滅相めっそう)” の例文
滅相めっそうもないこと、三彩獅子を御覧ごろうぜられて、将軍家の御感ぎょかん一通ひととおりでなく、殿、御上府のせつは、偉い面目めんもくをほどこしたそうでござる」
増長天王 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ア、これは、これは、滅相めっそうなことをなされますな、私は公方様の悪口なんて、そんなことを申し上げた覚えはございません」
大菩薩峠:10 市中騒動の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
婦が言葉を尽して有難がる度に、爺は滅相めっそうもないとばかり両手を振った。「うふふ、何を云いなさるだね……」そして目を据えて宙をみつめる。
土城廊 (新字新仮名) / 金史良(著)
なに滅相めっそうなことじゃ、わらわがまいって、浜村屋はまむらや病気びょうきなおしてらせるのじゃ。——邪間じゃまだてせずと、そこ退きゃ」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
ロレ まゝゝ、滅相めっそうなことをすまい。これ、をとこではないか? 姿すがたればをとこぢゃが、そのなみだ宛然さながら女子をなごぢゃ。狂氣きちがひめいたその振舞ふるまひ理性りせいのない獸類同然けだものどうぜん
何をお武家様とお嬢様、滅相めっそうもないことおっしゃいます。なんで私がそのような偉い人間でございますものか。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
いいえ、滅相めっそうな。わたくし、そんなつもりで申しているのではございません。それはもう、貴方様のお手許でしつけていただけば、何よりでございましょうとも。
次郎物語:01 第一部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
郁之進 いやいや! 滅相めっそうな! 殿の一言一行こそは、善悪を超えて、そのまま人倫の大道と申すべきだ。もう言うな。加世がお側へ召されて、もう十日になる。
稲生播磨守 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「イヤ、どうしまして。ペテンにかけるなんて滅相めっそうな。わたしの方も大切な取引ですからね。そのお得意様をだます様な不心得は致しませんよ。……では、どうか」
恐怖王 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
百合 あの、お代、何の?……お宝……ま、滅相めっそうな。お茶代なぞ頂くのではないのでござんす。
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
いいえ滅相めっそうもない。鍵は一つしか出ていまへん。そしてボーイに使わせるんやっても、時間は厳格にやっとりまんが、ことに昼からこっちずっと、お部屋の鍵はこの帳場で番を
蠅男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
滅相めっそうなことおっしやりますな。病気なしの十年延命なら誰しもいやはございません、この頃のやうに痛み通されては一日も早くお迎への来るのを待つて居るばかりでございます。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
打たれて佐助はひと縮みに縮み上り仮りにも御主のとうさんを滅相めっそうなことでござります
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
あの夜われら十人のほか部屋に出入りした人は無し、小判が風に吹き飛んだという例も聞かず、まさかわれら腹黒くしめし合せ、あの夫婦をなぶりものにするなんてのは滅相めっそうも無い事
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
幸子坊円『滅相めっそうな。空も大分曇って参りました。闇に松明は離せませぬ』
取返し物語 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
亥「えゝお頼み申します、亥太郎で、滅相めっそうお暑くなりました」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
と考えれば、辞職するなんて、滅相めっそうもないことだ。
鉄路 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
滅相めっそうな」
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
滅相めっそうもない事。——やれやれ、御一党の晴れがましい御引揚おひきあげを見、郡兵衛も、頂上至極ちょうじょうしごく、こんな欣ばしいことはござらぬ』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おやまァ滅相めっそうな。そこへはねずみぴき滅多めったはいるこっちゃァないよ。——んぞかわわったことでもおありかえ」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
「えゝ、滅相めっそうな、お慈悲、慈悲でござります。山を越えて参ります。歩行あるいて帰ります。」
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
滅相めっそうな! リヽーに会ひに来ましてんが。———」
猫と庄造と二人のをんな (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「槍の高名——滅相めっそうなことじゃ」
滅相めっそうもない。——久しぶりでお帰りなされたこと故、今夜は何をして慰めてやろうかというような話を、御隠家様に申し上げていたところです」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
滅相めっそうな! リヽーに会ひに来ましてんが。———」
猫と庄造と二人のをんな (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「ええ滅相めっそうな。左様さようなことがおますかいな」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
「こりゃ滅相めっそうな……」
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
滅相めっそうもない。ただ、臣の駑才どさい、何の功もなく、いたずらに侍側の栄を汚すのみに終らんことをおそれまする」
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
滅相めっそうな! リリーに会いに来ましてんが。———」
猫と庄造と二人のおんな (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「え、滅相めっそうな」
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「死のうなどとは、滅相めっそうもないご短慮です。関羽がおりますからには、いかなる大難が迫ろうとも、お心やすく遊ばしませ。まずその仔細をおはなし下されい」
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いや、いや、滅相めっそうもない。いぶかったわしこそ浅慮あさはかでおざった。さても今どきにめずらしいご忠節」
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
滅相めっそうもない。悪くお取り下すッては、迷惑いたしまする。……元々、雨乞い祭りの夜、お夫婦ふたりさまを
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
吹きゃアがって。イヤ滅相めっそうもないこッてす。何で、あっしのような頓馬にそんな名器が扱えるものじゃございません。……ヘイ、それだけは、真ッぴら御免なすッて下さいまし
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
滅相めっそうもない。呂布の猛勇は尋常な者とはちがいます。滅多に憐愍れんびんをかけてはなりません」
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お召しになる巽丸たつみまるは、あれに着いておりますが、積荷よりは、お客様方のお越しのほうが、滅相めっそうおはやく見えられましたので、船方衆にいいつけて、ただ今あわててお坐り場所を
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
滅相めっそうもない仰せ。いかでか私のような者が、そんな大事に当ることができましょう」
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
滅相めっそうもない。われらごときにあやかったら、うまくつを作らねばならぬぞ」
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あっ、殿ッ。——滅相めっそうもないっ。あなた様は」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いえ、滅相めっそうもござりませぬ」
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いいえ、滅相めっそうもない事を」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「め、滅相めっそうもない仰せを」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いいえ……滅相めっそうもない」
柳生月影抄 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
滅相めっそうもないおことば」
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
滅相めっそうもないおことば」
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『あっ! 滅相めっそうな……』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「めっ、滅相めっそうもない」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
滅相めっそうもない」と
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
滅相めっそうもない!」
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
滅相めっそうもない」
茶漬三略 (新字新仮名) / 吉川英治(著)