漂蕩へうたう)” の例文
見渡みわたかぎ雲煙うんゑん渺茫べうぼうたる大空おほぞら漂蕩へうたうして、西にしも、ひがしさだめなきいま何時いつ大陸たいりくたつして、何時いつ橄欖島かんらんたうおもむべしといふ目的あてもなければ、其内そのうち豫定よていの廿五にち
れども我は実にこの波浪に漂蕩へうたうして、悲憤慷慨の壮士と共に我が血涙を絞りたりしなり。
三日幻境 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
船頭おやぢ辨當べんたう使つかあひだ、しばらくはふね漂蕩へうたうながるゝにまかせて、やがて、かれひまして、ざぶりとふなべりあらさまに、割籠わりごむとてみづが、船脚ふなあしよりはながいて、うごくもののないおも
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「ガーフ」になつかしき帝國ていこく軍艦旗ぐんかんきひるがへせるかの白色はくしよく巡洋艦じゆんやうかんは、此邊このへん海底かいていふかくして、いかりたうずることもかなはねば、あだか小山こやま動搖ゆるぐがごとく、みぎひだり漂蕩へうたうしてる。
いま吾等われらは、重大ぢゆうだい使命しめいびながら、何時いつ大陸たいりくくといふ目的あてく、此儘このまゝ空中くうちう漂蕩へうたうしてつて、其間そのあひだむなしく豫定よてい期日きじつ經※けいくわしてしまつたことならば、後悔こうくわいほぞむともおよぶまい。