名は彼れの感情を少しも動かす力にはならなかった。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
然
(
しか
)
しクラデル氏は、その精神に於ては、外貌とは全く反対な人物で、通例一般の
片輪
(
かたわ
)
根性や、北欧の小国人一流の狡猾なところはミジンもなく、
如何
(
いか
)
にも弱い
戦場
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
というのはほかでもないが開化の潮流が進めば進むほど、また職業の性質が分れれば分れるほど、我々は
片輪
(
かたわ
)
な人間になってしまうという妙な現象が起るのであります。
道楽と職業
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
たとえ、
真
(
まこと
)
の
父御
(
ててご
)
が、たれであろうと、和子様だけは、まちがいなく、一個の
男
(
お
)
の
児
(
こ
)
ではおわさぬか。手も脚も、
片輪
(
かたわ
)
じゃおざらぬ。こころを太ぶとと、おもちなされい。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「薄汚い野郎だ。君は一たい、さちよをどうしようというのかね。ただ、腕ずくでも取る、戸山が原へ来い、
片輪
(
かたわ
)
にしてやる、では、僕は君の相手になってあげることができない。」
火の鳥
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
(もっとも
大勢
(
おおぜい
)
の職工たちはこの××の
震
(
ふる
)
えたのを物理的に解釈したのに違いなかった。)海戦もしない△△の急に
片輪
(
かたわ
)
になってしまう、——それは実際××にはほとんど信じられないくらいだった。
三つの窓
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
美味
(
うま
)
そうなものを一パイ詰めた籠を出して、雑木林の中の空地に敷き並べると、部落に残っている
片輪
(
かたわ
)
連中を五六人呼び集めて、奇妙キテレツな
酒宴
(
さかもり
)
を初めた。
いなか、の、じけん
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
世の中には
色盲
(
しきもう
)
というのがあって、当人は完全な視力を具えているつもりでも、医者から云わせると
片輪
(
かたわ
)
だそうだが、この御三は
声盲
(
せいもう
)
なのだろう。声盲だって片輪に違いない。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
すぐに「
片輪
(
かたわ
)
」という名前を附けて軽蔑したり、気の毒がったり、特別扱いにしたりする事にきめている。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
彼女には天下の人がことごとく持っている二つの眼を失って、ほとんど
他
(
ひと
)
から
片輪
(
かたわ
)
扱いにされるよりも、いったん
契
(
ちぎ
)
った人の心を確実に手に握れない方が
遥
(
はる
)
かに苦痛なのであった。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
口も動かぬ
片輪
(
かたわ
)
の木魚が。見たり聞いたりして来た話が。腹は
空
(
から
)
ッポ公平無私だよ。タタキ出します
阿呆陀羅経
(
あほだらきょう
)
だよ。地獄めぐりのチョンガレ文句が。ドンと一段、深みへ落ちます。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
第一毛をもって装飾されべきはずの顔がつるつるしてまるで
薬缶
(
やかん
)
だ。その
後
(
ご
)
猫にもだいぶ
逢
(
あ
)
ったがこんな
片輪
(
かたわ
)
には一度も
出会
(
でく
)
わした事がない。のみならず顔の真中があまりに突起している。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
片輪
(
かたわ
)
な
出来損
(
できそこな
)
いの芸術であります。
教育と文芸
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
片
常用漢字
小6
部首:⽚
4画
輪
常用漢字
小4
部首:⾞
15画
“片輪”で始まる語句
片輪者
片輪車