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牀
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ゆか
ふりがな文庫
“
牀
(
ゆか
)” の例文
⦅五月、
斯螽
(
ししゆう
)
股を鳴らし。六月、
莎鶏
(
さけい
)
羽を振ふ。七月、野に在り。八月、宇に在り。九月、戸に在り。十月、蟋蟀わが
牀
(
ゆか
)
の下に入る⦆
雪
(新字旧仮名)
/
高祖保
(著)
直ぐ目についたのは、
牀
(
ゆか
)
の上に投出してあるトランクと手提鞄である。それには
孰
(
いず
)
れもT・Cと姓名の頭文字が記してあった。
P丘の殺人事件
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
看護婦や宿直の若い医員だちを呼び集めて、陽気に騒いでいるのだったが、葉子は長い
袖
(
そで
)
を
牀
(
ゆか
)
まで垂らして、
熔
(
と
)
けるような声で謳っていた。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
それらを
竈
(
かまど
)
の前に置いて水をふくんで吹きかけると、木人は木馬を牽き、鋤鍬をもって
牀
(
ゆか
)
の前の狭い地面を耕し始めた。
中国怪奇小説集:07 白猿伝・其他(唐)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
牀
(
ゆか
)
は低いけれども、かいてあるにはあった。其替り、天井は
無上
(
むしょう
)
に高くて、而も
萱
(
かや
)
のそそけた屋根は、
破風
(
はふ
)
の脇から、むき出しに、空の星が見えた。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
▼ もっと見る
また
牀
(
ゆか
)
の上に畳を敷きつめることも、勿論神武天皇以来の風ではない。たたみは文字通り畳むもの、すなわち今日のゴザまたはザブトンに該当する。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
蜘
(
くも
)
網
(
あみ
)
をむすびて
九二
諸仏を繋ぎ、
燕子
(
つばくら
)
の
糞
(
くそ
)
九三
護摩
(
ごま
)
の
牀
(
ゆか
)
をうづみ、
九四
方丈
(
はうぢやう
)
九五
廊房
(
らうばう
)
すべて物すざましく荒れはてぬ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
姫の指は
牀
(
ゆか
)
をさしてゐました。そこには二三寸も高く積つた
埃
(
ほこり
)
の上に、大きな
支那靴
(
しなぐつ
)
の跡がポタリ/\とついて、ラマ仏像の横の方へ走つてゐました。
ラマ塔の秘密
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
赤い首巻きを締めるように、肥満した男の太い呼吸がばったりやむと、人口的な都会の性格が
夥
(
おびただ
)
しく
牀
(
ゆか
)
にふれた。
女百貨店
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
室内の区劃の上に現わるる二元性としては、まず
天井
(
てんじょう
)
と
牀
(
ゆか
)
との対立が両者の材料上の相違によって強調される。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
翠
(
みどり
)
の
帳
(
とばり
)
、きらめく星
白妙
(
しらたへ
)
の
牀
(
ゆか
)
、かがやく雪
宏
(
おほい
)
なる
哉
(
かな
)
、美くしの自然
誰
(
た
)
が為め神は、備へましけむ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
従って生活は質素であり多忙である。
懶惰
(
らんだ
)
の
暇
(
いとま
)
はない。
暇
(
ひま
)
ならば器には遠い。あの
牀
(
ゆか
)
に休む飾物は概して弱いではないか、
脆
(
もろ
)
いではないか。働き手ではないからである。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
孫の鸚鵡は目をみはって何か考えているようであったが、暫くして女が髪を結うために
履
(
くつ
)
を脱いで
牀
(
ゆか
)
にあがると、鸚鵡はふいにおりてその履の一つを
銜
(
くわ
)
えて飛んで往った。
阿宝
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
屋根から伝つて雨樋に落ち、雨樋から庭へ下る流れの喧しい音、庭の花壇も水に浸つてしまひ、門の下から
牀
(
ゆか
)
下まで一つらに流れとなつて、地皮を洗つて何処へか運んで行く。
五月雨
(新字旧仮名)
/
吉江喬松
(著)
おかみさんは、商売物の水飴を
箸
(
はし
)
に巻いてはしきりに
勧
(
すす
)
める。「よしえボコ」は絶えず口を動かしていたが、終に
牀
(
ゆか
)
の上から入口の土間に小用して、サッサと寝床へ入ってしまった。
白峰の麓
(新字新仮名)
/
大下藤次郎
(著)
この頃の大水に浸つた家々の
牀
(
ゆか
)
は、まだ乾かない。夜は焼鳥とおでんやの出る
角端
(
かどつぱ
)
の
明店
(
あきみせ
)
の前へ棚を据ゑて、葉のしなびた朝顔鉢が七つばかり並べてあつた。うりものと仮名で貼札してある。
茗荷畠
(新字旧仮名)
/
真山青果
(著)
守備隊長はすぐ仏像の台坐にのり、その光つた石を押すと、ぎつと音がして、仏像は前の方へ動き出して、あとには人のはいれるやうな穴が一つ、
牀
(
ゆか
)
にあきました。
ラマ塔の秘密
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
昔
一二八
魏
(
ぎ
)
の
公叔座
(
こうしゆくざ
)
病の
牀
(
ゆか
)
にふしたるに、魏王みづからまうでて手をとりつも告ぐるは、
若
(
も
)
し
一二九
諱
(
い
)
むべからずのことあらば、誰をして
一三〇
社稷
(
くに
)
を守らしめんや。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
ひる寝のなかで、
牀
(
ゆか
)
の下からやつてきた蟋蟀の、ながい脚に、踏んづけられた夢をみて、さめる。
雪
(新字旧仮名)
/
高祖保
(著)
伴に立つて来た家人の一人が、大きな木の
又枝
(
またぶり
)
をへし折つて、之に旅用意の
巻帛
(
まきぎぬ
)
を幾垂れか結び下げて持つて来た。其を
牀
(
ゆか
)
につきさして、即座の
竪帷
(
たつばり
)
—几帳—は調つた。
死者の書:――初稿版――
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
すると
牀
(
ゆか
)
をける足音と、しばらくしてもの凄い音響が電流をつたって彼女に勇気をあたえた。
女百貨店
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
一頭の大きい白猿が
四足
(
しそく
)
を
牀
(
ゆか
)
にくくられていて、一行を見るや慌て騒いで、しきりに身をもがいても動くことが出来ず、いたずらに電光のような眼を輝かすばかりであった。
中国怪奇小説集:07 白猿伝・其他(唐)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
星の
帳
(
とばり
)
、雪の
牀
(
ゆか
)
くしく
宏
(
おほい
)
なる
準備
(
そなへ
)
かな
只
(
た
)
だ頽廃の人の心 悲しくも住むに堪へざるを
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
牀
(
ゆか
)
に飾られ室を
彩
(
いろど
)
るためのものではなく、台所に置かれ居間に散らばる諸道具である。あるいは皿、あるいは盆、あるいは
箪笥
(
たんす
)
、あるいは衣類、それも多くは
家内
(
うち
)
づかいのもの。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
かれは酒が大好きで、酔うと力が満ちて来ると見えて、私たちに言いつけて
綵糸
(
いろいと
)
で自分のからだを
牀
(
ゆか
)
に縛り付けさせます。そうして、一つ
跳
(
は
)
ねあがると、糸は切れてしまうのです。
中国怪奇小説集:07 白猿伝・其他(唐)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
伴
(
とも
)
に立って来た
家人
(
けにん
)
の一人が、大きな木の
叉枝
(
またぶり
)
をへし折って来た。そうして、旅用意の
巻帛
(
まきぎぬ
)
を、幾垂れか、其場で之に結び下げた。其を
牀
(
ゆか
)
につきさして、即座の
竪帷
(
たつばり
)
—
几帳
(
きちょう
)
—は調った。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
猶
(
なほ
)
心
怠
(
おこた
)
らず
供養
(
きようやう
)
す。露いかばかり
袂
(
そで
)
にふかかりけん。日は
没
(
い
)
りしほどに、山深き夜のさま
三二
常
(
ただ
)
ならね、石の
牀
(
ゆか
)
木の葉の
衾
(
ふすま
)
いと寒く、
神
(
しん
)
清
(
す
)
み
骨
(
ほね
)
冷
(
ひ
)
えて、
三三
物とはなしに
凄
(
すざま
)
じきここちせらる。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
牀
漢検1級
部首:⽙
8画
“牀”を含む語句
牀几
病牀
牀机
牀上
岩牀
牀下
寝牀
牀榻
牀板
竹牀簀
臥牀
縄牀
神牀
胡牀
石牀
病牀録
病牀即事
船牀
土牀
踞牀
...