法師ほふし)” の例文
面當つらあてがましくどくらしい、我勝手われがつて凡夫ぼんぷあさましさにも、人知ひとしれず、おもてはせて、わたしたちは恥入はぢいつた。が、藥王品やくわうぼんしつゝも、さばくつた法師ほふしくちくさいもの。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
法師ほふしらがひげ剃杭そりぐひうまつなぎいたくなきそ法師ほふしなからかむ 〔巻十六・三八四六〕 作者不詳
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
十六夜いざよひ日記につき」の女詩人は、河畔に立つて西行さいぎやう法師ほふしの昔をしのび、「光行紀行みつゆききこう」の作者は、川が深く、流れがおそろしく、水がみなぎつて、水屑みくずとなる人の多いのにおびえてゐる。
天竜川 (新字旧仮名) / 小島烏水(著)
いや/\、よもや其樣そのやうなこともあるまい、不斷ふだんから上人しゃうにんひとあがめられたあの法師ほふしぢゃ。
をひらきてすかし見れば、其のさまことなる人の、高くせおとろへたるが、顔のかたち、着たる衣のいろあやも見えで、こなたにむかひて立てるを、西行もとより三七道心だうしん法師ほふしなれば
自宅うちでもいゝつて言ひますから今日はお伴させて下さい、といふ。それはよかつたと私も思つた。今日はこれから九里の山奧、越後境三國みくに峠の中腹に在る法師ほふし温泉まで行く事になつてゐたのだ。
みなかみ紀行 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
わらべ やあ、あそこへ妙な法師ほふしが来た。みんな見ろ。みんな見ろ。
往生絵巻 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
法師ほふし、馬上の騎士たちも照りつ乱れつ
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
死人しにびと法師ほふしみちびき
如是 (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
ロレ まゝ、かへらしめ。(藥瓶を渡し)さらば、たくましう覺悟かくごして、首尾しゅびようこと爲遂しとげさッしゃれ。わしはまたさる法師ほふしに、おこと殿御とのごへの書面しょめんたせ、いそいでマンチュアまでりませう。
なん難有ありがた信仰しんかうではないか。つよ信仰しんかうつて法師ほふしであつたから、到底たうてい龍神りうじんごときがこのおれしづめることは出來できない、波浪はらう不能沒ふのうもつだ、としんじてうたがはぬぢやから、其處そこでそれ自若じじやくとしてられる。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
此時このとき、一ぱうへロレンス法師ほふし提燈ちゃうちん鶴嘴つるはし鋤等すきとうたづさへてきたる。