きはみ)” の例文
其の時院のけしきかはらせ給ひ、汝聞け、帝位は人のきはみなり。人道にんだうかみより乱すときは、天のめいに応じ、たみのぞみしたがうて是をつ。
若し此事真実に候はゞ、辞安仮令たとひ学問にけ候とも、其心術は憎むべききはみ可有之これあるべく候。何卒詳細御調査之上、直筆無諱いむことなく御発表相成度奉存候。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
こたび家に歸り給ふは、譬へば先づ絲もてその足を結びおき、暫し籠より出だして翺翔かうしやうせしむるが如くなるべし。いたましきことのきはみならずや。
あゝラチオびとさかえよ——汝によりて我等の言葉その力のきはみをあらはせり——あゝわが故郷ふるさと永遠とこしへの實よ 一六—一八
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
たとひ信仰に無知なりとも、七千人の幼児インノセンスが無知を罰し給ふか。われも亦インノセンスといふ。しゆよ、われも彼等の如く罪は無い。おいきはみのこの身を罰し給ふ勿れ。
法王の祈祷 (新字旧仮名) / マルセル・シュウォッブ(著)
いはんや見合ひなどした際、どちらか一方が幻滅を感じたにも拘らず、当座の義理や体裁から、これを有耶無耶うやむやに葬つて結婚するなどに至つては笑止のきはみであると思ふ。
「父母を見れば尊し、妻子めこ見ればめぐしうつくし、世の中はかくぞ道理ことわり」、「つちならば大王おほきみいます、この照らす日月の下は、天雲あまぐも向伏むかふきはみ谷蟆たにぐくのさ渡る極、きこす国のまほらぞ」
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
をりから淡々あは/\しいつきひかり鐵窓てつさうれて、ゆかうへあみたるごと墨畫すみゑゆめのやうに浮出うきだしたのは、ふやうなく、凄絶せいぜつまた慘絶さんぜつきはみつた、アンドレイ、エヒミチはよこたはつたまゝいきころして
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
眼路めぢ眇茫べうばうとしてきはみ無く、樹蔭こかげも見えぬ大野おほのらや
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
かの高きにいましてきはみなくかつ言ひ難きさいはひは、恰も光線のつやある物に臨むがごとく、馳せて愛にいたり 六七—六九
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
眼路めぢ眇茫びようぼうとしてきはみ無く、樹蔭こかげも見えぬ大野らや
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
〔天堂の底〕天上の幸福のきはみ(天、一八・二一參照)
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
たゞ甲板かふはんに据ゑぬればげにや笑止せうしきはみなる。
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
たゞ甲板こうはんに据ゑぬればげにや笑止しようしきはみなる。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)